メール・問い合わせの共有管理ができるメーラー「メールディーラー」 > お役立ちコラム > AI活用 > カスタマーサクセスの成果をAIで向上させる|具体的な戦略を解説

カスタマーサクセスの成果をAIで向上させる|具体的な戦略を解説

日付のアイコン2025/11/07
AI活用
「カスタマーサクセスの成果をAIで向上させる|具体的な戦略を解説」のアイキャッチ画像

カスタマーサクセスの理想は、お客様を成功に導きLTVを最大化することです。しかし現実は、受動的な問い合わせ対応に時間を奪われ、能動的な活動に踏み出せていません。

その解決策として、AIは解約リスクの早期発見や応対業務の自動化を可能にし、チームがより付加価値の高い仕事へ集中する環境を創出します。

本記事では、実践的なAI活用法10選と導入時の注意点を解説します。自社のCSを「守り」から「攻め」の体制へと変革するヒントとしてご活用ください。

この記事の目次

    そもそもカスタマーサクセスとは

    カスタマーサクセスとは、自社の商品やサービスを購入したお客様に働きかけ、サービス・商品の活用によって成功体験の実現を支援することを指します。

    カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

    カスタマーサクセスに似た言葉として、カスタマーサポートがあります。

    カスタマーサポートとは、お客様からの問い合わせにメールや電話で対応する業務や、その部門のことを指します。基本的に、お客様からの問い合わせを待つ「受動的」な姿勢で問題解決することが特徴です。

    それに対し、カスタマーサクセスは、会社側からお客様に対して積極的に利用促進や改善提案を働きかけます。そのため、カスタマーサクセスは「能動的」な姿勢で顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)向上を助けることが特徴です。

    また、カスタマーサポートはトラブルが解消すれば「単発」の対応で終わることがあるのに対し、カスタマーサクセスはお客様の成功体験を実現させるまで「継続的」に対応を続ける点も違いとして挙げられます。

    カスタマーサクセスが重要視される理由

    近年、SaaSを始めとするサブスクリプション型ビジネスが広がりつつある点が、カスタマーサクセスが注目されている主な理由です。サブスクリプション型ビジネスとは、一度販売して終わりの「売り切り」ではなく、お客様が商品やサービスを利用した期間や量に応じて対価を受け取るビジネスを指します。

    サブスクリプション型ビジネスでは、一度お客様に商品やサービスを販売しても、継続して利用してもらえなければ十分な売上を期待できません。そこで、お客様を成功に導き、解約率を減少させるカスタマーサクセスが重要なのです。

    カスタマーサクセスに用いる主なKPI

    カスタマーサクセスを推進する際は、主に以下のKPIが用いられます。

    KPI 定義 重要性
    解約率(チャーンレート) お客様が自社サービスを解約した割合 事業の安定性と成長の土台を示す
    NRR(売上継続率、売上維持率) 既存のお客様がサービスの利用を継続した割合 サブスクリプションビジネスの成長健全性を測る核心的な指標
    NPS(顧客推奨度) お客様が商品・サービスや会社自体に対して愛着を示している度合い 顧客ロイヤルティと将来の口コミ効果を可視化する
    アクティブユーザー数 自社の商品・サービスを活発的に利用しているお客様の数 サービスの「実際の価値」と「健康状態」を示す
    LTV(顧客生涯価値) ひとりのお客様が生涯にわたって自社に対してもたらす利益 マーケティング投資の費用対効果を判断する最重要指標

    ※KPIはKey Performance Indicator(重要業績評価指標)を略した言葉で、ゴールまでの達成状況を示した指標です。

    AI導入がもたらすカスタマーサクセスへの4大メリット

    AI導入がもたらすカスタマーサクセスへのメリットを4つ紹介します。

    それぞれのメリットが、KPIにどのように貢献するのかを具体的に解説します。

    メリット1:パーソナライズ化による顧客満足度の向上

    AIの導入は、顧客満足度を向上させ、真のカスタマーサクセスを実現するための鍵となります。

    AIの強みは、人間では処理しきれなかった顧客データを高い精度で分析できる点です。これにより、お客様ごとの行動履歴や嗜好、隠れたニーズまで深く理解できます。この分析結果をもとに、個々のお客様に最適化された情報やサービスを提供する「おもてなし」のようなアプローチが実現可能です。

    このようなパーソナライズされた体験は、顧客満足度を高めるだけでなく、お客様の企業やブランドに対する愛着や信頼という「顧客エンゲージメント」も向上させます。
    なぜなら、お客様が抱える悩みや課題に対し、先回りして解決策を提示できるためです。結果として、お客様との間に長期的で良好な関係を築くことができるでしょう。

