「返品」と聞いて、ポジティブな印象を持つことはないでしょう。
しかし、「返品」は買い手から売り手への「返信」であり、商品に対する「コメント」であると捉えることもできます。
魅力を感じて購入を決めた商品が、手元に届いた時点で返品を願い出るという事態は、通常ありえないことであり、必ずどこかに課題が潜んでいると認識する必要があります。
それでは、買い手からの貴重な「コメント」から私たちは何を読み取り、どのように対応すればよいのでしょうか。
今回は食器を取り扱うECサイトを例に、売り手と買い手での見え方の違いを中心にお話ししたいと思います。
売り手からの見え方
通販市場が急成長を遂げ、様々なECサイトで誰でも手軽に商品を購入できるようになった現代では、ネット上に数多くの競合商品が溢れています。そのため、売り手側では「商品」を購入することで実現できる「体験」を売るという方法で、自社商品に付加価値をつけ、他社商品との差別化を図るのが主流となっています。
例えば、ティーカップを販売する際は、ケーキを並べた素敵な食卓や、それを囲む家族団欒のイメージ画像を使用することで、「このティーカップを購入することで実現できる素晴らしい体験」を買い手に想像させることができるのです。
買い手からの見え方
では、上記の画像を見た買い手は何を考えるのでしょう。
「"付属品"とは何か、どこまでがセットなのだろう」
「持ち手部分の構造をしっかり見たいな」
「実物はどんな色・質感なんだろう」
商品を初めて見る買い手からは様々な疑問が浮かぶはずです。
いずれも、イメージ画像だけでは明確な決め手に欠けるため、少し考える作業が必要になります。「体験」を想像させることも重要ですが、その画像が単なるイメージなのか、実物に即しているのかは、商品を知っている売り手の立場でないと判断ができません。
買い手がネット上で入手した情報が、商品の実情と異なっていたとき、「返品」の可能性が高まるのです。
「返品」をポジティブに生かす方法
商品を初めて見る人が一目で理解できるよう、見せ方に工夫を重ねていく必要があります。
・別売り、セット販売を明確に商品単体の画像を使用する
・細部の構造、材質は分かる距離で接写する
・撮影する角度や背景色を変える 等
画像一つをとっても様々な改善策が見つかります。
実店舗と異なり、商品を手にとり実物を確認できないECサイトにおいて、正確な商品情報を伝えることは非常に困難な作業です。意識的に買い手の視点に立とうとしない限り、永久にできないかもしれません。
売り手は、仕入や商品企画を経て商品を何度も目にすることで、客観的な視点が曇ってしまうのです。これは、誰しも避けられないことだと思います。
しかし、「返品」の依頼があった場合、このような問題点を知る絶好の機会とも言えます。
「返品」という形で頂いた「コメント」から、売り手側の不足箇所を読み取ることが出来るのです。
返品をただこなすだけでなく、そこから見える買い手の要望を叶えるべく、一つひとつ改善を心がけていくことが大切です。
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