現代の企業では、企業活動やビジネスを効率的に進めていくために、ITシステムを活用することはほぼ必須となっています。そこで重要となるのが、ITシステムを常時安定的に稼働させるためのインシデント管理です。
インシデント管理を推進したいけれども、煩雑さや負担の大きさが課題となっている方もいるのではないでしょうか。
本記事ではインシデント管理ツールの導入を検討している方に向けて、ツールの概要やメリット、主な機能、ツールのタイプ、選び方などを紹介します。
これから社内のインシデント管理を推進していきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
インシデント管理ツールとは
インシデントとは、直訳すると重大な事故に発展する恐れのある事態のことです。ビジネスにおいてはシステムの障害や不具合、遅延、サイバー攻撃、不正アクセス、情報漏えいなど、システムに関するセキュリティリスク全般を指します。
インシデント管理ツールとは、上記のインシデントに対して、対応状況や進捗の可視化を行い、効率的でスムーズな管理を可能とするツールのことです。
アナログな手法でのインシデント管理は負担が大きく、状況の把握も困難です。インシデントの管理とトラブルの早急な解決を目的に、近年ではインシデント管理ツールに対するニーズは高まってきています。
導入前に知っておくべきインシデント管理ツールのメリット
インシデント管理ツールを導入するメリットを知ることで、自社にツールを導入すべきか判断できます。ここでは、インシデント管理の必要性、インシデント管理を実施する主なメリットについて解説します。
現状の可視化
インシデント管理ツールを導入すると「誰が」「どの案件を」「どのようなステータスで」対応しているかがリアルタイムで可視化されます。
Excelやメールなどの管理では、個々の対応状況がブラックボックス化しがちですが、ツールであればチーム全体の動きが把握できます。これにより「特定の担当者への負荷集中」や「長期間放置されている案件」といった業務におけるボトルネックを発見できます。
状況が正確に把握できるため、緊急度に応じた優先順位付けや、適切な権限委譲がスムーズに行えるようになり、組織全体での解決スピードが向上します。
ナレッジの蓄積
インシデント管理ツールを導入すれば、発生したインシデント・対応内容・対処方法といったデータをナレッジとして蓄積していくことが可能です。蓄積したナレッジを分析することで、今後のインシデント管理の業務改善やノウハウ構築に役立てることができます。
インシデント管理のナレッジを人の手で蓄積していくには、多大な労力が必要となります。その作業をほぼ自動化できることは、ツールを活用する大きなメリットと言えるでしょう。
対応の標準化
インシデントへの対応は、個々の担当者のスキルや経験により対応の可否や対応の質が左右されるため、属人的になりやすい傾向があります。優れた担当者に案件が集中しがちとなるため、スムーズなインシデント対応を行うには、担当者間での差異をなくして対応の標準化を図ることが重要です。
インシデント管理ツールを導入すれば、蓄積したナレッジを担当者間で共有することで、対応の標準化を図ることが可能です。また蓄積したナレッジをもとに標準化された対応ノウハウを作り出すこともできます。
対応漏れの防止
インシデントへの対応においては、急なトラブルや想定外のリスクに見舞われることも少なくないため、適切な管理が行われていなければ対応漏れが発生してしまう可能性があります。
インシデント管理ツールでは、案件ごと・チャネルごとに対応にあたっている担当者・対応状況・進捗を可視化して一元管理することができるため、全体の状況が一目瞭然となります。責任の所在や対応の可否などもすべて明確化されるため、対応漏れをなくせることも大きなメリットです。
プロセスとゴールの明確化
インシデント管理ツールを導入すれば、自社のインシデントに関する情報を集約して一元管理することが可能となるため、プロセスとゴールを明確化できます。対応すべきインシデントの数・内容・進捗・状況・工数などを可視化できるため、効率よく短時間でインシデントの解決を目指すことが可能となります。
インシデント管理においては、トラブルや不具合により利用者に支障をきたしている状態を迅速かつ的確に解決することが求められるため、プロセスとゴールを明確化できることはツールを活用する大きなアドバンテージとなります。
インシデント管理ツールの主な機能
インシデント管理ツールには、インシデント対応の効率化と品質向上を実現するための複数の機能が備わっています。主な機能は、以下の通りです。
- データ集計・分析機能
- タスク管理機能
