2025年は訪日客数・旅行消費額ともに過去最高を更新し、インバウンド需要は都市部だけでなく地方にも広がっています。こうした需要を取り込むことは、ホテルの集客や売上拡大につながります。しかし「何から始めればよいか分からない」「外国人対応に不安がある」と感じているホテルも少なくありません。
本記事では、インバウンド市場の動向をもとに、ホテルがインバウンド対策に取り組むメリットや課題、海外からの予約を増やす集客方法、外国人旅行客を迎える受け入れ体制の作り方を分かりやすく解説します。
データで見るインバウンドの需要
日本政府観光局と観光庁のデータによると2025年の年間訪日外客数は4,268万人、訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円で、過去最高を記録しました。旅行消費額の内訳は宿泊費が36.6%と特に大きく、インバウンド消費の3分の1超が宿泊業界に含まれる計算です。これらの数字から、ホテル業界でインバウンドの需要が高まっていることが分かります。
注目したいのは、この需要が都市部に限った話ではない点です。2025年の外国人延べ宿泊者数の伸び率は、三大都市圏の+5.1%に対して地方部は+19.1%と、地方が都市部を大きく上回りました。インバウンドは都市部だけのものではなく、地方や中小規模の施設にとっても取り込むべき需要といえます。
ホテルのインバウンド対策一覧│始めやすい順に紹介
本記事で紹介するホテルのインバウンド対策を、始めやすい順に一覧で整理しました。難易度は費用と準備の手間を考慮し、3段階で示しています。
| 施策 | 難易度 | コスト | 備考 |
|---|---|---|---|
| 海外OTA・Googleビジネスプロフィールに掲載し、SNSで情報発信する | 低 | 低 | 登録・発信無料 OTAは成約ごとに手数料(10〜20%程度)がかかる |
| 食の多様性や宗教上の習慣に配慮する | 低 | 低 | 使用食材の情報開示と予約時の確認から始められる |
| ターゲットに合わせた外国人向け宿泊プランを設計する | 中 | 低 | 自施設と相性の良い2〜3市場に絞り込む |
| スタッフの異文化理解を深める | 中 | 低〜中 | 研修・マニュアルは内製すればコストを抑えられる |
| 翻訳ツール・タブレットを導入し言葉の壁をなくす | 中 | 中 | 翻訳アプリなら低コストだがタブレット設置は端末費がかかる |
| キャッシュレス決済と通信環境を整える | 中 | 中 | 端末導入費のほか、決済手数料(3〜5%程度)が継続的にかかる |
| 公式サイトを多言語化し直接予約につなげる | 中 | 高 | 制作費が必要 小規模事業者持続化補助金やデジタル化・AI導入補助金2026の対象となる場合がある |
【集客対策】海外からの予約を増やす方法3選
外国人旅行者に選ばれるには、旅行前の情報収集の段階で候補に入るための土台づくりが欠かせません。受け入れ体制を整えても、施設が認知されていなければ予約にはつながらないためです。
海外OTA・Googleビジネスプロフィールに掲載し、SNSで情報発信する
最初に取り組みたいのが、外国人旅行者が宿探しに使う媒体へ情報を載せることです。まず、訪日客の利用が多い海外OTAやGoogleビジネスプロフィール(Googleマップに表示される店舗情報)に基本情報と写真(客室・食事・館内など)を掲載してください。
近年は生成AIを使って宿を探す旅行者が増えています。Google検索のAI Overviewsや対話型AIはビジネスプロフィールの掲載内容や口コミをもとに回答を生成するため、Web上の情報整備が今後ますます重要になります。
さらにInstagramやTikTokなどのSNSで客室や食事、周辺の観光情報を発信し、施設の認知を広げましょう。
ターゲットに合わせた外国人向け宿泊プランを設計する
ターゲットを明確にした宿泊プランの設計も、海外からの予約を増やす有効な方法です。
