
カスタマーサポートの品質は、顧客満足度や企業のブランドイメージを左右する重要な要素です。しかし、「問い合わせ対応に追われて本来の業務ができない」「担当者によって対応品質にばらつきがある」といった課題を抱える企業は少なくありません。
このような課題を解決する手段として、近年多くの企業がカスタマーサポートツールの導入を進めています。その中でも、特に注目を集めているのが株式会社PR TIMESが提供する「Tayori」です。
Tayoriは、専門知識がなくてもWebサイト上に顧客接点を手軽に構築できるツールとして、多くのスタートアップや中小企業に支持されています。
本記事では、Tayoriの機能、料金プラン、メリット・デメリットから実際の導入事例まで、網羅的に解説します。さらに、事業の成長フェーズに合わせたプランの選び方についてもご紹介します。
Tayoriとは?顧客接点を一元化するカスタマーサポートツール
Tayoriは、「フォーム」「FAQ」「チャット」「アンケート」という、顧客とのコミュニケーションに不可欠な4つの機能を、プログラミングなどの専門知識(ノーコード)なしで簡単に作成・管理できるクラウド型のカスタマーサポートツールです。
「ITツールに詳しい人材がいない」「まずはコストを抑えて顧客対応を効率化したい」といったニーズに応え、Webサイトからの問い合わせ窓口の設置や、よくある質問(FAQ)ページの公開などをスピーディーに実現します。
運営元はプレスリリース配信サービスで知られる株式会社PR TIMESであり、信頼性の高さも特徴の一つです。顧客接点を手軽に構築し、初期のカスタマーサポート体制を整えるための強力なツールとして位置づけられています。
Tayoriの主な4つの機能と活用シーン
Tayoriの強みは、顧客対応に必要な基本機能がオールインワンで提供されている点にあります。それぞれの機能がどのような業務課題を解決するのか、機能詳細と具体的な活用シーンを合わせて見ていきましょう。
1. フォーム作成機能
Webサイトにおける顧客との最初の接点となるのが「フォーム」です。Tayoriのフォーム作成機能は、その手軽さと柔軟性に定評があります。
機能詳細 | 主な活用シーン |
---|---|
・豊富なテンプレート(問い合わせ、資料請求など) ・ドラッグ&ドロップの直感的な操作 ・デザイン、カラーのカスタマイズ ・自動返信メールの設定 ・ファイル添付機能 ・Slack、Chatworkへの受信通知 |
・Webサイトの「お問い合わせフォーム」 ・ホワイトペーパーなどの「資料請求フォーム」 ・セミナーやイベントの「参加申し込みフォーム」 ・採用活動における「応募フォーム」 |
2. FAQ作成機能
「同じような質問に何度も回答している」という課題は、FAQ(よくある質問)ページを整備することで解決できます。顧客の自己解決を促すことで、問い合わせ件数そのものを削減する効果が期待できます。
機能詳細 | 主な活用シーン |
---|---|
・簡単なテキスト入力、画像挿入 ・カテゴリ別の整理機能 ・キーワードによる検索機能 ・ロゴ設定やカラー変更などのデザインカスタマイズ ・ユーザーからのフィードバック機能(「役に立った」ボタン) |
・ECサイトでの「送料・返品に関するFAQ」 ・SaaSプロダクトの「機能や使い方に関するFAQ」 ・社内ヘルプデスクとしての「PC設定やシステム利用に関するFAQ」 |
3. チャット(チャットボット)機能
Webサイトを訪れたユーザーに対して、リアルタイムで対応できるのがチャット機能の魅力です。疑問をその場で解決することで、顧客満足度の向上や離脱防止に繋がります。
機能詳細 | 主な活用シーン |
---|---|
・会話シナリオ設定による自動応答(チャットボット) ・有人チャットへの切り替え機能(※プランによる) ・チャットウィンドウのアイコンやカラー設定 |
・Webサイト訪問者へのリアルタイム案内 ・営業時間外の問い合わせ一次受付 ・ECサイトでの商品購入に関する簡易的な質問対応 |
4. アンケート機能
顧客の声を直接収集し、サービス改善やマーケティングに活かすためにアンケート機能は不可欠です。
機能詳細 | 主な活用シーン |
---|---|
