
現代の企業では、企業活動やビジネスを効率的に進めていくために、ITシステムを活用することはほぼ必須となっています。そこで重要となるのが、ITシステムを常時安定的に稼働させるためのインシデント管理です。
インシデント管理を推進したいけれども、煩雑さや負担の大きさが課題となっている方もいるのではないでしょうか。
当記事では、インシデント管理ツールの概要・必要性・メリット・選び方・問い合わせ管理システム活用のメリットについて解説していきます。
これから社内のインシデント管理を推進していきたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
インシデント管理ツールとは

インシデントとは、直訳すると重大な事故に発展する恐れのある事態のことで、ビジネスにおいてはシステムの障害・不具合・遅延やサイバー攻撃・不正アクセス・情報漏えいなどのセキュリティリスク、システムに関するリスクファクター全般のことを言います。
インシデント管理ツールとは、上記のインシデントに対して、対応状況や進捗の可視化を行い、効率的でスムーズな管理を可能とするツールのことです。
アナログな手法でのインシデント管理は負担が大きく、状況の把握も困難です。インシデントの管理とトラブルの早急な解決を行うことを目的に、近年ではインシデント管理ツールに対するニーズは高まってきています。
インシデント管理ツールのタイプ
インシデント管理ツールには、大きく分けて以下2つのタイプがあります。
問い合わせ管理システムタイプ
問い合わせ管理システムをベースとしたインシデント管理ツール。社内外から寄せられるシステムに関する問い合わせに対して、迅速かつ効率的な対応を行う。
プロジェクト管理システムタイプ
プロジェクト管理・タスク管理システムをベースとしたインシデント管理ツール。インシデントに対して担当者・タスク・スケジュールの設定を行い、チームで分担して問題の対処に取り組む。工数のかかるインシデントに対してはプロジェクトを別途作成してチーム全体で取り組むことも可能。
インシデント管理の状況や業務体制に合わせて、適したタイプのツールを導入することがポイントとなります。
インシデント管理ツールの主な機能
インシデント管理ツールの主要機能には、以下のようなものが挙げられます。
データ集計・分析機能
効率的なインシデント管理を行うための、インシデント管理ツールの主要機能。案件数・内容・進捗・割り振り・対応状況などのインシデント管理に関するあらゆるデータを集約して一元管理することが可能。データの集計や分析も自動化することが可能。
タスク管理機能
案件ごとにタスクを立て、状況や進捗をチーム全体で管理することができる機能。期限を設定して通知やメッセージを送付することも可能。
ワークフロー機能
案件の対応や進捗に関して管理者の承認が必要となる場合に、ツール上から承認を得ることができる機能。ワークフローの効率化によりインシデント管理の効率化を図れる。
業務効率化・自動化機能
テンプレート・重複対応防止・リマインド・自動通知など、担当者の負担を軽減して効率的な業務を支援する機能。高価なインシデント管理ツールほど機能が充実している。
インシデント管理の必要性・メリット