まずは、自施設の立地や強みと相性の良い2〜3の市場に絞り込むことから始めます。近隣アジアの旅行者は短期滞在が中心である一方、欧米豪の旅行者は長期滞在で文化体験を重視するなど、市場によって求めるものが異なるためです。
ターゲットが定まったら日本食や温泉、伝統文化の体験など、日本でしかできないことをプランに組み込みましょう。
公式サイトを多言語化し直接予約につなげる
公式サイトを多言語化し、直接予約を受けられる環境を整えることも、海外からの予約を増やすうえで効果的です。
公式サイトを多言語対応にするだけでは不十分です。予約フォームや確認メールが日本語のみといった状態では、予約直前で離脱される可能性があるため、予約から決済までを多言語で完結できる環境が欠かせません。
あわせて、直接予約限定の特典を用意するのも有効です。公式サイトからの予約がお得と分かれば、ユーザーはOTAで施設を見つけた旅行者でも、公式サイトから予約する可能性が高まります。成約ごとに1〜2割かかると言われるOTAの販売手数料を抑えられ、利益率の改善にもつながります。
【受け入れ対策】インバウンド客を迎える体制の作り方4選
集客に成功しても、滞在中の体験がともなわなければ低い評価の口コミが増え、新たな集客につながりません。顧客体験を向上するには、言葉の壁や文化の違いによるトラブルを防ぎ、快適に過ごしてもらえる環境づくりが不可欠です。
食の多様性や宗教上の習慣に配慮する
受け入れ体制づくりでまず整えたいのが、食の多様性や宗教上の習慣への配慮です。ベジタリアン、ヴィーガン、ハラールなどの食習慣は、好みではなく信念や宗教に関わるため、対応の有無が宿選びの条件になることがあります。
まずは使用している食材を開示し、予約時に食事制限を申告できる体制を整えることから始めましょう。
他にも、礼拝の方角の案内や礼拝スペースの用意など宗教上の習慣に配慮した準備ができれば、イスラム教徒をはじめとする宗教上の習慣を大切にする訪日客の満足度を高められます。
スタッフの異文化理解を深める
スタッフが相手の文化を理解して接客できるようにすることも、インバウンド対策に必要な取り組みです。訪日客の満足度を最終的に左右するのは、設備やツールではなくスタッフの対応力であるためです。
例えば、実際に多く受け入れている国・地域に対象を絞り、その文化や宗教、生活習慣の違いを学ぶ研修を行ったうえで、対応方法をマニュアルにまとめます。範囲を絞れば研修やマニュアルは内製でき、費用も抑えられます。
マニュアルは作成して終わりにせず、実際に起きた対応事例をスタッフ間で共有し、対応の幅を継続的に広げていきましょう。現場の経験を積み重ねるほど、自然に柔軟な対応ができるようになります。
翻訳ツール・タブレットを導入し言葉の壁をなくす
言葉の壁への対策としては、翻訳ツールやタブレットの導入がおすすめです。多言語を話せるスタッフの採用は、人手不足が続く宿泊業界では簡単ではありません。
翻訳アプリや客室内のタブレット、AIチャットボットを活用すれば、スタッフの語学力に頼らず24時間の外国語対応が可能です。翻訳アプリのメリットは、低コストで始められることです。タブレット設置は端末費がかかるものの、館内施設の案内や客室設備の使い方、周辺の観光情報などを多言語で確認できるため、フロントへの問い合わせを減らす効果も期待できます。
キャッシュレス決済と通信環境を整える
キャッシュレス決済と通信環境の整備も、訪日客を迎えるうえで欠かせない対策です。海外ではキャッシュレス決済が主流の国が多く、現金しか使えない施設はそれだけで予約候補から外されることがあります。
クレジットカードへの対応に加えて、ターゲットとする市場でよく使われるQRコード決済にも対応しておくと、訪日客の満足度向上がさらに期待できます。端末の導入費に加えて3〜5%程度の決済手数料が継続的にかかりますが、機会損失を防ぐための必要経費と考えて導入を検討しましょう。
また訪日客は観光地や交通の情報を常に調べるため、客室を含む館内全域で使える無料Wi-Fiは、滞在中の満足度を左右する基本設備といえます。