・自由記述、選択式など多彩な質問形式 ・豊富なテンプレート(顧客満足度調査など) ・回答結果の自動集計、グラフ化機能 ・Webページへの埋め込み機能 |
・製品・サービス導入後の「顧客満足度調査」 ・セミナーやイベント後の「参加者アンケート」 ・Webサイトのコンテンツ評価を測るための「NPS調査」 |
Tayoriの料金プランを徹底比較|無料プランと有料プランの違い
Tayoriの大きな魅力の一つは、無料で始められる「フリープラン」が用意されている点です。まずは無料で試し、必要に応じて有料プランへアップグレードできます。
ここでは、各プランの主な違いを比較し、自社の状況に合ったプランを選ぶためのポイントを解説します。
※2025年7月時点の情報です。最新の料金・機能詳細は公式サイトをご確認ください。
プラン | 月額料金(税抜) | 主な特徴と機能制限 | こんな企業におすすめ |
---|---|---|---|
フリー | ¥0 | 【基本機能の体験に最適】 ・ユーザー数1名まで ・フォーム/FAQ/アンケート各1個まで ・AIチャットボット使用不可 ・ロゴ非表示不可 |
個人事業主、まずは機能を試したい企業、ごく小規模な問い合わせ対応 |
スターター | ¥3,800 | 【本格運用のスタートに】 ・ユーザー数3名まで ・フォーム/FAQ/アンケート 各3個まで ・AIチャットボット使用不可 ・有人チャット1つまで ・ロゴ非表示可能 |
チームでの運用を開始したい企業、問い合わせ件数が増えてきた企業 |
プロフェッショナル | ¥11,980 | 【チームでの高度な活用に】 ・ユーザー数10名まで ・フォーム/FAQ/アンケート 無制限 ・AIチャットボット無制限 ・有人チャット3つまで ・ロゴ非表示可能 |
複数部署での利用、セキュリティを重視する企業、より高度な管理を求める企業 |
エンタープライズ | ¥25,400 (31名以上で利用する場合の料金は要問い合わせ) | 【大規模組織・高度なセキュリティ要件に】 ・ユーザー数11名以上 ・フォーム/FAQ/アンケート 無制限 ・AIチャットボット無制限 ・有人チャット3つまで(各アカウント毎) ・ロゴ非表示可能 ・複数アカウント作成可能 ・専任サポートあり |
大企業、金融機関、官公庁など |
Tayoriを導入する5つのメリット
Tayoriが多くの企業に選ばれる理由、そのメリットを5つのポイントに絞って解説します。
メリット1:ノーコードで誰でも簡単に導入・運用できる
最大のメリットは、その手軽さです。HTMLやCSSといった専門知識がなくても、管理画面から直感的な操作だけでフォームやFAQページを作成できます。これにより、情報システム部門に頼ることなく、現場の担当者が必要な時にスピーディーに顧客接点を構築・改善することが可能です。
メリット2:無料から始められる低コスト
多くの高機能なカスタマーサポートツールが月額数万円から数十万円する中で、Tayoriは無料のフリープランからスタートできます。有料プランも比較的安価な価格設定であり、「スモールスタート」でツール導入の効果を検証しながら、徐々に投資を拡大していくことができます。これは、特に予算が限られる中小企業やスタートアップにとって大きな魅力です。
メリット3:顧客接点の主要機能を一元管理できる
通常であれば、「フォーム作成ツール」「FAQ構築システム」「チャットボットサービス」と、別々のツールを契約・管理する必要があります。Tayoriはこれら主要な機能を一つのプラットフォームで提供するため、管理が煩雑になりません。問い合わせの受付から自己解決の促進まで、顧客体験を一つのツールで設計できる点は大きな強みです。
メリット4:豊富なテンプレートでスピーディーに公開可能
ゼロから何かを作るのは時間も手間もかかります。Tayoriには、様々な業種や用途を想定したテンプレートが豊富に用意されています。これらのテンプレートをベースに少しカスタマイズするだけで、デザイン性の高いフォームやFAQページを短時間で公開できます。
メリット5:問い合わせ対応の初期段階を自動化・効率化できる
