
「お客様からの問い合わせメールに、誰が対応したか分からず返信が遅れてしまった」
「同じメールに複数の担当者が返信してしまい、クレームに繋がった」
「過去のやり取りを探すのに時間がかかり、スムーズな顧客対応ができない」
企業活動において、メールでのコミュニケーションは不可欠です。しかし、複数人でメール対応を行っていると、上記のような課題に直面することも少なくありません。このようなチームでのメール対応における課題を解決するために開発されたのが、メール共有システムです。
その中でも、サイボウズ株式会社が提供する「メールワイズ」は、多くの企業で導入を検討される代表的なツールの一つです。
本記事では、メールワイズの導入を検討されている担当者や、メール共有システムについて情報収集中の方に向けて、以下の内容を網羅的に解説します。
- メールワイズの主要機能や料金体系
- 導入による具体的なメリットと、知っておくべき注意点
- 強みである「kintone連携」で実現できること
- 自社に最適なメール共有システムを選ぶための比較ポイント
メールワイズとは?サイボウズ社が提供するメール共有システム
メールワイズとは、グループウェアで国内トップクラスのシェアを誇るサイボウズ株式会社が開発・提供するメール共有システムです。
個人で利用するGmailやOutlookのようなメールソフトとは異なり、support@... や info@... といった共有のメールアドレスに届くメールを、チームの複数人で分担して処理することに特化しています。
「誰が」「いつ」「どのメールに」「どこまで対応したか」といった対応状況をチーム全体で可視化・共有することで、対応漏れや二重対応といったヒューマンエラーを防止し、顧客対応の品質向上と業務効率化を同時に実現することを目的としています。
多くの企業で導入されている同社のグループウェア「Garoon」や、業務改善プラットフォーム「kintone」との連携に強みを持っているのが大きな特徴です。
メールワイズの主な機能一覧
メールワイズには、チームでのメール対応を円滑にするための機能が豊富に搭載されています。ここでは、その主な機能をカテゴリ別に整理してご紹介します。
カテゴリ | 機能名 | 機能概要 |
---|---|---|
メール対応効率化 | ステータス機能 | メールごとに「未処理」「処理中」「処理済み」などのステータスを設定し、対応状況を可視化。 |
担当者設定 | 一通一通のメールに担当者を設定でき、責任の所在を明確化。 | |
コメント機能 | メール本文とは別に、社内用のコメントを残せる機能。対応方針の相談や上司へのエスカレーションがスムーズに。 | |
テンプレート機能 | よくある問い合わせへの返信文などをテンプレートとして登録。返信作成時間を短縮し、品質を均一化。 | |
一斉送信機能 | 顧客リストに基づき、メールマガジンやお知らせなどを一斉配信。 | |
管理・分析機能 | 対応履歴の一元管理 | 顧客ごとの過去の問い合わせ履歴を自動で蓄積。担当者が変わってもスムーズな引き継ぎが可能。 |
集計レポート | 期間や担当者、メールの種別ごとに対応件数などを集計・グラフ表示。業務量の把握や課題分析に活用。 | |
アドレス帳共有 | 顧客情報(会社名、担当者名、電話番号など)を登録・管理。 | |
アクセス権設定 | フォルダや機能ごとに、ユーザーのアクセス権を細かく設定可能。 | |
外部連携 | kintone連携 | kintone上の顧客情報とメールワイズの対応履歴を双方向で連携。 |
電話・訪問履歴 | メールだけでなく、電話や訪問による顧客対応の履歴も記録・共有可能。 |
これらの機能が連携しあうことで、単にメールを送受信するだけでなく、チーム全体の「顧客対応力」を底上げする仕組みを構築できるのが、メールワイズをはじめとするメール共有システムの価値と言えます。
メールワイズを導入する5つのメリット
メールワイズを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、5つの大きなメリットを解説します。
メリット1:徹底した情報共有で「対応漏れ」「二重対応」を防止
複数人でメール対応を行う際の典型的な課題は、「対応漏れ」と「二重対応」です。
メールワイズでは、受信したメール1件ごとに「誰が担当か」「対応状況はどうか(未処理、処理中、完了など)」が一覧画面で一目瞭然になります。これにより、「誰かが対応してくれるだろう」という思い込みによる対応漏れや、対応状況が分からず複数の担当者が同じメールに返信してしまう二重対応などのミスを防ぐことができます。
