コールセンターの現場では、慢性的な人手不足や入電の集中により「電話がつながらない」「定型業務ばかりでオペレーターが疲弊している」といった課題を抱える企業が少なくありません。顧客満足度を維持しつつ、限られた人員で業務効率を向上するための解決策として、現在注目されているのがLINEの活用です。
本記事では、コールセンター業務でLINEを活用する方法や導入メリット、効果が出やすい業界の具体的な活用例、導入の手順、注意点を解説します。最後まで読むことで、LINEを活用してコールセンターの業務効率化と顧客満足度向上を両立する方法が分かります。
コールセンターが抱える主な課題
コールセンターでは電話がつなからない、オペレーターが疲弊する、営業時間外に対応できないといった課題が多く見られます。電話対応に依存した体制を続けていると、業務効率の低下や顧客の不満につながりかねません。
ここでは、代表的な課題を3つ紹介します。
慢性的な人手不足と呼量の集中により電話がつながりにくい
多くのコールセンターでは、人手不足と呼量(入電数)の集中が重なり、電話がつながりにくい状況が常態化しています。労働人口の減少に加え、専門知識やストレス耐性が求められるコールセンターでは、採用難が続いているためです。
特にセール期間や障害発生時などは問い合わせが集中し、既存の人員では対応しきれず放棄呼が急増します。電話がつながらないストレスは顧客離れの要因となり、SNSでの悪評拡散など二次被害を招きかねません。
定型業務が続きオペレーターが疲弊する
2つ目の課題は、定型業務に追われ続けた結果、オペレーターが疲弊し離職を誘発する要因になるという点です。
単純な問い合わせにより呼量が増加することで電話が鳴り止まない状態となり、オペレーターの精神的な疲弊を招くケースがあります。また、営業時間や手続き方法の確認といった単純な質問への対応が繰り返されると、有人対応が必須である個別の相談に時間を割けなくなります。
営業時間が限定されることで顧客満足度の低下や機会損失が生じる
電話窓口の受付時間が限られている点も、コールセンターが抱える課題の1つです。夜間や休日にトラブルが発生した顧客をサポートできず、すぐに解決したいというニーズに応えられないとサービスへの不満増加や他社への乗り換えにつながるためです。
また、夜間や休日に問い合わせできなかった顧客は、翌営業日の開始を待ってから一斉に電話をかけてくる傾向があります。その結果、始業直後に入電が集中し、電話がつながりにくい状況をさらに悪化させてしまいます。
コールセンターにおけるLINEの活用法
ここまで解説したコールセンターの課題を解決する手段として、LINEの活用が有効です。
定型的な問い合わせの対応をLINEで自動化し、必要な場面では有人対応へ引き継ぐ仕組みを整えれば、呼量の集中や営業時間の制約といった課題への対策につながります。
IVR(自動音声応答システム)連携によるLINEへの誘導
電話が混み合っている際に有効なのが、IVR(自動音声応答システム)を活用してLINEへ誘導する方法です。
混雑時のアナウンスで「LINEでの対応をご希望の方は『1』を押してください」と案内し、番号を入力した顧客のスマートフォンへSMSでLINEのURLを送信する流れを作ります。LINEに切り替えた顧客は、メッセージを送ったあとは自分のタイミングで返信を確認すればよくなり、電話がつながるのを待ち続ける必要がなくなります。
リッチメニューとチャットボットによる一次対応の自動化
よくある質問や定型的な手続きには、リッチメニューとチャットボットを組み合わせた使い方がおすすめです。
LINEのトーク画面下部に表示されるリッチメニューに、よくある質問や各種手続きページへのリンクを配置すれば、顧客が必要な情報にたどり得ます。あわせて、顧客が入力したキーワードに反応する応答メッセージ機能や、選択肢をタップして進むチャットボットを併用すれば、対話形式で顧客の疑問を解消できます。
LINEで問い合わせ対応を効率化する方法については、以下の記事でも解説しています。合わせて参考にしてみてください。
テンプレートや画像共有を活用した有人チャットの効率化
LINEのリッチメニューやチャットボットで解決が困難な問い合わせは、有人チャットでの対応が必要になります。その際に活用したいのが、定型文機能です。
定型文機能とは、よく使うメッセージをテンプレートとして事前に登録しておけるもので、チャット画面下部の+ボタンから登録済みの定型文を呼び出して送信できます。
さらに、必要に応じて顧客に画像や動画を送ってもらうことで、言葉で説明されるよりもスムーズに状況を把握でき、解決までの時間も短くなります。
コールセンターにLINEを導入するメリット
LINEを導入するメリットは、オペレーターの業務負担を軽減しながら、対応品質を向上できる点にあります。テキストや画像を活用したやり取りや、チャットボットによる自動化など、電話にはないLINEならではの強みを業務に取り入れられるためです。