ホテルがインバウンド対策に取り組む3つのメリット
インバウンド対策は、訪日客が利用しやすい環境を整えるだけでなく、ホテルの集客力や収益性の向上にもつながります。ここでは、ホテルがインバウンド対策に取り組むことで得られる主なメリットを紹介します。
新規顧客を獲得して稼働率を高める
1つ目のメリットは、新たな顧客層を獲得し稼働率を高められる点です。国内の旅行市場は人口減少の影響で中長期的な伸びが見込みにくいと考えられるため、訪日客の取り込みは、国内客とは別の顧客層の獲得につながります。
加えて、訪日客の旅行時期は日本の連休や週末に縛られません。そのため、国内客だけでは埋まりにくい平日や閑散期の稼働を埋めやすいという利点があります。
訪日客ならではの高い宿泊単価が期待できる
宿泊単価の向上もインバウンド対策のメリットです。訪日外国人の1人あたり旅行支出は22.9万円(2025年)と、日本人の国内宿泊旅行の約7.2万円に対して3倍以上の水準です。中でも欧米豪の旅行者は宿泊費の支出が大きい傾向にあります。
和室や温泉、文化体験といった日本ならではの付加価値は、価格競争に巻き込まれにくく、宿泊単価を引き上げやすい要素です。滞在中の飲食や貸切風呂など追加サービスの利用率が高いことも、宿泊単価の向上につながります。
口コミの広がりで新たな集客につながる
訪日客は口コミサイトやSNSを参考に宿を選ぶ傾向が強く、良い宿泊体験は海外の潜在顧客へ届く広告として機能します。
「良い口コミが次の予約を呼び込み、その宿泊客がまた口コミを残す」という循環が生まれれば、広告費をかけずに集客が回るようになる点も大きな強みです。特に、宿泊者自身が投稿した写真や母国語によるレビューはホテル発信の情報以上に信頼され、同じ文化圏の旅行者の予約を強く後押しします。
ホテルのインバウンド対策で直面しやすい2つのハードル
インバウンド対策には多くのメリットがある一方で、着手する前に把握するべきことが2つあります。いずれも事前の準備によって解決できる課題です。
初期・運用コストの負担
まず直面しやすいのが、費用負担が増えることです。インバウンド対策には、多言語サイトの構築やキャッシュレス決済端末、館内Wi-Fiの整備、スタッフ研修など、施策ごとに初期費用と継続的な運用コストが発生します。
ただし、すべてを自己資金でまかなう必要はありません。IT導入補助金や自治体のインバウンド対応補助金を活用すれば、費用負担を軽減できます。
言語・文化の違いによるトラブルのリスク
2つ目のハードルは、言語や文化の違いから生じるトラブルです。例えば大浴場の入り方や館内での過ごし方など、生活習慣の違いによる行き違いが、他の宿泊客との間のトラブルにつながることがあります。また、食事制限のような宗教上の要望が言葉の壁で正しく伝わらないと、苦情に発展する恐れもあります。
言語や文化の違いによるトラブルは、経験がないから対応できないという問題ではありません。事前にホテルのルールを多言語で明示し、想定される場面への対応をマニュアル化することで、トラブルの多くは防げます。
翻訳ツールを使っても残る「外国語メール対応」の課題
ここまでの施策で翻訳ツールやタブレットを導入しても、予約の前後に発生する外国語メールへの対応には別の課題が残ります。
インバウンド施策が成功して海外からの問い合わせが増えるほど、ツールとの行き来による作業工数の圧迫や、スタッフのスキルによる品質のばらつきが表面化する恐れがあります。
翻訳ツールとメールの行き来に手間がかかり返信が遅れる
外国語メール対応の1つ目の課題は、翻訳の往復作業に手間がかかり、返信が遅れることです。
外国語のメール1通に対応するには、本文をコピーして翻訳ツールで日本語に変換し、返信文を作成して再び外国語に変換し、メールに貼り付けるという作業が必要です。1通ごとにこの作業が発生するため、問い合わせが増えるほど返信は遅れ、返信を待てずに他施設へ流れるなど、機会損失につながります。
応対品質のばらつきと意図が正しく伝わらないリスクが生じる
