立ち上がったばかりの会社の信頼性は、メールアドレスが1つの判断指標とされることがあります。Gmailなどのフリーメールアドレスよりも、会社名やサービス名の入った独自ドメインで作成した方が信頼獲得につながりやすいため、後者での作成をおすすめします。
この記事では、会社・法人用メールアドレスの作成方法から独自ドメインの取得方法まで徹底解説します。
メールアドレスの種類と違い
メールアドレスには、大きく分けて以下の2つの種類があります。
- 無料で取得可能なメールアドレス
- 独自ドメインのメールアドレス
どちらの種類のメールアドレスを取得するのかによって作成方法は異なります。それぞれの特徴を解説いたします。
無料で取得可能なメールアドレス
無料で取得可能なメールアドレスは、誰でも簡単に費用をかけず作成でき、プライベートで利用するのに適しています。代表的なものでは、「~@gmail.com」「~@outlook.com」といったフリーメールアドレスや、「~@docomo.ne.jp」などの携帯キャリアのメールアドレスがあり、@の後ろにサービス提供元の文字列が入ることが多いのが特徴です。誰でも手軽に作成できる反面、信頼性に欠けるため、会社用メールアドレスとしては適していません。
独自ドメインのメールアドレス
独自ドメインのメールアドレスは、自身で独自ドメインを取得した上で作成します。取得した1つのドメインに対して複数のメールアドレスを作成することが可能です。個人利用だけでなくビジネスでの利用にも適しています。
ビジネス用なら独自ドメインのメールアドレスがおすすめ
前述の通り、GmailやOutlookなどのフリーメールアドレスは無料で誰でも作成できるものの、会社用メールアドレスとしては適していません。法人がビジネスにおいて使用するメールアドレスとしては、独自ドメインのメールアドレスがおすすめです。
次の段落にて、その理由を解説いたします。
独自ドメインのメールアドレスを作成すべき理由
新しくビジネスを立ち上げるうえで重要なのが「信頼性」です。
立ち上げたばかりの会社は実績もまだ無く、ほとんどの人がその存在すら知らない状態であるため、信頼性を判断するのが難しいものです。
そこで、1つの判断要素となるのが「メールアドレス」です。
独自ドメインによる会社用の法人メールアドレスは、法人名やサービス名などの特定のドメインを利用している時点でその持ち主の信頼性の担保となります。
また、サービス終了によってメールアドレスが突然使えなくなる心配もありません。
安心してビジネスに集中するためにも、新規ビジネスの立ち上げには独自ドメインによる会社用の法人メールアドレスが必要不可欠です。
会社用・法人メールアドレスの作成前に準備すること
会社用の法人メールアドレスを作成する前に、以下の2つを準備しておきましょう。
- 独自ドメインの決定
- メールサーバーの決定
例えるなら、ドメインはメールのやりとりをするための「住所」、メールサーバーはメールの送受信を行ったりデータを保存するための「土地」にあたるため、会社用の法人メールアドレスを作成・利用するにはこの両方が必ず必要になります。
では、以下でそれぞれの決め方について詳しくご説明します。
独自ドメインの決め方
ドメインは「トップレベルドメイン」「セカンドレベルドメイン」「サードレベルドメイン」と分けられます。独自ドメインを決める時にはまず「トップレベルドメイン」を選び、そのあと他の文字列を考えるといいでしょう。
ドメインにはたくさんの種類がありますが、どれでも自由に選べるものではなく、メールアドレスの利用用途や登録条件により選べるドメインが決まっています。
以下で、それぞれのドメインの特徴をまとめましたので、自社の目的に合ったものを選びましょう。
ドメイン | 用途 | 登録条件 |
---|---|---|
.com | 商業組織用 | 世界の誰でも登録可 |
.info | 制限なし | 世界の誰でも登録可 |
.net | ネットワーク用 | 世界の誰でも登録可 |
.org | 非営利組織用 | 世界の誰でも登録可 |
.jp | 日本を表す国コード | 国内に住所がある個人、法人 |
.ne.jp | ネットワークサービス提供者 | 国内に住所がある個人、法人 |
.co.jp | 株式会社、有限会社、合同会社、信用金庫など | 国内に住所があり、用途に該当する法人のみ(個人は不可) |
.ac.jp | 大学校、短期大学校、学校法人、職業訓練法人など | 国内に住所があり、用途に該当する法人のみ(個人は不可) |
.or.jp | 財団法人、社団法人、医療法人、宗教法人など | 国内に住所があり、用途に該当する法人のみ(個人は不可) |
(参考サイト:JPNIC ※外部サイトへ転送されます)
おすすめトップレベルドメイン
法人メールアドレスのための最適なドメインは、「.co.jp」です。
「.co.jp」は、「株式会社や合同会社といった日本国内に登記している営利法人が一つだけ取得できる」という制限があるからです。