ここでは、LINEの導入で得られるメリットを4つ紹介します。
受電件数の削減と応答率の改善
LINEの導入で、電話の受電件数そのものを減らし、応答率の改善が見込めます。電話対応の多くを占める定型的な問い合わせがLINEの自動応答で処理されるようになり、受電件数の削減につながるためです。
受電件数が減れば電話回線の混雑が緩和され、人員を増やさなくても放棄呼を減らせます。電話でしか解決しない複雑な相談に対してオペレーターを集中的に配置しやすくなり、コールセンター全体の応答率も向上します。
人を増やすことなく応答率を改善できる点は、人手不足に悩む現場にとって大きなメリットです。
1件あたりの平均処理時間(AHT)の短縮
LINEの活用は、1件あたりの平均処理時間(AHT:Average Handling Time)の短縮にも効果を発揮します。
電話は認識のすり合わせに時間がかかりやすいですが、LINEなら画像や動画で状況を共有しやすくなります。また、やり取りがテキストで残るため、通話後に対応内容をシステムに入力する後処理時間(ACW:After Call Work)を短縮できるのも利点です。
平均処理時間の短縮は、1人のオペレーターが対応する件数を増やし、コールセンター全体の生産性向上につながります。
24時間365日の受付体制による顧客満足度の向上
LINEを活用すれば24時間365日の受付体制が整い、顧客満足度の向上が期待できます。夜間や休日のトラブル時に解決手段を提供することが、顧客の安心感や信頼につながるためです。
電話の受付時間が限られていると、営業時間外のトラブル時に顧客の不安感やストレスが増す原因となります。LINEならチャットボットによる自動応答で、営業時間外の問い合わせにも即時に対応できます。
ただし、自動応答で完結しない複雑な問い合わせは営業時間内の有人対応が必要となるため、自動化と有人対応の役割分担を事前に設計しておくことが重要です。
複数案件の並行対応による生産性の向上
LINEは複数案件を並行して対応できるため、オペレーターの生産性向上にもつながります。
電話対応では、1人のオペレーターが同時にやり取りする顧客は1人だけです。これに対しLINEのチャット対応では、顧客からの返信を待っている間に別の問い合わせ対応を進められるため、時間あたりの処理件数を増やせます。
繁忙期やトラブル発生時など呼量が集中する場面でも、電話の取りこぼしを最小限に抑えられる点は、コールセンター運営の安定化に直結します。
LINE活用が効果的な業界と活用例
LINEの強みである画像送信機能や、電話のように時間を拘束されず自分のペースでやり取りできる手軽さは、特定の業界で特に高い効果を発揮します。
ここでは自社の業態と照らし合わせて活用イメージを持てるよう、3つの業界を例に活用例を紹介します。
EC・通販業界:配送状況の確認や注文内容の変更の自動化
EC・通販業界では、配送状況の確認や注文内容の変更といった問い合わせをLINEで自動化することで、工数削減が見込めます。これらの問い合わせは件数が多く定型化しており、自己解決を促す導線を作りやすいためです。
例えばリッチメニューで、配送状況の確認や注文の変更・キャンセル手続き用のWebページへ案内します。他にも、よくある手続きをチャットボットで対応すれば、問い合わせ件数の削減につながります。
家電・精密機器メーカー:画像や動画を活用した一次切り分け
症状をヒアリングし一次切り分けを行うことが多い家電や精密機器のメーカーでは、LINEでの画像・動画送信が役立ちます。
これらの業界のコールセンターでは、取扱説明書を見ても解決しない操作方法や故障に関する問い合わせに時間がかかりがちです。画像や動画によって電話口では伝わりにくいランプの点滅状況やエラー画面が共有しやすくなり、状況把握のスピードと正確性が向上します。
さらにチャットボットで症状をヒアリングし、一次切り分けの自動化も可能です。修理が必要な場合のみオペレーターが引き継ぐ運用にすれば、修理手配の精度が向上しコスト削減にもつながります。
IT・通信サービス業界:通信障害時のアナウンスとFAQへの誘導
IT・通信サービス業界では、通信障害時のアナウンスやFAQへの誘導にLINEが活用できます。LINEのプッシュ配信を行うことで、電話が殺到するリスクが軽減されるためです。
配信メッセージやリッチメニューから、現在の復旧状況やよくある質問(FAQ)のページへ誘導すれば、電話をかける前に顧客自身で状況を把握してもらえます。
緊急時の混乱を最小限に抑えられるという点で、顧客とコールセンター双方にメリットがあります。
コールセンターやお客様窓口でのLINE活用事例
実際にコールセンターやお客様窓口でLINEを活用している企業の事例を、2社紹介します。
どちらの企業も、チャットボットによる自動化や画像送信といったLINEならではの機能を業務フローに取り入れ、問い合わせ対応の効率化に成功しています。