- ワークフロー機能
- 業務効率化・自動化機能
- FAQ・ナレッジベース機能
- 問い合わせ一元管理機能
- 対応状況一覧表示機能
- 自動振り分け機能
- 便利機能
- 集計・分析・レポーティング
- 管理機能
データ集計・分析機能
効率的なインシデント管理を行うためのインシデント管理ツールの主要機能です。案件数・内容・進捗・割り振り・対応状況などのインシデント管理に関するあらゆるデータを集約して一元管理することが可能となり、データの集計や分析も自動化できます。
タスク管理機能
案件ごとにタスクを立て、状況や進捗をチーム全体で管理することができる機能です。期限を設定して通知やメッセージを送付することも可能です。
ワークフロー機能
案件の対応や進捗に関して管理者の承認が必要となる場合に、ツール上から承認を得ることができる機能です。ワークフローの効率化によりインシデント管理の効率化を図れます。
業務効率化・自動化機能
テンプレート・重複対応防止・リマインド・自動通知など、担当者の負担を軽減して効率的な業務を支援する機能です。高価なインシデント管理ツールほど機能が充実しています。
FAQ・ナレッジベース機能
担当者の自己解決を促すFAQ・ナレッジベースを構築する機能です。ナレッジ共有によりインシデントの防止や発生時の迅速な対応が可能です。
問い合わせ一元管理機能
メール・電話・チャット・SNSといった様々なチャネルからの問い合わせを一元管理する機能です。チャネルを一本化することで効率的なインシデント管理とスムーズな対応が可能となります。
対応状況一覧表示機能
リアルタイムで対応状況や進捗を表示する機能です。的確な状況把握が可能となり、対応効率の向上や解決までの時間短縮を図れます。
自動振り分け機能
問い合わせを担当者へ自動で振り分ける機能です。担当者の負荷軽減や空いている人的リソースの有効活用が可能となります。
便利機能
テンプレート・入力サポート・自動回答など業務を利便化する機能です。インシデント管理を行う担当者の業務効率化・負荷軽減を図れます。
集計・分析・レポーティング
収集したデータを自動で集計・分析・レポーティングする機能です。インシデント管理の状況を可視化することで、問題・課題の把握や業務改善を図るのに役立ちます。
管理機能
プロジェクト管理・タスク管理など、業務の進行を管理する機能です。インシデント管理の効率化・負荷軽減・ロスの低減・精度向上など様々な効果が期待できます。
インシデント管理ツールのタイプ
インシデント管理ツールは、サポートの目的に応じて主に2つのタイプがあり特徴が異なります。
自社の課題にマッチしたツールを選定することが導入効果を最大化するカギとなります。タイプ別の特徴を理解し、目的に合ったツールを選びましょう。
インシデント管理ツールのタイプは、以下の通りです。
- 問い合わせ管理システムタイプ
- プロジェクト管理システムタイプ
問い合わせ管理システムタイプ
問い合わせ管理システムをベースとしたインシデント管理ツールです。社内外から寄せられるシステムに関する問い合わせに対して、迅速かつ効率的な対応ができます。
プロジェクト管理システムタイプ
プロジェクト管理・タスク管理システムをベースとしたインシデント管理ツールです。インシデントに対して担当者・タスク・スケジュールの設定を行い、チームで分担して問題の対処に取り組むことができます。工数のかかるインシデントに対してはプロジェクトを別途作成してチーム全体で取り組むことも可能です。
インシデント管理ツールの選び方
インシデント管理ツールのタイプを理解した上で、どちらのタイプを選択すべきかが簡単に判断できるように、タイプ別の目的・課題と選び方のフローチャートをご紹介します。
タイプ別のおすすめ比較表
| インシデント管理ツールの種類 | 目的・課題 |
|---|---|
| 問い合わせ管理システムタイプ |
・技術的な問い合わせやトラブル報告を一元管理する必要がある ・障害報告や操作方法に関する質問を、インシデントとして管理する必要がある ・対応履歴を問題管理や再発防止に活用したい |
| プロジェクト管理システムタイプ |
・中長期的な課題解決や大規模なIT変更管理に重点を置いている ・IT環境に大きな影響を与える変更作業が多い ・他部門や外部ベンダーとの連携が多い ・顧客からのインシデントを、そのまま新機能開発として取り込みたい ・リソースの管理を徹底したい |
選び方のフローチャート
どちらのタイプのインシデント管理ツールを選ぶべきか判断がつかない場合、フローチャートを利用することで、簡易的におすすめのタイプが判断できます。
【質問1】顧客からの技術的な問い合わせや障害報告が、日常的に発生していますか?