ここでは、インシデント管理の必要性、インシデント管理を実施する主なメリットについて解説します。
ナレッジの蓄積
インシデント管理ツールを導入すれば、発生したインシデント・対応内容・対処方法といったデータをナレッジとして蓄積していくことが可能です。蓄積したナレッジを分析することで、今後のインシデント管理の業務改善やノウハウ構築に役立てることができます。
インシデント管理のナレッジを人の手で蓄積していくには、多大な労力が必要となります。その作業をほぼ自動化できることは、ツールを活用する大きなメリットと言えるでしょう。
対応の標準化
インシデントへの対応は、個々の担当者のスキルや経験により対応の可否や対応の質が左右されるため、属人的になりやすい傾向があります。優れた担当者に案件が集中しがちとなるため、スムーズなインシデント対応を行うには、担当者間での差異をなくして対応の標準化を図ることが重要です。
インシデント管理ツールを導入すれば、蓄積したナレッジを担当者間で共有することで、対応の標準化を図ることが可能です。また蓄積したナレッジをもとに標準化された対応ノウハウを作り出すこともできます。
業務効率の改善
インシデント管理ツールには、以下のようなインシデント管理を効率的に実施するためのさまざまな機能が搭載されています。
FAQ・ナレッジベース機能
担当者の自己解決を促すFAQ・ナレッジベースを構築する機能。ナレッジ共有によりインシデントの防止や発生時の迅速な対応が可能。
問い合わせ一元管理機能
メール・電話・チャット・SNSといったさまざまなチャネルからの問い合わせを一元管理する機能。チャネルを一本化することで効率的なインシデント管理とスムーズな対応が可能となる。
対応状況一覧表示機能
リアルタイムで対応状況や進捗を表示する機能。的確な状況把握が可能となり、対応効率の向上や解決までの時間短縮を図れる。
自動振り分け機能
問い合わせを担当者へ自動で振り分ける機能。担当者の負荷軽減や空いている人的リソースの有効活用が可能となる。
便利機能
テンプレート・入力サポート・自動回答など業務を利便化する機能。インシデント管理を行う担当者の業務効率化・負荷軽減を図れる。
集計・分析・レポーティング
収集したデータを自動で集計・分析・レポーティングする機能。インシデント管理の状況を可視化することで、問題・課題の把握や業務改善を図るのに役立つ。
管理機能
プロジェクト管理・タスク管理など、業務の進行を管理する機能。インシデント管理の効率化・負荷軽減・ロスの低減・精度向上などさまざまな効果が期待できる。
このような機能を活用することで、インシデント管理の業務効率化を実現することが可能になります。
対応漏れの防止
インシデントへの対応においては、急なトラブルや想定外のリスクに見舞われることも少なくないため、適切な管理が行われていなければ対応漏れが発生してしまう可能性があります。
インシデント管理ツールでは、案件ごと・チャネルごとに対応にあたっている担当者・対応状況・進捗を可視化して一元管理することができるため、全体の状況が一目瞭然となります。責任の所在や対応の可否なども全て明確化されるため、対応漏れをなくせることも大きなメリットです。
プロセスとゴールが明確になる
インシデント管理ツールを導入すれば、自社のインシデントに関する情報を集約して一元管理することが可能となるため、プロセスとゴールを明確化することができます。対応すべきインシデントの数・内容・進捗・状況・工数などを可視化できるため、効率よく短時間でインシデントの解決を目指すことが可能となります。
インシデント管理においては、トラブルや不具合により利用者に支障をきたしている状態を迅速かつ的確に解決することが求められるため、プロセスとゴールを明確化できることはツールを活用する大きなアドバンテージとなります。
インシデント管理ツールの選び方

ここでは、インシデント管理ツールの選び方について解説します。これからツールの導入を行う方や、自社に最適なツールをお探しの方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
導入・運用・メンテナンスが容易か
インシデント管理ツールは、インシデントへの対応状況を管理するために、日常的に活用していくツールです。そのため、ツールの運用に従事する担当者ができるだけスムーズに扱えるように、導入・運用・メンテナンスなどの作業を容易に行えるツールを選ぶことが重要となります。
ツールの機能・性能を重視することはもちろん大事ですが、操作が難しいツールだとそのポテンシャルも発揮することは困難になります。
導入前には複数のツールを比較しつつ、無料トライアルなどを活用して、自社の担当者が問題なく扱えるツールを選ぶようにしましょう。
自動化が可能か
インシデント管理ツールは、的確なインシデント管理を行うと同時に、煩雑で負担の大きいインシデント管理を効率化するために導入するツールです。そのため、対応状況や進捗の可視化・レポーティング・問い合わせの分類・担当者割り振りなど、できるだけ多くの作業を自動化できるツールを選ぶことが重要なポイントです。
インシデント管理の人的リソースを抑えるためにも、リスクが小さいうちに少ない労力で迅速な対処を可能とするためにも、自動化に優れたツールを選ぶようにしましょう。
導入コストや機能性のバランスが良いか
インシデント管理ツールは基本的に有料のツールとなるため、イニシャルコストやランニングコストがかかることとなります。そのため、導入にあたってはツールの機能・性能と支払うコストのバランスについても厳しくチェックすることが重要です。
単に機能・性能に優れているだけでなく、自社のインシデント管理にどれほど貢献できるかをチェックすることが重要なポイントとなります。
機能・性能に優れたツールほどコストは高くなるため、自社に最適なツールを選ぶ場合は、必要な機能とそうではない機能をあらかじめ切り分けておき、各製品やプランを細かく比較検討することが必要となります。
ツールの比較検討を十分に行えれば、不要なコストを抑えて投資対効果を高めることができます。
クラウド型かオンプレミス型か
インシデント管理ツールの提供方法には、大きく分けてクラウド側とオンプレミス型の2種類があります。両者の主な特徴は以下の通りです。
クラウド型 |
・短期間で手軽に導入できる ・導入コスト・ランニングコストが低額 ・ 拡張性・連携性は低い |
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オンプレミス型 |
・カスタマイズ性に優れている ・導入コスト・ランニングコストが高額 ・導入・メンテナンスの労力がかかる |
近年ではクラウド型でもさまざまなツールが提供されているため、多くの場合はこちらでニーズをカバーすることが可能です。クラウド型では要件を満たせない場合には、オンプレミス型での導入を検討すると良いでしょう。
インシデント管理には問い合わせ管理システム「メールディーラー」がおすすめ