損害保険ジャパン日本興亜株式会社:LINEのカスタマーサポート活用で対応時間を半減
損害保険ジャパン日本興亜株式会社では、事故連絡や保険金請求の手続きをLINE公式アカウント上で行えるサービスを導入し、コールセンター業務の負荷を軽減しています。
事故連絡の約2割(年間数十万件)がLINE経由で行われるようになり、電話では約10分かかる対応がLINE上のやり取りでは平均5分程度に短縮。2〜3週間かかっていた保険金の支払い手続きも、最短30分で完了するケースもあるとのことです。
災害発生時にはLINE通知メッセージで事故連絡の案内を配信し、コールセンターへの電話集中を緩和する取り組みも進めています。
参考サイト:事例:損害保険ジャパン日本興亜株式会社|LINEヤフー for business
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本):チャットボットで24時間の問い合わせ対応を実現
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は、顧客からの問い合わせに24時間対応するため、LINE公式アカウント「JR東日本 Chat Bot」を運用しています。
運行情報やQ&A対応に加え、問い合わせニーズが高い忘れ物情報や、コインロッカーの所在地もチャット形式で配信する仕組みです。電話対応に費やしていたスタッフの時間と労力を、より付加価値の高い業務に振り向けられるようになり、業務効率化と顧客満足度の向上を同時に実現しています。
参考サイト:事例:東日本旅客鉄道株式会社|LINEヤフー for business
コールセンター業務で活用できるLINE公式アカウントの設定方法
LINE公式アカウントの機能を実際に運用するには、管理画面からの設定作業が必要になります。
ここでは、コールセンター業務に活用できる3つの機能について、具体的な設定方法を解説します。
応答メッセージ(チャットボット)の作り方
応答メッセージは、顧客が送信したキーワードに反応して、設定した回答を自動で返信する機能です。簡易的なチャットボットとして活用でき、よくある質問への一次対応を自動化できます。
応答メッセージの設定手順は以下の通りです。
- 管理画面のメニューから「応答メッセージ」を選択し、作成ボタンをクリックする
- ユーザーから送られてくる想定キーワードと、それに対して自動送信する返信内容を登録する
- アカウントの基本設定画面を開き、応答モードの設定で「チャット」を選択し、応答メッセージの項目をオンにして設定を有効化する
事前にキーワードと回答内容を整理しておくと、設定作業がスムーズに進みます。
リッチメニューの設定方法
トーク画面下部に表示されるリッチメニューも、LINE公式アカウントの管理画面から設定します。よくある質問や各種手続きページへの導線を作っておくことで、顧客の自己解決を促せます。
リッチメニューの設定手順は以下の通りです。
- 管理画面のメニューから「リッチメニュー」を選び、作成ボタンをクリックする
- メニューの表示期間を設定し、分割レイアウトを選択し、あらかじめ用意した画像をアップロードする
- 分割された各領域に対して、タップした際のアクション(特定のURLへの遷移や、テキストの送信など)を設定し、保存して適用する
画像のサイズや構成を事前に調整しておくと、設定後の修正の手間を減らせます。
CRM(顧客管理システム)との連携方法
高度な顧客管理を行うには、Messaging APIを利用したシステム連携が必要です。LINE公式アカウントと既存のCRMを連携すると、顧客情報や対応履歴を一元管理できるようになります。
CRMとの連携方法は以下の通りです。
- LINE公式アカウントの管理画面で、Messaging APIを有効化する
- LINE Developersコンソールにログインし、チャネルアクセストークンやチャネルシークレットといった、システム連携に必要な認証情報を発行する
- 発行したAPIの情報をCRMに登録し、システム同士を通信させるための紐付け設定(Webhook設定など)を行う
これらの設定にはプログラミングの専門知識やセキュリティ対策が求められます。専門知識を持つスタッフが社内にいない場合は、ベンダーが提供している連携ツールを導入するのが一般的です。
コールセンターでLINEを運用する際の注意点
LINEはコールセンター業務の効率化に役立つツールですが、導入すれば必ず成果が出るわけではありません。
導入後に「思ったような効果が出なかった」と感じる原因の多くは、運用上の注意点を把握しておかなかったことにあります。
オペレーターにテキスト対応のスキルが必要になる
LINEでは、電話とは異なるテキスト対応のスキルが求められる点を押さえておきましょう。
電話対応では声のトーンや間で感情を伝えられますが、LINEは文章だけで感情や意図を伝える必要があります。文章の言い回しや絵文字の使い方を間違うと、機械的で冷たい印象を与えるリスクがあるため、注意が欠かせません。
