法務省の発表では、仕事や学業で中長期滞在する在留外国人数が、2015年末時点で223万2189人となり、3年連続で増加しています。
2011年の東日本大震災で一時は減少しましたが、2013年から再度増加に転じ、統計を始めた1959年以降、最多の数値となりました。
また、東京オリンピック開催決定により、日本の文化・技術は海外から注目を浴び、今後ますます熱気を帯びていくことでしょう。
以上のことからも、国内外問わず「外国人からの問い合わせ」は避けては通れない道となりました。
では、カスタマーサポートにおいて、柔軟に対応していくためには何をすればよいのでしょうか。
「日本の常識・ルール」を取り払う
まず大前提として、「文化的・宗教的な違いがある」ということを認識することが大切です。
日本ではそれほど問題にならないことでも、違う文化で育った方には、違和感を覚えるようなこともあるでしょう。また逆に、海外では当たり前でも、日本では考えられないこともあります。例えば、レジを通過する前に商品を食べても許される国もあるのです(開封後の容器で会計をします)。もちろん、全ての問題において自社のルールを曲げて対応する必要があるということではありません。「日本の常識・ルール」というフィルターをはずして、どういう点に対して疑問や不満があるのかを明確に見極めることが、大切な第一歩となるのです。
「やさしい日本語・適切な表現」を使う
上記で述べた「文化的・宗教的な違い」はもちろんですが、日本語についての理解度も個人差があります。
昔から他国の移住者や旅行客が多い国では、ネイティブでない方へ説明することに慣れている場合がありますが、島国の日本ではあまり機会が少ないため、意識的に文章を作る必要があります。
在留外国人の増加に伴い、弘前大学の社会言語学研究室が「やさしい日本語」という日本語表現メソッドを開発しました。各自治体では外国人向け情報誌や防災マニュアル等で採用しており、ECサイトのカスタマーサポートでも取り入れることができます。
使用例)
- ・西暦表記で統一する : 平成26年 → 2014年
- ・一文一義の短い文章を心がける
例)ご希望頂いた商品カタログが揃いましたので、郵送にてお送りいたしますが、ご不明な点があればご連絡ください。
→ご希望頂いた商品カタログが揃いました。郵送にてお送りいたします。ご不明点があればご連絡ください。 - ・言い切りの形にし、例外は補足する(できるだけ、原則として、可能な限り 等)
例)1回の利用期限は原則として7日以内です。
→1回の利用期限は7日以内です。(例外があります。詳しくはお問い合わせください)
「言葉以外」で気持ちを伝える
就活の面接対策や新人研修でよく用いられる「メラビアンの法則」をご存じでしょうか?
言語(言葉そのもの・内容): 7%
聴覚(声の大きさ、抑揚) :38%
視覚 (身振り手振り、表情) :55%
コミュニケーションにおいて、視覚や聴覚等の非言語要素は非常に重要です。
特に、日本語があまり得意でない外国人への対応では、細かい言葉の意味合いが伝わりにくいからこそ、態度や雰囲気で左右される部分が多くなります。
電話でのコミュニケーションでは、会話のテンポや声量、イントネーション、
メールでは適度な改行で読みやすく工夫された文面など、細かな気配りが大切です。
こういった気配りは、同じ言語を使用する間柄であっても必要不可欠なマナーであり、既に実践されていることだと思います。
今回紹介したポイントは、何も外国人からの問い合わせ対応に限ったことではありません。使用する言語に関わらず、相手が何を求めているのかを明確に見極め、誠意をもって回答することがカスタマーサポートの最も重要な心構えと言えるでしょう。
※本サイトに掲載されている情報は、株式会社ラクス(以下「当社」といいます)または協力会社が独自に調査したものであり、当社はその内容の正確性や完全性を保証するものではありません。