外国語メールの返信をスタッフ各自の語学力に頼っていると、誰が対応するかによって訳文の正確さや表現の丁寧さが変わり、一定の応対品質を保てません。
より深刻なのは、作成した外国語の文面が意図通りかどうか、語学力がなければ確認できない点です。特にアレルギー対応やキャンセルポリシーといった重要な連絡で誤って伝われば、施設の信用に関わるトラブルに発展する恐れがあります。
いつも通り日本語で返信するだけ。外国語対応に困らない「楽楽自動応対」
出所:楽楽自動応対公式Webサイト
ここまでに解説した外国語メール対応の課題は、AI翻訳機能を搭載している「楽楽自動応対(旧メールディーラー)」の導入で解決できます。
AI翻訳機能により外部ツールとの往復の手間を解消し、語学スキルの有無による対応品質のばらつきを軽減します。また、メールの対応状況を見える化できるため、ホテルのように大量のメールが届く環境でも返信漏れや二重対応のミスを防げるのもメリットです。
翻訳が一画面で完結
楽楽自動応対では、翻訳にまつわる作業がメール画面上で全て完結します。
英語や中国語、韓国語など約60言語の受信メールを自動で検知して日本語に翻訳表示するため、外部の翻訳ツールへコピー&ペーストする手間がかかりません。また、作成した外国語の翻訳文を再度日本語へ翻訳(逆翻訳)して並べて表示できるため、送信前に意図通りのニュアンスになっているかを確かめられます。
受信内容の把握から返信文の作成・送信までを一画面で完結でき、メール対応にかかる工数の削減につながります。
外国語スキルが不要
スタッフに外国語のスキルがなくても、一定の品質で対応できる点も特徴です。返信したい内容を日本語で入力してボタンを押すだけで、自動的に外国語へ変換されて送信されます。
外国語スキルに依存せず対応が完結するため、語学力のあるスタッフに対応が集中したり、担当者によって訳文の品質が変わったりすることがありません。また、逆翻訳でニュアンスを確かめてから送信する流れのため、語学に自信がないスタッフでも、誤訳の不安を抱えずに返信作業を進められます。
対応すべきメールがひと目で分かる
楽楽自動応対の対応状況管理の画面イメージ
楽楽自動応対では、大量に届くメールの中から対応すべきメールを見逃さない仕組みも備えています。
予約プランの変更や部屋・食事の個別相談など、確認に時間がかかりすぐに返信できないメールは「後で返そう」と思っているうちに他のメールに埋もれがちです。シフト制で担当者が入れ替わると、そのまま対応が漏れる恐れもあります。
こうした漏れを防ぐのが、ステータス管理機能です。メール1通ごとに「対応中」「支配人確認中」といった対応状況を付けてタブで分けられるため、対応すべきメールだけをいつでも一覧で確認できます。ステータスは、施設の運用に合わせて独自に作成可能です。
あわせて、メール画面上のコメント機能でスタッフから支配人へ直接相談でき、確認から指示までがシステム内で完結します。
まとめ:集客と受け入れ体制を整え、インバウンド需要を取り込もう
訪日客数・消費額ともに過去最高を更新し、インバウンド需要は地方も含めて拡大しています。国内の旅行市場の中長期的な伸びが見込みにくい中、この需要を取り込むことはホテルにとって重要な経営課題です。
インバウンド対策は、旅行者に見つけてもらうための集客と、滞在満足度を高める受け入れ体制の両面から進める必要があります。しかし、対策を進める中で課題になりやすいのが、外国語でのメール対応です。翻訳ツールとの行き来に手間がかかったり、対応する人によって品質が変わったりと、問い合わせが増えるほど負担の増加は避けられません。
外国語メール対応の課題に有効なのが、問い合わせ自動応対システム「楽楽自動応対」です。AI翻訳機能を備え、いつも通り日本語で返信するだけで外国語メールに対応できます。「楽楽自動応対」の機能詳細は無料でダウンロードできる資料をご用意していますので、ぜひご確認ください。
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