メールのやりとり次第で、相手との関係が大きく変わることがあります。
メールは文字のみで表現するため、ニュアンスが伝わりにくく、また、相手の反応を見つつ、小さなズレを修正しながらやりとりすることはできません。だからといって、丁寧な表現にこだわると回りくどくなり、長い文章になりがちです。
また、メールは開封したときの相手の状況に左右されるという不安定要素を含みます。いつも相手が時間のある穏やかな状態とは限らず、忙しいとき、何かに苛立っているときもあります。だからこそ、どんな状況下にあっても、適切なやりとりができる内容を求められます。相手の心理状況に左右されないためには、相手を尊重し、不快感を持たせないことが大切です。相手に余裕がないときでも明確に理解できるよう、わかりやすく簡潔な文章を目指すことも重要です。
今回は、そんな好感度を上げるメールの書き方について、お伝えしたいと思います。
上から目線の「良い、悪い」「クローズドクエスチョン」を避けよう
「良い、悪い」の表現を入れると自然と上から目線に
メールのやりとりでは、意図せず、無意識に上から目線の表現を使っていることがあります。
「先日、ご回答いただいた○○の件、おかげさまでうまくいきました」
という内容に返信するときに、
「それは良かったです。……」
という言い回しをしていないでしょうか。相手の状況などに対して「良い、悪い」という表現を使用するのは、基本的にはNGです。
なぜなら「良い、悪い」は、評価的対応と呼ばれ、相手の意向を「ジャッジ」する表現で、非常に上から目線の対応になるからです。上司や先輩、先生など、立場が上の人が下の人に使う分には問題ありませんが、お客様に対しての使用は不適切です。
【言い換えワード】
- ・それは何よりでした。
- ・お役に立てて嬉しいです。
一方的な「ご理解いただけましたでしょうか」はNG!
また、相手からの質問などに応じた場合、結びに
「ご理解いただけましたでしょうか」
といった表現をしていないでしょうか。
これは、理解したかしなかったかをYESかNOで問う「クローズドクエスチョン(閉ざされた質問)」と言われるものです。クローズドクエスチョンは、一方的なイメージを相手に与えます。通常のやりとりの場合は、クローズドクエスチョンを連続的に行わなければ問題はないのですが、相手がわからなかったり困ったりしているときの回答に、これで理解できた? と問うのは、相手に不快感を与える可能性が大きくなります。
【言い換えワード】
- ・こちらの説明不十分により、ご不明点がございましたら、なんなりとご連絡ください。
言葉には魂が宿る! マイナス(ネガティブ)表現を使用しない
相手の気持ちを刺激せずに、穏やかにとらえていただくポイントとしては、文章の言葉(単語)にネガティブな表現の使用をできる限り避けることが大切です。
- △風邪をひかないようにお気を付けください。 →(風邪をひく)というワードが△
- ◎お健やかにお過ごしください。
昔から、言霊(ことだま)という言葉があります。言葉に魂が宿るとする考え方で、少しでもプラスの言葉を使う方が、受け手にとっては良い印象を与えます。
- △ご返信がないので心配しておりました。
- ◎ご返信をいただき安心いたしました。
相手の立場になるとわかりやすいかと思います。例えば、久しぶりに友達に連絡したところ「最近全然連絡なかったけど、具合でも悪かったの?」と言われたらどうでしょう。抵抗感を覚える人も多いのではないでしょうか。プラスの言葉で「最近全然連絡なかったから、連絡もらえて嬉しい」と言われたほうが気持ち良いですよね。
ニュアンスが伝わりにくいからこそ簡潔で直接的な表現を
相手により良く理解してもらおうと詳細な表現で丁寧に文章を作成すると、必然的に長文になり、結果的に読み飛ばされてしまう可能性が高くなります。それゆえに、結局伝わらないことが多くなってしまいます。
そこで、メモや箇条書きをイメージし、大切な個所のみを記すことが大切です。最初から短く書くのが難しい場合は、長い文章から、削っていく方法をとってみるとやりやすいでしょう。
また、婉曲な表現ではなく直接的な表現を使うことも大切です。
- △弊社の調整もございますので、可能でしたら早めにご返信いただけると幸いです。
こちらの都合もあり、すぐにでも返信が欲しい状況にありながら、柔らかく伝えようという思いが先行しますが、「早め」の感覚は、人によって本当に大きな差があります。
具体的な言葉が入らないと、人は勝手な解釈を入れて判断しますので、一向に返信が来ないことも考えられます。そこに遠慮はいりません。直接的で明確にわかる表現方法を使いましょう。
- ◎弊社の締め切りが15日となっております。
14日までにご返信いただけましたら確実に処理いたします。
※14日までにご返信いただけない場合は、ご相談くださいませ。
さまざまな情報が飛び交い、多くのメールに目を通さなければならない状況下では、「相手の時間を奪わない」ことが重要です。
具体的に簡潔に書かれ、内容がすぐに理解できることはもちろん、プラスの言葉が含まれたメールは相手の好感度を上げます。
時間や気持ちにゆとりがない忙しい状況の中でも、しっかりと受け止めてもらい、かつ好印象を持ってもらえる文面をこの機会に改めて意識してみてください。
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