たとえ個人で事業を営んでいても、法人でないと取得することができません。
実際に、一部上場企業のほとんどが「.co.jp」を取得しています。
メールサーバー(レンタルサーバー)の決め方
メールサーバーを準備する方法は、大きく分けて3つあります。
- 自社でメールサーバーを構築する
- メールサーバー機能を含むクラウド型グループウェアを活用する
- レンタルサーバーを利用する
初めて会社用の法人メールアドレスを作成する場合は、手軽に始められる「レンタルサーバーの利用」がおすすめです。
レンタルサーバーは種類が多いため、下記3つのポイントを基準に自社にあったサーバーを選定しましょう。
費用面
レンタルサーバーを利用するには、契約時の初期費用と月額(もしくは年額)費用が必要です。
費用とサーバーの品質は比例する傾向にあるため、「費用の安さ」ばかりを重視しないことをおすすめします。
個人利用なら安さを追求するのも構いませんが、ビジネス利用では、不安定なサーバーは使うべきではありません。多少はコストがかかるとしても、なるべく品質が高く安定したサーバーを選ぶべきでしょう。
セキュリティ面
レンタルサーバー選びでは、セキュリティ対策も重要です。
サーバー会社のセキュリティ不足で情報漏洩などの事故が起きた場合、たとえ自社の責任ではないとしても、企業として大きなダメージを受けることは避けられません。
セキュリティ対策がしっかりできているかどうか、レンタルサーバー会社を選ぶ時には特に注意してください。
サポート面
サーバーの設定を始めて行う場合、理解がしづらい部分や分からない部分がでてきがちです。
また運用を開始してからも、メールが届かないなどトラブルが発生することもあります。
自社だけで解決できないこともあるため、そういった困った際に相談できる・頼れるサポートが非常に重要です。
FAQサイト(マニュアル)のみ・対応窓口はメールのみなどの場合、早急な対応をしてもらえないこともあり、自社の業務が停止してしまうケースもあります。
そのため、電話サポートがあるサーバー会社であれば安心して、継続的に使えるでしょう。
会社用・法人メールアドレスの作成方法
ドメインとサーバーが決定したら、実際に会社用の法人メールアドレスを作成していきましょう。
以下より、独自ドメインによる会社用の法人メールアドレスを作成するための具体的な手順を解説します。
1.独自ドメインの取得
まずは、ドメインの取り扱いサイトへ申込をして、ドメインの取得を行いましょう。
ドメインの取り扱いサイトは複数あり、サイトによって登録可能なドメインや対応内容が異なるため、自社に合ったサイトで登録を行いましょう。
▼主なドメイン取り扱いサイト
2.レンタルサーバーの契約・ドメインの登録
次に、前述で選定したレンタルサーバーへ申込を行いましょう。
申込後、レンタルサーバー側の管理画面で取得した独自ドメインの登録・設定も併せて行います。これでレンタルサーバー側に独自ドメインが認識され、そのドメイン名でメールアドレスが作成できるようになります。
3.メールアドレスの作成
独自ドメインの登録が完了したら、レンタルサーバー側の管理画面でメールアドレスを作成しましょう。
詳しい作成方法はレンタルサーバーによって異なるため、利用するレンタルサーバーのマニュアルに沿って作成しましょう。
4.ネームサーバーの設定
ネームサーバーとは、メールサーバーやWebサーバーに割り振られた「IPアドレス(識別番号)」と「ドメイン名」をインターネット上で結びつけるためのサーバーのことを指します。
レンタルサーバー側でメールアドレスを作成した後、独自ドメイン側でネームサーバーの設定を行わなければ、メールの送受信は行えません。
独自ドメイン側の管理画面で、レンタルサーバー事業者のネームサーバーを登録しましょう。
会社用・法人メールアドレスの作成例
ここでは、会社用メールアドレスの作成例を用途別にご紹介していきます。
@より前の部分を決める際にぜひ参考にしてみてください。
代表メールアドレス
代表メールアドレスに「info@」から始まるメールアドレスを使用する会社は多いものの、実はinfo@を使うことにはリスクがあるためおすすめしません。info@は迷惑メールに使われていることが多いため、info@で始めるメールアドレスを受信拒否するユーザーには届かないからです。
info@に代わるおすすめの代表メールアドレスとしては以下のようなものがあります。
- contact@~
- company@~
また、代表メールアドレスは、部署別や業務別に分けて作成しておくこともおすすめです。その業務に関係する人のみでメールを使えるので、無関係なメールまで確認する必要がなくなります。
例えば、部署や業務別によく使われるアドレスには次のようなものがあります。
sales@~ | 営業用のメールアドレス |
marketing@~ | マーケティング用のメールアドレス |
support@~ customer@~ |
カスタマーサポート用のメールアドレス |