    メリット2:データにもとづいた解約リスクの早期発見と防止

    自社商品やサービスからお客様が離脱することを未然に防げる点も、AIでカスタマーサクセスを実現するメリットです。

    すでに紹介した通り、カスタマーサクセスに用いられるKPIのひとつとして解約率が挙げられます。解約率とは、特定の期間内で自社のサービスを解約するお客様の割合のことです。

    AI分析を活用すれば、お客様の離脱可能性が高まりつつある段階でアラートを発信できます。そのため、お客様が「解約」を実行に移す前に、それを防ぐための対策を立てられるでしょう。

    なお、お客様が求めるサービスを提供し続けて顧客満足度を高めることが、離脱(解約)の防止につながる場合もあります。

    メリット3:問い合わせ対応の効率化と品質向上

    AIを導入したカスタマーサポートが、結果的にカスタマーサクセスへのメリットにつながる場合があります。その具体例のひとつとして、AIチャットボットが挙げられます。

    AIチャットボットとは、データを学習したAIがWebサイトやアプリなどで、お客様からの質問に対して自ら回答できるツールです。対話を続けてデータが増えるほど、AIチャットボットはより高い精度で回答できるようになります。

    AIチャットボットをカスタマーサポートに導入すれば、短い時間でお客様からの質問に対する適切な回答を導き出せる点がメリットです。待ち時間を軽減することにより、顧客満足度も向上させられるでしょう。

    メリット4:チーム全体の生産性向上と業務負荷の軽減

    報告書作成やデータ入力、議事録作成といった定型的な業務をAIに任せることで、CS担当者の業務負荷が大幅に軽減されます。
    その結果、創出された時間で、CS担当者はより高度な分析や戦略立案、お客様との対話といった付加価値の高い業務に集中できます。
    これにより、チーム全体の生産性が上がることで、カスタマーサクセスの質の向上につながります。

    【業務別】カスタマーサクセスにおけるAIの具体的な活用シーン10選

    次にカスタマーサクセスの一連の業務フローに沿って、AIが具体的にどのように活用できるのかを10個のシーンに分けて解説します。

    将来の売上予測の精度向上

    AIの導入により、自社の売上を予測できます。AIは、決められたプログラムを実行するだけでなく、自ら学習する力も備えた技術です。そのため、過去の売上やお客様とのやり取りなどを元に、高い精度で今後の売上予測ができます。

    どれくらいの売上を期待できるのかあらかじめ把握しておけば、適切な原材料を仕入れたり、状況に応じた販売促進活動をお客様に対して進められたりするでしょう。結果として、生産性向上や業務効率化にもつながります。

    顧客オンボーディングの適正化

    AIの活用により顧客オンボーディングの適正化を図ります。お客様の習熟度に合わせて、AIがチュートリアルやヘルプガイドを適切なタイミングでポップアップ表示するなど、サービスに慣れていないお客様をサポートしてつまずきを減らす仕組みです。

    その結果、早期にサービスの価値を実感してもらうことで、長期的な利用継続につながり、NRRの上昇に貢献します。

    顧客フィードバック(VOC)の分析

    AIによる顧客フィードバック(VOC:Voice of Customer)の分析でプロダクト改善のヒントを効率的に抽出します。例えば、アンケートの自由記述欄やSNS上の口コミなど、膨大なテキストデータをもとに分析します。

    AIには人間が日常的に使用する言葉を収集・分類・分析する技術(NLP:Natural language processing)が搭載されているものがあります。これにより、分析結果から顧客満足度を上げるためのサービス開発の創出につながります。

    ヘルススコアの算出と利用状況の分析

    各お客様の機能利用率やログイン頻度などをAIが自動で分析することで、お客様の活用状況を表す「ヘルススコア」の算出が可能です。例えば、ヘルススコアの変動をトリガーに、アラートの通知やフォローアップの自動化を行います。

    これにより、お客様の状況に応じたカスタマーサクセスを実施することで、解約率の減少やNPSの上昇につながります。

    アップセル・クロスセルの機会創出

    AIの活用でアップセル・クロスセルの機会を創出することで、カスタマーサクセスを実現する方法もあります。

    アップセルとは、お客様が購入した商品の上位モデルや利用しているサービスのアップグレード版を提案することで、顧客単価を上げる営業手法です。一方、クロスセルはお客様が購入する商品や利用予定のサービスとは別の商品・サービスもあわせて提案し、売上を伸ばす営業手法を指します。

    AIを導入して膨大なデータを分析すれば、アップセルやクロスセルを進めて、カスタマーサクセスを実現するために適したタイミングを把握できるでしょう。その結果、自社の収益増加にもつながります。