LINE導入時には、電話対応とは別にテキストコミュニケーションの研修やマニュアル整備を実施する必要があります。
個人情報保護とセキュリティ対策の整備が必要になる
LINEを問い合わせ窓口に加える際は、個人情報保護とセキュリティ対策の再整備が必要です。既存のルールだけでは、LINE特有のリスクをカバーしきれないためです。
特にAPI連携で外部システムと接続する場合、アクセストークン(外部システムへの認証に使う鍵情報)が漏えいすると不正なメッセージ送信などの重大な事故につながります。トークンの保管場所や管理担当者を限定する、接続元のIPアドレスを制限するといった厳格な管理が求められます。
また、LINEのトーク画面で機微な情報を取得しないための対策も必要です。顧客が誤って身分証の画像などを送信しないよう注意喚起を行うとともに、受信した画像データの保存期間や破棄の手順を社内ルールとして定めておきましょう。
複数人での対応時に情報共有とステータス管理が難しい
LINEの標準機能だけでは、誰がどの顧客に対応中かを把握する仕組みがなく、複数人体制での情報共有やステータス管理に限界がある点も注意が必要です。
例えば「他のオペレーターが対応中のメッセージに二重で返信してしまう」「誰かがやるだろうと放置され対応漏れが発生する」といったトラブルが起きやすくなります。
こうした複数人での運用課題やチャネル間の情報分散を解決するには、対応状況と履歴を統合管理できる専用ツールの導入が欠かせません。
コールセンターの電話・メール・LINEを一画面で管理「楽楽自動応対」
新たな問い合わせチャネルとしてLINEを導入すると、メールや電話など既存チャネルとの管理が複雑になりがちです。そこで複数チャネルの管理課題を解決できるのが、累計9,000社以上の導入実績を持つ「楽楽自動応対(旧メールディーラー)」です。
楽楽自動応対では、LINE、メール、電話での問い合わせを1画面で管理し、「誰が」「何を」対応しているかの状況をリアルタイムに可視化できます。
複数画面を跨ぐ必要がないため問い合わせ管理が楽になり、対応漏れの防止につながります。
LINE・メール・電話など複数の問い合わせを一元管理
LINE導入後はLINEやメール、電話など複数チャネルからの問い合わせが並行して発生します。同じ顧客が「LINEで質問した後に電話をかけてくる」といったケースも珍しくありません。このとき、チャネルごとに履歴がバラバラに管理されていると、これまでの経緯を把握するのは困難です。
楽楽自動応対では、複数チャネルの問い合わせを1画面に集約し、顧客単位で一元管理が可能です。
問い合わせチャネルや担当者が変わってもすべてのやり取りを把握できるため、顧客は同じ説明を何度も繰り返す必要がありません。これによって顧客のストレスを軽減し、コールセンター全体の応対品質と顧客満足度の向上につながります。
メールとLINEを同一画面で管理・返信できる「LINE公式アカウント連携」はこちら
LINE問い合わせの対応状況を可視化
LINE公式アカウントの標準機能では「誰がどの問い合わせに対応中で、進捗はどうなっているか」というステータスが管理できず、複数人で運用すると状況がブラックボックス化しやすいという課題があります。
楽楽自動応対を活用すれば、LINEからの問い合わせに対してもステータス管理ができるようになり、個別案件ごとに担当者を割り振ることも可能です。誰がどこまで対応しているかがひと目で分かるため、対応漏れや二重対応が防げます。
問い合わせの対応状況が一目でわかる「対応状況管理」機能はこちら
メーラー感覚でそのままLINEの返信が可能
楽楽自動応対では、使い慣れたメールソフトと同じ感覚で、直接LINEへの返信ができます。
メールとLINEを別々に運用するとツールを切り替える手間が発生し、オペレーターの業務負担が増すため、業務効率が低下します。楽楽自動応対はメールでの問い合わせ対応と同じ画面、同じ操作感でLINE対応ができるため、画面を切り替える手間がなくなり、オペレーターは返信対応をスムーズに進められます。
まとめ:LINEの活用でコールセンターの業務効率化と顧客満足度向上を両立しよう
コールセンター業務は人手不足や呼量の集中による応答率の低下、定型業務の繰り返しによるオペレーターの負担など、複数の課題を抱えています。LINE公式アカウントを活用すれば、定型的な問い合わせの自動化や24時間の受付体制構築により、業務効率化と顧客満足度向上を両立できます。
ただしLINE単体ではオペレーター間の情報共有の難しさなどの課題が残るため、楽楽自動応対のような問い合わせ対応を一元管理できるツールの併用が効果的です。楽楽自動応対の詳細な機能については、無料ダウンロードできる資料で確認してみてください。
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