- はい → 問い合わせ管理システムタイプ
- いいえ → 質問2へ
【質問2】発生したインシデントや課題を、中長期的な開発や大規模なIT変更と関連付けて管理したいですか?
- はい → プロジェクト管理システムタイプ
- いいえ → 質問3へ
【質問3】インシデントの対応履歴を、問題管理や再発防止の分析に活用することに重点を置いていますか?
- はい → 問い合わせ管理システムタイプ
- いいえ → 質問4へ
【質問4】他部門や外部ベンダーとの連携が多いですか?
- はい → プロジェクト管理システムタイプ
- いいえ → 再検討を推奨
インシデント管理ツールおすすめ5選【問い合わせ管理システムタイプ】
| 対応状況管理 | 担当者管理 | マルチチャネル | ナレッジ管理 | 自動化 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 楽楽自動応対(旧メールディーラー) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| CarePlus Cloud | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ | ◯ |
| Zendesk | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| Freshdesk | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| Re:lation | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
1.楽楽自動応対(旧メールディーラー)
出所:楽楽自動応対(旧メールディーラー)公式Webサイト
楽楽自動応対(旧メールディーラー)は、問い合わせ窓口を一元管理し、複数人で共有することで、返信遅れや対応漏れの発生を防ぐことができるクラウド型の「問い合わせ管理システム」です。
楽楽自動応対には、インシデント管理に役立つ機能が搭載されています。ここでは、主に3つの機能をピックアップしてご紹介します。
対応状況管理(ステータス管理)
楽楽自動応対の対応状況管理の画面イメージ
対応状況管理(ステータス管理)機能は、届いた問い合わせを対応状況ごとに振り分けて管理する機能です。受信メールが新着・返信処理中・対応完了と自動で移動するため、どのメールを誰がどこまで対応しているのか、リアルタイムで共有できるようになり、対応漏れや重複対応の防止に役立ちます。
また、利用者から状況確認の問い合わせがあったときに、担当者以外でもどこまで対応しているのか瞬時に把握できるため、確認のために待たせてしまうことがありません。
メール以外にも電話応対やチャットのやりとりも対応状況の管理が可能です。
対応履歴確認機能
楽楽自動応対の対応履歴の画面イメージ
担当者が問い合わせを個別に管理していると、過去どのようなインシデントが発生し、どのような対応をしたのかが担当者しか把握できません。たとえば、同じトラブルが続けて発生してしまった利用者に、初めてのように対応してしまうと、大きなクレームに発展してしまう可能性があります。
楽楽自動応対の対応履歴確認機能では、利用者のメールアドレスをワンクリックするだけでその利用者との今までのやり取りが、担当者や対応チャネルをまたいですべて時系列で一覧表示できます。
パソコンやスマートフォンなど複数のメールアドレスから問い合わせをしていた場合でも、ひとりの利用者として紐付けて管理できます。
分類・レポート機能
楽楽自動応対の分類・レポート機能の画面イメージ
メールごとに属性情報を付与することができ、楽楽自動応対上のレポート機能で簡単に集計ができます。
問い合わせ内容を分類しておくと、どういった問い合わせが多いのかを分析することが可能です。分析結果をもとにFAQページを充実させるなど、問い合わせ件数を削減する施策に活用いただけます。
2.CarePlus Cloud
出所:CarePlus Cloud公式Webサイト
SCSKが提供するクラウド型のメール管理ツールです。企業のメールシステムをクラウド上に移行し、セキュリティや可用性を向上させます。メールの暗号化やスパムフィルタリングなどのセキュリティ機能を備えており、メールの安全性を確保します。
また、障害時の自動フェイルオーバーや災害対策機能も搭載されており、ビジネスの連続性を確保します。シンプルな操作性や柔軟なカスタマイズ性も特長であり、多様なビジネスニーズに対応します。
3.Zendesk
出所:Zendesk公式Webサイト
顧客サポートやチケット管理を効率化するためのクラウドベースのヘルプデスクソリューションです。豊富な機能を備え、カスタマーサポートの品質向上を支援します。チケットの自動振り分けやSLA管理、リアルタイムのレポート機能など、効率的なチーム作業を可能にします。