担当者が不在の場合でも、他のメンバーが対応状況を即座に把握し、スムーズにカバーできる体制を整えることもできるようになります。
メリット2:対応状況のリアルタイム共有による効率化
従来のメーラー(Outlookなど)で転送やCCを駆使して情報共有を行うと、メールボックスが整理しづらくなったり重要なメールが埋もれてしまい、最新の状況を把握するのが困難でした。
メールワイズでは、全ての情報が一つのシステムに集約され、チーム全員が常に最新の対応状況をリアルタイムで共有できます。誰かがメールを開封したり、返信したりすると、そのステータスが即座に反映されるため、「このメール対応した?」といった社内確認の手間が大幅に削減されます。
メリット3:過去の対応履歴の一元管理とスムーズな活用
顧客からの問い合わせに回答する際、「以前、このお客様とどんなやり取りをしただろうか?」と過去のメールを探すのに苦労した経験はないでしょうか。
メールワイズを使えば、特定の顧客との過去のメール送受信履歴や、電話・訪問の履歴まで、全てが一元管理されています。メールアドレスや会社名で検索するだけで、これまでの経緯を瞬時に把握できるため、担当者が変わった場合でも、お客様を待たせることなく、的確で質の高い対応が可能になります。これは、顧客満足度の向上に直結する重要なメリットです。
メリット4:kintone連携による顧客情報の一元管理
メールワイズの最大の強みの一つが、同じサイボウズ社が提供する業務改善プラットフォーム「kintone」とのシームレスな連携です。
kintoneで管理している顧客マスタや案件情報と、メールワイズの対応履歴を紐付けることができます。これにより、メールワイズの画面上でkintoneに登録された顧客の基本情報や商談状況を確認しながらメール対応ができるようになります。
このように、顧客に関するあらゆる情報が一元化され、営業部門とカスタマーサポート部門間など、部署を横断したスムーズな情報共有が実現します。既にkintoneを導入している企業にとっては、非常に大きなメリットと言えます。
メリット5:テンプレート活用による対応品質の均一化と効率化
「担当者によってメール対応の品質にばらつきがある」「毎回同じような内容の文章を入力するのが非効率」といった課題は、テンプレート機能で解決できます。
よくある質問への回答、商品発送の案内、お詫びの文章などをテンプレートとして登録しておくことで、誰でも数クリックで質の高いメールを作成できます。これにより、返信速度が向上するだけでなく、新人でもベテランと同じ品質の対応が可能になり、チーム全体の対応品質の底上げに繋がります。
メールワイズの注意点・デメリット
多くのメリットがある一方で、導入を検討する上で知っておくべき注意点や、ユーザーによってはデメリットと感じられる可能性のある点も存在します。ここでは客観的な視点から2つのポイントを挙げます。
1. 高度な分析・レポーティング機能は限定的
メールワイズにも担当者別や期間別のメール処理件数を集計する機能は備わっています。しかし、「問い合わせ内容の内訳を詳細に分析したい」「対応時間の平均を計測して業務改善に繋げたい」といった、より高度な分析を行いたい場合には、機能が物足りないと感じる可能性があります。
どのようなデータをどのように分析し、業務改善に活かしたいのかを事前に明確にし、メールワイズの集計機能で要件を満たせるかを確認することが重要です。
2. サポート体制はメールが基本
サイボウズの公式サイトによると、メールワイズのテクニカルサポートは基本的にメールでの問い合わせとなります。迅速な回答を心がけていると記載されていますが、「緊急時に電話ですぐに相談したい」「画面を見ながら操作を教えてほしい」といった手厚い電話サポートを重視する企業にとっては、少し心許なく感じるかもしれません。
システムの導入初期や、運用でトラブルが発生した際のサポート体制は、安心して利用を続けるための重要な選定ポイントの一つです。
メールワイズの料金プラン
メールワイズは現在、サーバーの構築が不要な「クラウド版」が提供されています。初期費用は無料で、ユーザー数に応じた月額料金で利用できます。契約は5ユーザーからとなります。ここでは、クラウド版の料金体系について詳しく解説します。
※「パッケージ版」は、2020年9月30日をもって新規ライセンスの販売を終了しています。また、すべてのサポートサービスも2026年1月30日に終了予定です。
● スタンダードコース