インシデント管理におすすめのツールとして、「メールディーラー」を紹介します。
メールディーラーは、問い合わせ窓口を一元管理し、複数人で共有することで、返信遅れや対応漏れの発生を防ぐことができるクラウド型の「問い合わせ管理システム」です。
メールディーラーには、インシデント管理に役立つ機能が搭載されています。ここでは、4つの機能をピックアップしてご紹介します。
対応状況管理(ステータス管理)

対応状況管理(ステータス管理)機能は、届いた問い合わせを対応状況ごとに振り分けて管理する機能です。受信メールが新着・返信処理中・対応完了と自動で移動するため、どのメールをだれがどこまで対応しているのか、リアルタイムで共有できるようになり、対応漏れや重複対応の防止に役立ちます。
また、利用者から状況確認の問い合わせがあったときに、担当者以外でもがどこまで対応しているのか瞬時に把握できるため、確認のために待たせてしまうことがありません。
メール以外にも電話応対やチャットのやりとりも対応状況の管理が可能です。
対応履歴確認機能

担当者が問い合わせを個別に管理していると、過去どんなインシデントが発生し、どのような対応をしたのかが担当者しか把握できません。たとえば、同じトラブルが続けて発生してしまった利用者に、初めてのように対応してしまうと、大きなクレームに発展してしまう可能性があります。
メールディーラーの対応履歴確認機能では、利用者のメールアドレスをワンクリックするだけでその利用者との今までのやり取りが、担当者や対応チャネルをまたいで全て時系列で一覧表示できます。
パソコンやスマートフォンなど複数のメールアドレスから問い合わせをしていた場合でも、ひとりの利用者として紐付けて管理できます。
テンプレート機能

メールディーラーのテンプレート機能は、テンプレートデータもクラウド上で共有、管理されるため、最新テンプレートの使用を徹底することができます。
さらに、受信メールの件名や本文のキーワードを条件に設定すると、返信に最適な定型文を自動で選出してくれるため、業務に慣れない新人や定型文の種類が多いチームでも、使うべき定型文をすぐに判断できるようになります。
分類・レポート機能

メールごとに属性情報を付与することができ、メールディーラー上のレポート機能で簡単に集計ができます。
問い合わせ内容を分類しておくと、どういった問い合わせが多いのかを分析することが可能です。分析結果をもとにFAQページを充実させるなど、問い合わせ件数を削減する施策に活用いただけます。
自社に最適なインシデント管理ツールを選びましょう
ITシステムが企業活動の根幹を支えている現代においては、常時安定的にシステムを稼働させることが重要となります。トラブルやリスクをできるだけ回避するためにも、また万が一の際に迅速な対処と復旧を行うためにも、インシデント管理は欠かせない取り組みと言えるでしょう。
しかしインシデント管理は煩雑で労力がかかる業務であるため、自社に適したツールを導入して効率性と正確性の向上を図ることが重要なポイントです。ツールを活用することで、インシデント管理の業務効率化とインシデント発生時の迅速な復旧を両立することができます。
問い合わせ管理システムの活用は、対応漏れや遅れを防ぎ、複数人での対応を効率化する有効な施策です。これからインシデント管理を推進していく方は、ぜひ当記事も参考にして、自社に最適なインシデント管理ツールの活用方法を検討してみて下さい。
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