オムニチャネル対応で、メール、チャット、ソーシャルメディアなど様々なチャネルからの問い合わせを一元管理できます。柔軟なカスタマイズ性と豊富なアプリ連携も特長であり、ビジネスの成長に柔軟に対応します。
4.Freshdesk
出所:Freshdesk公式Webサイト
顧客サポートとヘルプデスク管理のためのクラウドベースのプラットフォームです。豊富な機能を備え、使いやすさと柔軟性を兼ね備えています。メール、電話、チャット、ソーシャルメディアなど複数のチャネルを統合し、効率的なカスタマーサポートを実現します。
チケットの自動ルーティングやSLA管理、知識ベースの構築など、効率化に貢献する機能が豊富に揃っています。また、カスタマイズ性が高く、ビジネスのニーズに合わせて柔軟に設定できます。組織が成長するにつれて拡張可能であり、スケーラビリティも高いのが特徴です。
最大10エージェントまでの無料プランもあります。
5.Re:lation
出所:Re:lation公式Webサイト
Ingageが提供するメール管理ツールです。ビジネス向けに設計されており、メールの受信トレイを効率的に整理し、業務効率を向上させます。AI技術を活用して、重要なメールを自動的に分類し、タスク管理やスケジュール管理をサポートします。
また、メールの添付ファイルの検索や管理も容易に行えるため、情報の見落としを防ぎます。セキュリティ機能も充実しており、機密情報の保護を強化します。使いやすさと柔軟性を重視したインターフェースであり、ビジネスコミュニケーションを円滑にします。
インシデント管理ツールおすすめ5選【プロジェクト管理システムタイプ】
| 進捗状況の管理 | タスクの管理 | カスタマイズ性 | ITILの準拠 | |
|---|---|---|---|---|
| Redmine | ◯ | ◯ | ◯ | △ |
| Backlog | ◯ | ◯ | ◯ | △ |
| Time Krei | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| Asana | ◯ | ◯ | ◯ | △ |
| monday.com | ◯ | ◯ | ◯ | △ |
1.Redmine
出所:Redmine公式Webサイト
オープンソースのプロジェクト管理ツールです。柔軟性とカスタマイズ性が高く、チケット管理、バグトラッキング、リソース管理、ドキュメント管理などの機能を提供します。多言語対応やプラグインの利用により、様々なプロジェクトに適用可能です。
Webベースのインターフェースで、タスクの進捗状況やチームのコミュニケーションを効率的に管理できます。また、ガントチャートやカレンダー機能など、プロジェクトの計画と進行を視覚化するためのツールも備えています。
中小企業や個人プロジェクトにも広く利用されており、無料で利用可能です。
2.Backlog
出所:Backlog公式Webサイト
プロジェクト管理とチームコラボレーションを強化するためのオンラインプロジェクト管理ツールです。タスクの追跡、バグ管理、ソースコード管理、Wiki、ファイル共有など、プロジェクト管理に必要な機能を網羅しています。
さらに、スクラムやカンバンなどのアジャイル開発手法をサポートし、チームの効率化を図ります。オンライン上でのコミュニケーションが円滑に行えるため、分散チームやリモートワークで活用することも可能です。
グラフやレポート機能により、プロジェクトの進捗状況やリソースの利用状況を可視化し、プロジェクト全体の把握を容易にします。使いやすさと高いカスタマイズ性が特徴であり、様々なビジネスに対応します。
どのプランも30日間無料で機能を試すことが可能です。
3.Time Krei
出所:Time Krei公式Webサイト
TENDAが提供するタイムトラッキングおよび勤怠管理ソリューションです。従業員の労働時間を把握し、プロジェクトごとの時間管理を効率化します。オンラインでの勤怠入力や休暇管理、残業申請にも対応しています。
また、プロジェクト別の作業時間を可視化し、報告書を作成できる点も特長です。使いやすいインターフェースと柔軟なカスタマイズ性が特長であり、様々なビジネスニーズに対応します。
4.Asana
出所:Asana公式Webサイト
チームでプロジェクトを管理し、タスクを追跡するためのオンラインプロジェクト管理ツールです。直感的なタスクボードやカレンダー、リストビューにより、タスクの進捗状況を視覚的に把握できます。コメント機能やファイル共有機能を備えており、チーム内のコミュニケーションを円滑にすることが可能です。
プロジェクトのタスクを細分化し、担当者や期限を設定することで効率的に作業を進められます。これにより、プロジェクトの進捗状況やリソースの利用状況をリアルタイムで把握でき、チーム全体の生産性向上に貢献します。