メール共有システムの基本的な機能が利用できる標準的なプランです。
利用ユーザー数 | 月額料金(税抜) | 1ユーザーあたりの月額料金(税抜) |
---|---|---|
5ユーザー | 3,000円 | 600円 |
10ユーザー | 6,000円 | 600円 |
50ユーザー | 30,000円 | 600円 |
100ユーザー | 60,000円 | 600円 |
※価格は2025年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
● プレミアムコース
スタンダードコースの機能に加え、kintone連携やAPI連携など、より高度な活用が可能になるプランです。
利用ユーザー数 | 月額料金(税抜) | 1ユーザーあたりの月額料金(税抜) |
---|---|---|
5ユーザー | 9,000円 | 1,800円 |
10ユーザー | 18,000円 | 1,800円 |
50ユーザー | 90,000円 | 1,800円 |
100ユーザー | 180,000円 | 1,800円 |
※価格は2025年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
メールワイズでは、クラウド版の全機能を30日間無料で試すこともできます。申し込みは公式サイトから簡単に行え、クレジットカードの登録も不要です。
前述のUIの確認や、自社の業務にフィットするかどうかを判断するためにも、意思決定の前に無料トライアルを活用して使用感を確かめてみることをおすすめします。
メールワイズの導入事例に学ぶ活用法
メールワイズを実際に導入した企業が、どのように課題を解決しているのか。公式サイトの導入事例から、典型的な活用パターンを読み解きます。
活用パターン1:カスタマーサポート・問い合わせ窓口
典型的な課題:
多くの企業で、info@やsupport@といった代表アドレス宛の問い合わせ対応に課題を抱えています。従来のメーラーでは、誰がメールを開封し、対応しているのかが見えず、対応状況の確認に手間がかかっていました。その結果、返信の遅延や、同じ問い合わせに複数名が返信してしまう二重対応が発生し、顧客満足度の低下を招いていました。
メールワイズによる解決策:
メールワイズを導入することで、受信したメールごとに「未処理」「処理中」「完了」といったステータスと「担当者」が一覧で可視化されます。これにより、チームの誰もが一目で対応状況を把握できるようになり、対応漏れや二重対応を根本から防ぎます。多くの導入企業が、返信速度の向上とミスの削減を実感しており、中には「ほぼ全ての問い合わせに当日中に返信できるようになった」という成果を上げています。
活用パターン2:営業・管理部門(バックオフィス)
典型的な課題:
営業担当者や、法務・経理などの管理部門では、顧客や他部署との重要なやり取りが担当者個人のメールボックスに溜まってしまいがちです。これにより、担当者が不在の際に業務が停滞する「業務の属人化」が発生。進捗状況が不透明になり、組織としての対応力が低下する原因となっていました。
メールワイズによる解決策:
部署用の共有メールアドレスをメールワイズで一元管理することで、全てのやり取りがチームの共有財産となります。過去の経緯も簡単に検索できるため、担当者が変わってもスムーズな引き継ぎが可能です。さらに、メールだけでなく電話の応対履歴も残せるため、顧客とのあらゆる接点を記録・共有し、対応品質の向上に繋げている事例も多く見られます。
活用パターン3:kintone連携による高度な情報活用
典型的な課題:
メールの情報と、基幹システムやExcelで管理している顧客情報が分断されているケースは少なくありません。メール対応の際に、わざわざ別のシステムを開いて顧客情報を確認したり、逆に対応履歴を手作業で転記したりといった手間が発生し、非効率でした。
メールワイズによる解決策:
メールワイズの強みであるkintoneとの連携を活用することで、これらの情報はシームレスに繋がります。kintoneで管理している顧客情報や案件情報をメールワイズの画面上で確認しながら返信したり、メールでのやり取りを自動でkintoneに蓄積したりすることが可能です。これにより、部門間の情報連携が円滑になり、法務相談への回答速度が2倍になるなど、組織全体の生産性向上に大きく貢献しています。
【徹底比較】メールワイズと他のメール共有システム