    問い合わせメール・電話対応の自動化

    お客様への電話やメールの対応にも、AIを活用できるでしょう。

    たとえば、AIの音声認識やテキスト解析などの機能を使えば、予約受付やサービスの利用申込の受付などの電話対応を、従業員を配置せずにできます。そのため、AIチャットボットと同様に、お客様の待ち時間短縮、コスト軽減につなげられるでしょう。

    また、AIを使ってメールの自動作成も可能です。AIにメール作成を任せれば、短期間で大量の文章を作成でき、人件費などのコストを削減できる点がメリットとして挙げられます。

    さらに、カスタマーサポート、電話・メールのいずれも、AIを導入すれば24時間365日対応も可能です。お客様はすぐに気になることを解決できるため、結果としてカスタマーサクセスにつながります。

    FAQ・ヘルプページの適正化

    お客様がどのようなキーワードで検索し、どのFAQページを閲覧しているかをAIが分析します。これにより、検索したキーワードに対して、お客様が問題解決につながる適切な情報を記載できていないなどの課題を浮き彫りにします。

    この課題に対して、AIから改善点を提案してもらうことで、FAQ・ヘルプページへの適正化が可能です。その結果、お客様の自己解決率が高まりCS部門の問い合わせ対応工数を削減できます。

    セキュリティ脅威の検知とデータ保護

    AIが顧客アカウントへのアクセスログや利用パターンを常時監視します。これにより、不正アクセスやアカウント乗っ取りといったセキュリティ脅威の兆候の自動検知ができます。さらに、データ暗号化やアクセス制御と組み合わせることで、お客様の機密情報を保護し、信頼性の高いサービス運用が実現可能です。

    その結果、お客様は安心してサービスを利用し続けることができ、解約率の低下に直結します。また「このサービスは安全だ」という信頼感は顧客ロイヤルティを高め、NPSの向上にも貢献します。

    チーム内のナレッジ共有と新人教育の効率化

    優秀な担当者の対応履歴やノウハウは、チームにとって最も貴重な「知的資産」です。AIは、この属人化しがちな資産をチーム全体で活用できる形(ナレッジ)へと変換し、「新人教育」と「実践での対応支援」の面で業務を効率化します。

    AIが蓄積したナレッジは、新人からの質問に24時間答えることができ、早期戦力化を支援します。さらに、実践の場では、株式会社ラクスの「メールディーラー」に搭載予定の「自動生成」機能のように、AIがナレッジをもとに返信案をリアルタイムで提示します(2025年10月リリース予定)。

    これにより、経験の浅い担当者でも常にベテラン品質の対応が可能になり、教育コストの削減と顧客満足度の向上を同時に実現します。

    複数チャネルでの一貫した顧客体験の提供

    AIがメールやチャット、電話など、複数のチャネルにまたがるお客様とのやり取りを一元的に管理・統合します。これにより、どの担当者が対応しても、過去の問い合わせ経緯をチャネル横断で瞬時に把握できるため、お客様一人ひとりに対して一貫性のあるサポートの提供が可能です。

    この「何度も同じ説明をしなくて済む」というスムーズな体験は、お客様のストレスを軽減し、顧客満足度の向上につながります。さらに、質の高いサポートは企業への信頼感を育み、NPSの改善や解約率の低下にも貢献します。

    AIでカスタマーサクセスの実現を目指す際の注意点

    カスタマーサクセスにおけるAI導入はメリットだけでなく、リスクや注意点も存在します。
    AI導入で失敗しないために、事前に検討すべきポイントを3つ紹介します。

    注意点1:導入目的とKPIを明確にする

    AI導入でよくある失敗は「導入すること」自体が目的化することです。その失敗を防ぐには「どの業務の、どのような課題を、どの程度改善したいのか」を事前に具体化することが重要になります。

    例えば「問い合わせメールの返信時間を平均30%短縮する」といった定量的なKPIを設定し、導入後の効果を客観的に測定・評価する体制を整えることが不可欠です。これにより、プロジェクトのゴールが明確になり「導入したものの使われない」といった失敗を回避します。その結果、現場で本当に役立つAI活用が実現可能になります。

    注意点2:AIと人間の適切な役割を分担する

    AIに頼り切るのではなく、人間による見極めも必要です。AIは人間では扱いきれないデータを収集し、分析できる便利な技術です。しかし、人間が今まで担当してきた業務をすべて代替できるわけではありません。

    とくに、お客様対応の分野では、イレギュラーなトラブルにAIが対応できない可能性があります。また、AIを導入したことで、人間による対応を好むお客様の顧客満足度を低下させることもあります。AIでの対応に問題ない分野、人間でなければ対応できない分野をしっかりと見極めた上で、AI導入を検討することが大切です。

    注意点3:セキュリティとプライバシーに配慮する

    カスタマーサクセスにAIの学習に顧客データを利用する際は、個人情報保護法などの法令遵守と、情報漏洩リスクへの厳格な対策が不可欠です。その対策として、ISO/IEC 27001(ISMS認証)といった国際的なセキュリティ認証を取得している、信頼できるベンダーのツールを選定することが極めて重要です。