アプリにも対応しているため、場所を問わず作業を管理できます。
5.monday.com
出所:monday.com公式Webサイト
直感的なインターフェースと豊富な機能を備えたオンラインワークスペースです。チームのプロジェクト管理とタスク管理を効率化し、カスタマイズ可能なボード形式でタスクを管理し、リアルタイムでの進捗状況共有を実現します。
ガントチャートやカレンダー表示などの視覚化ツールも利用可能で、様々な業界やチームに適用可能です。
導入前に知っておくべきインシデント管理ツールのデメリット
インシデント管理ツールを導入するデメリットもあわせて理解することで、ツールを導入するべきか判断ができます。インシデント管理ツールを導入するデメリットは、以下の通りです。
- 導入・運用コストの発生
- 定着までの学習コストと工数の増加
- 専門知識の必要性
- メンテナンスへの負担
- 運用への負担
導入・運用コストの発生
インシデント管理ツールは、導入時だけでなく運用開始後もコストが発生します。クラウド型の場合は初期設定費用、オンプレミス型ではサーバーの購入費用やシステム構築費用など、初期投資が高額になりやすいです。
また、利用ユーザー数が増えると月額料金やライセンス費用が増加し、ランニングコストが想定以上に膨らむケースもあります。導入後のシステム管理や定期的なメンテナンス、従業員向けのトレーニングにかかる人件費など、間接的なコストも無視できません。
そのためインシデント管理ツールを導入する際は、初期費用だけで判断せず、運用を含めたトータルコストを事前に把握しておくことが重要です。
定着までの学習コストと工数の増加
インシデント管理ツールは導入後すぐに効果を発揮するとは限らず、定着するまでには学習コストと工数がかかります。新しいツールを導入すると、従業員は操作方法の習得や、新たな運用プロセスに慣れることが必要です。研修やマニュアル確認に割く時間が生じ、通常業務に影響が出る場合もあります。
特に導入直後は操作に戸惑ったり入力ミスが発生することで、従来の方法よりも対応に時間がかかる可能性があります。インシデント対応の効率が一時的に低下することも考えられるため、定着までの期間を見越した運用計画を立てることが重要です。
専門知識の必要性
インシデント管理ツールを自社の業務フローに合わせてカスタマイズする場合、複雑な設定や高度なITスキルが必要になる可能性があります。そのためツールの機能を十分に活用できず、導入効果が限定的になるケースも少なくありません。
また専門知識を持つ担当者が社内にいない場合、外部のコンサルタントに設定や運用支援を依頼する必要があります。その結果初期費用や運用コストに加えて、追加の外部委託費用が発生する点も考慮しておく必要があります。
メンテナンスへの負担
インシデント管理ツールは、機能を活用しようとするあまり過剰にカスタマイズすると、システムが複雑になる可能性があります。自社の業務に合わせて設定を細かく作り込むほどシステム構成や運用ルールが複雑になり、担当者以外が把握しにくくなることもあります。
システムが複雑化すると設定変更などの影響範囲が広がり、トラブル対応や保守作業に多くの工数がかかります。その結果、運用負荷が高まり、継続的なメンテナンスが困難になるリスクがある点にも注意が必要です。
運用への負担
インシデント管理ツールのメリットの一つであるナレッジの蓄積を活かすには、ナレッジベースの内容を最新かつ正確に保つための継続的な運用が欠かせません。ナレッジベースの情報更新や修正を怠った場合、実態と合わない情報が蓄積されてしまいます。
またナレッジベースの更新が滞ったり、情報が整理されておらず検索性が低いと、従業員が活用しなくなる可能性があります。導入にかけたコストに対して十分な投資対効果が得られなくなるため、注意が必要です。
インシデント管理ツールの比較ポイント
ここでは、インシデント管理ツールの選び方について解説します。これからツールの導入を行う方や、自社に合うツールをお探しの方は、ぜひ参考にしてみてください。
導入・運用・メンテナンスが容易か
インシデント管理ツールは、インシデントへの対応状況を管理するために、日常的に活用していくツールです。そのため、ツールの運用に従事する担当者ができるだけスムーズに扱えるように、導入・運用・メンテナンスなどの作業を容易に行えるツールを選ぶことが重要となります。
ツールの機能・性能を重視することはもちろん大事ですが、操作が難しいツールだとそのポテンシャルも発揮することは困難になります。
導入前には複数のツールを比較しつつ、無料トライアルなどを活用して、自社の担当者が問題なく扱えるツールを選ぶようにしましょう。
自動化が可能か
