自慢げに言う話ではありませんが、私、昔から「女性の好みがよくない」と言われ続けています。外見の問題ではありません。同性に煙たがられる、“嫌われ女子”に好意を抱いてしまうことが多いのです。「男子の前だと、ぜんぜん態度が違うよ」「ぶりっ子なんだよね」「表と裏のある子だよ」等々、同性の評判の悪い子に好意を持ってしまいます。
しかし、そんな嫌われ女子に限って、なぜか男性からモテたりします。私も、この手の女性に好意を持って、何度もフラれてきました。ええ、10戦10敗といってもいいでしょう。なぜ、そんなにフラれまくったかというと、ライバルが多かったからです。世の中の男は、9割ぐらいはバカばっかりです(自分も含む)。だから、こういう女性に男は群がり、そして本質をまったく見抜けずに、最後は玉砕してしまうのです。
では、なぜ嫌われ女子は、男性にこんなに好かれるのでしょうか。それは、態度が「大げさ」だからです。男性の前で露骨に態度を変えたり、相手に好意を持っているような言葉を発してみたり。「大げさ」に反応することを女性の武器として活用しているので、女性からはたくさん反感を買ってしまい、男性からは賞賛を浴びてしまうのです。
しかし、これはコミュニケーションを取る上では非常に重要なことです。大げさなリアクションは、良くも悪くも人の感情を動かします。つまり、「大げさ」に見える行動は、相手に「分からせる」という目的を、最も達成しやすいアクションのひとつなのです。
ネットショップのメール対応は、大げさなぐらいが丁度いい
さて、導入文が長くなりましたが、メール対応のお話です。「メール」は、言葉のニュアンスが伝わりにくい伝達ツールです。だから、嫌われ女子と同様に「大げさ」な表現を用いて、積極的にコミュニケーションを取っていかなくてはいけません。
例えば、売り手側が意外に困るのが、商品の感想がメールで届くときです。嬉しいお言葉や感謝のお気持ちを、お客様から頂けたことは、非常に喜ばしいことです。それは認めます。でも、ぶっちゃけた話、「なんて返信すればいいの?」と頭を抱えてしまうのが本音だったりしませんか?例えば、下記のようなメールは、案外、返事に困る事例だったりします。
このように、「この内容だったら、楽天市場やアマゾンのレビューに書いてくれよ」と思えるような感想が、直接、メールで届いてしまうと、かなり困ってしまいます。返事の内容どころか、「そもそもメールを返信するべきなのか?」という、根本的なところで悩んでしまいます。結果、お客さんの感想メールのほうが、クレーム対応よりも時間がかかってしまうのです。
このことを上司に報告すると、ほとんどの人がこう答えるでしょう。
「適当に返事しとけよ」
その上司は『すでにお客さんが満足している』と認識しているため、このような指示を出してしまうんだと思います。いわゆる、釣った魚に餌はあげない手法です。この対応は、決して間違っていません。なぜならば、メールの対応には、面倒なものがはるかに多いからです。そうした、新規のお客さんやトラブルになっているお客さんに餌を撒くのに精一杯になってしまうため、どうしても、わざわざ感想を送ってくださるような良いお客さんに餌を撒くことに手を抜いてしまうのです。
そして最終的には、上司の言う通りに、こんな淡白なメールを返信してしまいます。
コピペよろしく、当たり障りのない返事で、一件落着――このような対応メールを送ってしまうネットショップが、ほとんどではないでしょうか。しかし、こんな抑揚もへったくれもないメールを返すと、お客さんは、こう思う可能性が出てきてしまいます。
「せっかく書いたのに、こんな味気ない返事しかくれないのか?」
「なんだか冷たいお店だなぁ」
もちろん、全員がそう思う訳ではありません。むしろ、何の感情も抱かないお客さんのほうが多いと思います。しかし、ネットショップにわざわざ感想を送ってくるお客さんは、ネット上でそれなりに影響力を持っている人である可能性が高いといえます。なぜならば、自分の思っていることを人に伝えるのが好きな人だからです。それに、もしかしたら、返信することで喜びが増して、楽天やアマゾンにレビューを書いてくれるかもしれませんし、ブログやフェイスブックに感想を書き込んでくれるかもしれません。SNSが普及して、お客さんが自由に情報発信ができる時代になったからこそ、クレーム対応と同じぐらい、良い感想を寄越してくれたお客さんには、心地よい対応をしなければいけないのです。
では、具体的に、どのように対応すればいいのでしょうか。
神メール対応テクニック:感嘆符「!」と、恥ずかしい表現を使う
ここで活用すべきなのが、嫌われ女子から学んだ「大げさ」対応です。できるだけ「大げさ」な表現を駆使して、サクッと短い返事をするのが“神対応”といえます。例えば、次のような対応メールはいかがでしょうか。
ポイントとしては、とにかく「!」を連発させることです。これが一番、短い文章で喜びを伝える効果的な方法です。頭が悪そうな文章に見えてしまいますが、ここは我慢して下さい。できるだけ「!」は、積極的に使っていくことをおすすめします。
次に重要なのが、「恥ずかしい表現を使う」というテクニックです。上記の文章だと“目に浮かびます”“心が温かくなる”等の表現です。日常生活で、こんな言葉を使っている人は、ほぼ間違いなく、周りから友達がいなくなります。でも、このくらいの「大げさ」な表現を使わなければ、相手にメールをもらった喜びが伝わらないのです。
ただし、メールの文末には注意が必要です。文章の流れで、「また嬉しい感想を寄せて下さいね」等と返信してしまうと、さらに、長い返事が戻ってきてしまい、それこそ永遠に終わらない無限ループのメール対応に陥ってしまいます。お客さんと下手にコミュニケーションを増やしてしまうと、お客さんから絶大な信頼を得てしまいます。そして、しまいには男に足をナイフで刺された怖い話を聞かされたり、庭に野良犬がウンコして困っているという相談をされたり、ただのお悩み相談室状態に陥ってしまうのです(注:実話)。
そのため、最後の文章で「もうメールしなくていいからね♪」という雰囲気だけは伝える必要があります。今回のメールの文末の「がんばります」「応援よろしくお願いします」という締めくくりは、“はい、おしまい”という状況が非常に伝わりやすい言葉と言えます。
自分の感情×1.5倍のリアクションを、メール対応で表現する
さて、このようにお客さんの感想メールに「大げさ」に対応すると、お客さんは、自分の出したメールで、相手が喜んでくれたと理解してくれるようになります。そして、その商品に対して良い印象を持ってくれたり、リピーターになってくれたりします。
しかし、だからといって、バカ丁寧にメールを長文で返していると、それこそ、無駄な労力となってしまいます。できるだけ短く、そしてサラッと返すためには、やはり「大げさ」な表現を使って、コンパクトにメールを返すテクニックが必要なのです。多くの男子に「あれ、この人、俺のこと好きなんじゃね?」と勘違いさせる、嫌われ女子の「大げさ」対応は、実はもっとも効率のいいファン作りの手法のひとつなのです。
「大げさ」なメールを返すという手法は、お客さんの感想メールだけではなく、クレームメールや、ビジネスメールでも、活用できます。自分の感情の1.5倍ぐらいのリアクションを意識してメールを返すのが、ちょうど良いさじ加減です。
もし、このコラムを読んで、究極のメール対応部署を作りたいと思った人がいれば、面接で積極的に嫌われ女子を採用していくことをお勧めします。ただし、社内の男女関係がゴタゴタになってしまうリスクは避けられないと思いますが……。
そう、男はやっぱりバカばっかりなんです。
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