recruit@~ careers@~ |
採用・求人用のメールアドレス |
press@~ media@~ |
広報・PR用のメールアドレス |
no-reply@~ | 送信専用(返信不要)のメールアドレス |
order@~ | 注文確認のメールアドレス |
社員用メールアドレス
社員の個人用メールアドレスは、姓名をそのままメールアドレスに使用することが多いです。「イニシャル+苗字」もしくは「名前+苗字」で文字列を作成すると、社内での管理がしやすくなるだけでなく、受信側も誰から送られてきたかが分かりやすいためおすすめです。
▼「佐藤太郎」さんの場合
t.sato@~ | イニシャル+苗字 |
taro.sato@~ sato-taro@~ |
名前+苗字 |
会社用・法人メールアドレスの作成ポイント
会社用の法人メールアドレスを作成する際に大切なポイントが、代表用と個人用でメールアドレスを分けることです。
営業など、担当を決めて個人で顧客とやりとりをする場合は個人用のメールアドレスを使い、企業の公式サイトに設置する問い合わせフォーム等は代表用のメールアドレスを使うと良いでしょう。
また、代表メールアドレスの中でも、問い合わせフォーム専用の「contact@」、商品説明や契約などサポート全般窓口の「support@」など、用途に合わせて使い分けることでさらに利便性が増します。
代表メールアドレスの管理方法
前述した代表メールアドレスに届いたメールは、個人宛のメールではないため担当者が決まっていません。
ここで問題になるのが、「誰が今どのメールにどの程度まで対応しているのか」という進捗状況の把握が難しい点です。
「まだ誰も返信していないと思ったら、すでに別の人が返信していた」という二重返信や、逆に「もう誰かが返信していると思ったら、誰も返信していなかった」という返信漏れなどのリスクがあります。
ここでは、代表メールアドレスに届くメールの二重返信や返信漏れを防ぐ管理方法をご紹介します。
返信時に共有用メーリングリストをBCCに入れる
代表メールアドレスに対応する社員を入れたメーリングリストを作成し、返信メールを送信する際にBCCに入れる方法です。
送信メールの履歴が全員に共有されるため、誰が対応したのか把握することができます。
ただし、送信が完了するまで、誰が何をしているか分からないので、返信メール作成前に担当者間でまだ誰も着手していないか口頭確認する必要があります。
Excelの「問い合わせ管理表」を作成する
代表メールアドレスに届くメールをExcelに転記し、担当者の割り当てと対応状況を入力しましょう。
問い合わせ管理表を見れば、誰がどこまで対応しているのか一目で把握できるようになるため、二重返信や返信漏れを防ぐことができます。
作成方法や運用ポイントについては下記の記事を参考にしてみてください。
Excelやスプレッドシートで使える問い合わせ管理表のテンプレートもご用意しました。下記リンクから無料でダウンロードできるので、ぜひ活用してみてください。
メール共有システムを導入する
メール共有システム/ソフトとは、メールを複数名で分担して対応することを前提に開発されているシステムです。各メールの対応進捗状態をリアルタイムで把握することができ、対応漏れや二重対応に悩むことがなくなります。代表メールアドレス、問い合わせ用のメールアドレス、カスタマーサポート、ECサイトの問い合わせ、ヘルプデスクなど、幅広い業界で利用されています。以下では、株式会社ラクスの提供するメール共有システム「メールディーラー」を例に紹介いたします。
代表メールアドレスの共有・管理なら「メールディーラー」
「メールディーラー」は複数人でのメールや問い合わせ対応を効率化するメール共有・管理システムで、info@やsupport@などの代表メールアドレス宛てに届いたメールをクラウド上で一元管理することが可能です。
多数搭載された機能の中でも代表的な「ステータス管理機能」と「担当者振り分け機能」をご紹介します。
ステータス管理機能では、すべての受信メールが「新着・返信処理中・対応完了」と対応状況ごとにタブで分かれる仕組みになっており、返信作業を進める中で自動的に受信メールの対応状況(タブ)が切り替わります。
担当者振り分け機能は、メール1通1通に担当者を振り分けることができる機能で、「どのメールがどういう状態か」「だれがどのメールに対応するか」がひと目で分かります。
会社用・法人メールアドレスはビジネスの必需品
新たなビジネスを立ち上げるなら、独自ドメインによる会社用の法人メールアドレスが必須です。
しかし、信頼できる会社用の法人メールアドレスを取得したからといって、対応漏れ・遅れなどが発生してしまっては信頼をすぐに失ってしまいます。
個人用と代表用でメールアドレスを使いわけるなど、会社用の法人メールアドレスの管理方法まで対策を立てたうえで、ビジネスを始めることをおすすめします。
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