    これにより、セキュリティレベルを客観的に担保しながら、法令を遵守した責任あるAI活用を実現できます。その結果、お客様からの信頼を確保し、安心してサービスを提供することが可能になります。

    カスタマーサクセスにはメール共有・管理システムも役に立つ

    AIだけでなく、メール共有・管理システムもカスタマーサクセスの実現に役立つツールのひとつです。メール共有・管理システムは、チームでメール対応を行う業務のために開発されたツールであり、問い合わせ窓口の対応やカスタマーサポートなどの幅広い分野で利用されています。

    メール共有・管理システムがカスタマーサクセスの実現に役立つ理由は、主に以下の通りです。

    • 人のチェックで不自然さを解消できる
    • 対応状況を可視化して対応漏れを防ぐ

    各理由について、詳しく解説します。

    理由1:人のチェックで不自然さを解消できる

    上司や先輩社員が事前にチェックすることで、新人担当者やAIが作成した文書の不自然さを解消できる点が、メール共有・管理システムがカスタマーサクセスに役立つ理由です。

    業務に慣れていない担当者がメールを作成・送信すると、お客様が内容を理解できなかったり、失礼な印象を受けたりする可能性があります。AIを活用しても、不自然な文章になることがあるでしょう。

    メール共有・管理システムの申請・承認機能を利用することで、新人担当者が慣れるまでの間、お客様へメールを送信する際に上司や先輩社員のチェックを必須とする仕組みづくりができます。

    理由2:対応状況を可視化して対応漏れを防ぐ

    対応状況を可視化して対応漏れを防げる点も、メール共有・管理システムでカスタマーサクセスを実現できる理由です。

    メール共有・管理システムのステータス管理機能を用いれば、受信したメールの対応状況や担当者がひと目でわかります。そのため、担当者やAIに任せっきりで対応漏れが発生することを未然に防げるでしょう。

    さらに、電話やLINEなどの問い合わせ窓口を一元管理できるため、ツールごとに対応状況を確認する必要がありません。

    ラクスが提供するメール共有・管理システム「メールディーラー」では、メールごとに担当者の割り振りができます。また、メールの対応状況をステータスごとに管理できるので、チーム全体で誰がどのメールに対応しているかひと目で把握でき、対応漏れや二重対応を防止できます。ご興味のある方は以下よりお問い合わせください。

    AIを活用してカスタマーサクセスを実現しよう

    本記事では、AIがカスタマーサクセスを「守り」から「攻め」の体制へと変革させる、具体的な活用法と注意点を解説しました。AIは、解約リスクの早期発見や応対業務の自動化を可能にし、チームがより付加価値の高い仕事へ集中するための強力なパートナーです。

    そして、これらのAIをさらに活用していくには、チーム内の情報共有基盤が整っていることが重要です。

    どれだけ高度なAIを導入しても、顧客とのやり取りが個人のメールボックスに分散していては、その効果は半減してしまいます。顧客対応の履歴を一元管理し、チーム全員で共有する仕組みがあって初めて、AIはその真価を発揮します。

    そのために有効なツールが、16年連続売上シェアNo.1のメール共有・管理システム「メールディーラー」です。チームの対応状況を可視化してミスを防ぐだけでなく、最新のAI機能が返信作成まで支援します。

    「メールディーラー」には、AIがクレームメールを検知する「リスク機能」や、担当者が指示文を入力するだけで自動で文章を生成する「カスタム生成」が搭載されています。さらにこれまでのナレッジをもとに自動で返信文を作成してくれます(本機能は2025年10月リリース予定)。
    すでに8,000社以上で導入されており、16年連続売上シェアNo.1※を獲得しています。機能の詳細は以下より資料をダウンロードの上、ご確認ください。

    ※出典:ITR「ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2025」メール処理市場:ベンダー別売上金額シェア(2024年度予測)、同レポートには旧製品名(メールディーラー)で掲載

    複数名での「問い合わせ対応業務」がラクになる?

    ※本サイトに掲載されている情報は、株式会社ラクス(以下「当社」といいます)または協力会社が独自に調査したものであり、当社はその内容の正確性や完全性を保証するものではありません。

    この記事を書いたライター

    メールディーラー通信編集部

    メールディーラー通信編集部

    メールや問い合わせ対応を効率化する情報の執筆・案出しをしています。メール業務をより良いものにできるようお得な情報を発信できればと思い、編集を行っています。
    お気に入りの便利機能は「Wチェック時の差分チェック機能」です。

    メールディーラーについて、詳しく知りたい方はこちら!

    製品資料

    機能詳細・特徴がわかる!