FAQによる自己解決の促進や、チャットボットによる一次対応の自動化により、有人対応が必要な問い合わせの数を削減できます。これにより、サポート担当者は、より複雑で個別性の高い問い合わせに集中できるようになり、顧客対応全体の質と生産性の向上に繋がります。
導入前に知っておきたいTayoriの注意点
手軽で高機能なTayoriですが、万能ではありません。導入後に後悔することのないよう、事前に注意点も理解しておくことが重要です。
注意点1:複雑な連携や高度なカスタマイズには向かない
Tayoriは手軽さを重視しているため、SFA/CRMといった外部の顧客管理システムや、基幹システムとのAPI連携といった高度な連携機能は限定的です。また、デザインのカスタマイズもテンプレートの範囲内が基本となり、CSSなどを駆使した自由自在なデザイン変更はできません。
注意点2:複数人での本格的な問い合わせ管理には機能が限定的
Tayoriの受信箱(フォームやチャットからの問い合わせを管理する機能)は、シンプルな設計です。そのため、1日に数十件以上の問い合わせが来るような、複数人チームでの本格的な問い合わせ対応業務においては、専門ツールと比較すると機能が限定的な側面もあります。例えば、厳密な担当者割り当てや、二重対応をシステムで完全に防ぐ仕組み、詳細な対応履歴の管理などは、より専門的なツールが必要となる場合があります。
注意点3:電話やSNSなど、多様なチャネルの統合はできない
Tayoriが得意とするのは、Webサイト上の顧客接点(フォーム、FAQ、チャット)です。しかし、顧客からの問い合わせは、メール、電話、SNSのDM、レビューサイトなど、多岐にわたるのが実情です。これらの多様なチャネルから寄せられる問い合わせを一つの管理画面で統合したい、というニーズには応えられません。
【目的別】Tayoriの導入事例を紹介
ここでは、Tayoriが実際にどのような企業で、どのように活用され、成果を上げているのかを、公式サイトで公開されている事例をもとに紹介します。
事例1:社内ヘルプデスク利用による問い合わせ90%削減(株式会社山下PMC様)
建設プロジェクトマネジメントを手がける山下PMC様では、情報システム部門への社内問い合わせ対応に課題を抱えていました。
- 課題: 複数のチャネル(口頭、メール、チャット)から問い合わせが寄せられ、対応状況の管理やナレッジの蓄積が困難だった。
- 導入後の成果: 問い合わせ窓口をTayoriのフォームに一本化。さらにFAQとAIチャットボットを整備した結果、社内からの問い合わせが90%も削減されました。担当者は本来のコア業務に集中できる体制を構築し、業務効率を大幅に改善しました。
参照元: 社内問い合わせ数90%減! FAQとAIチャットボットを組み合わせ効果最大化【株式会社山下PMC】(Tayori Blog)
事例2:「脱・紙文化」を実現するDX推進ツールとして(茨城ダイハツ販売株式会社様)
地域の自動車販売を担う茨城ダイハツ販売様では、紙媒体が中心だった業務のデジタル化を推進していました。
- 課題: これまで紙で管理していた業務連絡やマニュアルが多く、情報の共有や更新に手間がかかっていた。デジタルツールへの苦手意識を持つ従業員も少なくなかった。
- 導入後の成果: シンプルで直感的に使えるTayoriを導入し、各種申請フォームや業務マニュアルのFAQ化に着手。「自然とデジタルに溶け込む」形で、現場のDXを推進。紙ベースの業務が削減され、情報共有の迅速化とペーパーレス化を実現しました。
参照元: 脱・紙文化! 地方の老舗ディーラーが取り組んだ“自然と溶け込む”デジタル推進【茨城ダイハツ販売株式会社】(Tayori Blog)
自社に最適なツールを選ぶには?ツールの「目的」を理解する
Tayoriがおすすめな企業は、これまで見てきたように「手軽に顧客接点を構築したい」「まずはコストを抑えてCSを始めたい」というニーズを持つ企業です。
しかし、ツール選定において重要なのは、自社の現在の課題と目的に応じて選ぶことです。カスタマーサポート関連のツールは、目的に応じて大きく2種類に分けられます。
- 顧客接点 作成ツール
Tayoriのように、フォームやFAQなどで自己解決を促し、問い合わせ数自体を削減することを目的としたツール
-
問い合わせ対応 管理ツール