メールワイズは優れたツールですが、市場には他にも様々な特徴を持つメール共有システムが存在します。ここでは、代表的なツールとして、16年連続売上シェアNo.1の実績を持つ「メールディーラー」を軸に、メールワイズとの比較を行います。
比較項目 | メールワイズ (サイボウズ) | メールディーラー (ラクス) |
---|---|---|
料金 (月額/5ユーザー) |
3,000円〜 (スタンダード) | 要問い合わせ |
主な機能 | ・ステータス管理 ・担当者設定 ・テンプレート ・kintone連携 |
・ステータス管理 ・担当者設定 ・テンプレート ・承認機能 ・AIメール作成機能 |
外部連携 | kintone連携が強力 | 各種CTI、CRM/SFA、受注管理システムなど連携可能 |
サポート体制 | メールでのサポート | 専任担当によるサポート |
導入実績 | 非公開 (サイボウズ製品全体で高いシェア) | 導入8,000社以上 16年連続売上シェアNo.1(※) |
無料トライアル | 30日間 | 14日間 |
公式サイト |
「メールワイズ」 製品サイト |
「メールディーラー」 製品サイト |
※ 出典:ITR「ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2025」メール処理市場:ベンダー別売上金額推移およびシェア(2009~2024年度予測)
どちらのツールがおすすめか?
<メールワイズがおすすめの企業>
- すでにサイボウズ社の「Garoon」や「kintone」を導入しており、システム間の連携を重視したい企業
- とにかくコストを抑えてメール共有を始めたい企業
<メールディーラーがおすすめの企業>
- 電話での相談など、導入から運用まで手厚いサポート体制を求める企業
- メールだけでなく、ECモールの注文連絡やLINEなど、複数チャネルからの問い合わせを一元管理したい企業
- 業界No.1の実績と信頼性を重視する企業
結論として、メールワイズは「kintoneとの連携」という明確な強みを持つ優れたツールです。一方で、導入実績や安心して導入・運用できる手厚いサポート体制を考慮すると、「メールディーラー」も選択肢の1つになります。
メール共有システム選びで失敗しないための3つのポイント
最後に、メールワイズやメールディーラーを含め、自社に最適なメール共有システムを選ぶために、事前に確認すべき3つのポイントをご紹介します。
1. 自社の課題を解決できる機能が過不足なく揃っているか
「対応漏れを防ぎたい」「履歴を管理したい」という基本的な課題は多くのシステムで解決できます。しかし、一歩踏み込んで、「返信内容の品質を担保したい(→承認機能が必要)」「業務量を分析して人員配置に活かしたい(→高度な集計機能が必要)」など、自社特有の課題を洗い出し、それを解決する機能が備わっているかを確認することが重要です。
多機能すぎても使いこなせずコストが無駄になりますし、機能が足りなければ導入の意味がありません。
2. チームの誰もがストレスなく使いこなせる操作性か
メール共有システムは、毎日、チームの複数のメンバーが利用するツールです。一部のITリテラシーが高い人しか使えないような複雑なシステムでは、社内に浸透せず、宝の持ち腐れになってしまいます。
導入前に必ず複数名で無料トライアルを試し、「画面は分かりやすいか」「直感的に操作できるか」「日々の業務の流れにスムーズに組み込めるか」といった観点で厳しくチェックしましょう。
3. 導入後のサポート体制は万全か
システムを導入して終わりではありません。むしろ、そこからがスタートです。「こういう運用をしたいが、どう設定すればいいか?」「トラブルが発生したので、すぐに対応してほしい」といった場面は必ず発生します。
そのような時に、気軽に相談できる窓口があるか、迅速で的確なサポートを受けられるかは、ツールの価値を最大限に引き出す上で重要です。特に、システムの導入や運用に不安がある場合は、電話サポートの有無は大きな安心材料となります。
まとめ
本記事では、サイボウズ社のメール共有システム「メールワイズ」について、その機能から料金、メリット・デメリット、評判、そしてメールディーラーとの比較まで、徹底的に解説しました。
どちらも優れたツールですが、価格だけでなく、機能面やサポート面も複合的に見て、自社の課題や運用体制に最も適しているツールを選ぶようにしましょう。
▼累計導入実績8,000社以上!メール共有システム「メールディーラー」
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