インシデント管理ツールは、的確なインシデント管理を行うと同時に、煩雑で負担の大きいインシデント管理を効率化するために導入するツールです。そのため、対応状況や進捗の可視化・レポーティング・問い合わせの分類・担当者割り振りなど、できるだけ多くの作業を自動化できるツールを選ぶことが重要なポイントです。
インシデント管理の人的リソースを抑えるためにも、リスクが小さいうちに少ない労力で迅速な対処を可能とするためにも、自動化に優れたツールを選ぶようにしましょう。
導入コストや機能性のバランスがよいか
インシデント管理ツールは基本的に有料のツールとなるため、イニシャルコストやランニングコストがかかることとなります。そのため、導入にあたってはツールの機能・性能と支払うコストのバランスについても厳しくチェックすることが重要です。
単に機能・性能に優れているだけでなく、自社のインシデント管理にどれほど貢献できるかをチェックすることが重要なポイントとなります。
機能・性能に優れたツールほどコストは高くなるため、自社に合うツールを選ぶ場合は、必要な機能とそうではない機能をあらかじめ切り分けておき、各製品やプランを細かく比較検討することが必要となります。
ツールの比較検討を十分に行えれば、不要なコストを抑えて投資対効果を高めることができます。
クラウド型かオンプレミス型か
インシデント管理ツールの提供方法には、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。両者の主な特徴は以下の通りです。
| クラウド型 | ・短期間で手軽に導入できる ・導入コスト・ランニングコストが低額 ・拡張性・連携性は低い |
|---|---|
| オンプレミス型 | ・カスタマイズ性に優れている ・導入コスト・ランニングコストが高額 ・導入・メンテナンスの労力がかかる |
近年ではクラウド型でも様々なツールが提供されているため、多くの場合はこちらでニーズをカバーすることが可能です。クラウド型では要件を満たせない場合には、オンプレミス型での導入を検討するとよいでしょう。
部門ごとの展開が可能か
インシデント管理はIT部門だけでなく、他の部門にも関連しています。
シームレスに管理できるツールを選び、経営者や管理者の視点からも多角的にインシデント管理できることを考慮して選択しましょう。
無料トライアルやデモを利用して適切なツールを見極めることも重要です。
ITILに準拠しているか
インシデント管理ツールを比較する際は、ITILに準拠しているかを確認することが重要です。
ITILは「Information Technology Infrastructure Library」の略で、ITサービスを効果的かつ効率的に管理するための成功事例やベストプラクティスを体系的にまとめたフレームワークです。世界中で広く採用されており、ITサービスマネジメントの指針として活用されています。
ITILの目的は、サービス品質の向上や運用コストの削減、ビジネス目標の達成です。そのため、ITILに準拠したインシデント管理ツールを選ぶことで、属人化を防ぎながら安定した運用体制を構築しやすくなります。自社の課題に合わせて必要な部分だけを取り入れることが可能であり、ニーズに合わせて活用できます。
目的に合ったインシデント管理ツールを選ぼう
ITシステムが企業活動の根幹を支えている現代においては、常時安定的にシステムを稼働させることが重要となります。トラブルやリスクをできるだけ回避するためにも、また万が一の際に迅速な対処と復旧を行うためにも、インシデント管理は欠かせない取り組みと言えるでしょう。
しかし、インシデント管理は煩雑で労力がかかる業務であるため、自社に適したツールを導入して効率性と正確性の向上を図ることが重要なポイントです。ツールを活用することで、インシデント管理の業務効率化とインシデント発生時の迅速な復旧を両立できます。
問い合わせ管理システムの活用は、対応漏れや遅れを防ぎ、複数人での対応を効率化する有効な施策です。これからインシデント管理を推進していく方は、ぜひ当記事も参考にして、自社に合うインシデント管理ツールの活用方法を検討してみてください。
インシデント管理には、対応状況管理や対応履歴確認機能が搭載され、9,000社を超える導入実績がある「楽楽自動応対(旧メールディーラー)」が有効です。
17年連続売上シェアNo.1※の「楽楽自動応対」の資料をぜひ一度ダウンロードし、詳細をご確認ください。
※出典:ITR「ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2026」メール処理市場:ベンダー別売上金額推移およびシェア(2009~2025年度予測)、同レポートには旧製品名(メールディーラー)で掲載
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