寄せられた問い合わせを、チームで「いかに高品質かつ効率的に処理するか」を目的としたツール
事業の初期段階では「1」が重要ですが、問い合わせの量と質が事業の根幹に関わるようになると、「2」の役割を担う専門ツールの導入が視野に入ってきます。
例えば、以下のような課題を感じ始めたら、それは「問い合わせ管理」の仕組みを見直すタイミングかもしれません。
- 複数人での対応で、誰が何を担当しているのか分からなくなることがある。
- 対応漏れや二重対応が発生してしまい、顧客からの信頼を損ねかねない。
- 担当者による返信内容のばらつきをなくし、会社としての回答品質を均一化したい。
- 承認フローをシステム化して、上長の確認作業を効率化したい。
- メールだけでなく電話やチャットなど、複数の窓口をまとめて管理したい。
「顧客接点の作成」が得意なツールと、「チームでの対応プロセスの最適化」が得意なツールとでは、搭載されている機能が異なる点は理解しておく必要があります。
本格的な問い合わせ管理には「専門ツール」という選択肢
「チームでの問い合わせ対応プロセスの最適化」が最重要課題の場合、その領域に特化した専門ツールの検討が有効です。
その代表的な選択肢の一つが、ラクスが提供する「メールディーラー」です。
メールディーラーは、16年連続売上シェアNo.1(※)を誇る、クラウド型のメール共有・管理システムです。メール、電話、チャットなど、複数のチャネルから寄せられる問い合わせ情報を一元化し、チーム全員で高品質かつ効率的な対応を実現するための機能が豊富に揃っています。
※ 出典:ITR「ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2025」メール処理市場:ベンダー別売上金額推移およびシェア(2009~2024年度予測)
ツールの目的で比較するTayoriとメールディーラー
両ツールの違いを、「目的」という観点から比較してみましょう。
比較項目 | Tayori | メールディーラー |
---|---|---|
主目的 | 顧客接点(フォーム・FAQ等)の作成・問い合わせ数の削減 | チームでの問い合わせ対応の管理・効率化 |
主要機能 | ・フォーム作成 ・FAQ構築 ・チャットボット ・アンケート作成 |
・メール共有、ステータス管理 ・担当者割り当て、二重返信防止 ・テンプレート、承認機能 ・各種レポート |
最適な利用シーン | ・CS体制の立ち上げ ・Webサイトからの問い合わせ窓口設置 ・定型的な質問の削減 |
・複数名での本格的な問い合わせ対応 ・対応品質の標準化、向上 ・属人化の解消と業務プロセスの改善 |
チームコラボレーション | 受信箱でのシンプルなステータス管理が中心。一部プランで関係者間のコメント機能を利用可能。 | 担当者設定、社内コメント、承認ワークフローなど、チームでの連携を前提とした機能が豊富。 |
導入のしやすさ・コスト | 専門知識は不要。無料プランから始められ、低コストでのスモールスタートが可能。 | チームの運用ルールに合わせた初期設定を推奨。月額制の有料プランで、一定の予算が必要。 |
公式サイト |
「tayori」 製品サイト |
「メールディーラー」 製品サイト |
自社の課題が「問い合わせ窓口がない」「同じような質問が多くて大変」ということであればTayoriが、一方で「チームでの対応にミスや漏れが多い」「対応品質がバラバラで属人化している」ということであれば、メールディーラーが、それぞれ有力な選択肢になります。
まとめ
本記事では、カスタマーサポートツール「Tayori」について、その機能から料金、メリット、導入事例までを詳しく解説しました。
「メールディーラー」との比較を通じて、最適なツール選びのポイントを解説しました。
どちらも優れたツールですが、自社の課題を最も的確に解決してくれるツールを選ぶようにしましょう。
▼累計導入実績8,000社以上!問い合わせ管理システム「メールディーラー」
>>無料で資料をダウンロードする
※本サイトに掲載されている情報は、株式会社ラクス(以下「当社」といいます)または協力会社が独自に調査したものであり、当社はその内容の正確性や完全性を保証するものではありません。