ホテル・宿泊施設では、予約のたびに発生するオンライン旅行予約サイトへの手数料の負担や、人手不足といった課題を抱えています。その解決方法として役立つのが、LINE公式アカウントの導入です。国内の月間利用者数が1億人を超えるLINEを活用すれば、予約サイトに頼らない直接予約の獲得や、リピーターの増加につながる施策を効果的に進められます。
本記事では、ホテル・宿泊施設でのLINE活用方法やLINEの主な機能、運用事例とともに整理し、失敗しない運用のポイントも解説します。
なぜ今ホテル・宿泊施設にLINEの導入が求められるのか
ホテル・宿泊業界にはオンライン旅行予約サイトへの依存と、慢性的な人手不足という2つの課題があります。LINEの導入が注目されているのは、これらの課題に対処できるためです。
ここでは、宿泊業界が抱える2つの課題と、LINEがその解決に役立つ理由を順に見ていきます。
リピーター獲得の基盤を作れる
ホテル・宿泊施設の多くは、集客をじゃらんや楽天トラベルなどのオンライン旅行予約サイト(OTA:Online Travel Agent)に依存しやすい状況にあります。宿泊先を探す顧客の大半が、まずOTAで複数の施設を比較・検討するためです。
OTAの集客力は魅力的ですが、予約のたびに手数料が発生します。また見落とされがちなのが、顧客の連絡先が施設側に残らないという問題です。せっかく満足して帰った宿泊客がいても、施設からその顧客に直接連絡する手段がなければ、リピートを促す働きかけができません。
LINEの友だち登録が増えれば、ホテル・宿泊施設から直接連絡できる顧客リストを築けます。OTAに頼らない集客の土台として、LINEは有効な選択肢です。
少人数でも問い合わせ対応を効率化できる
帝国データバンクの調査によると、2025年10月時点で非正社員の人手不足を感じている旅館・ホテルは59.0%にのぼり、全51業種の中で特に高い割合となっています。インバウンド需要が高まる一方で、現場を支える人員の確保が追いついていないのが実情です。
人手が足りない中で負担になりやすいのが、電話やメールでの問い合わせ対応です。電話は一度に一人しか対応できず、応対中は他の業務が止まります。メールは一通ずつ文面を整える必要があり、件数が増えるほど時間を取られます。
LINEならテキストでのやり取りのため、1人のスタッフが複数の顧客と同時並行で対話を進められます。メールほどかしこまった文面も不要で、短い文章で気軽に返信できるため、一件あたりの手間もかかりません。
ホテル・宿泊施設のLINE活用方法6選
ホテル・宿泊施設では、予約前の集客や予約受付、滞在中の案内、宿泊後のリピート促進など、宿泊体験のあらゆる段階でLINEを活用できます。ここでは予約前から宿泊後までの流れに沿って、取り組みやすい活用方法を6つ紹介します。
キャンペーンや観光情報を発信する
LINE公式アカウントからの配信は、宿泊のきっかけづくりに役立ちます。例えば「冬の蟹会席プラン」のような季節限定プランや館内イベントを届ければ、その時期にしか味わえない内容が予約の後押しになるためです。
発信できるのは、施設の情報だけではありません。紅葉の見頃や花火大会の日程など、周辺の観光情報も配信の題材になります。施設の話題だけでは発信が続かない場合も、地域の話題を加えれば配信を継続しやすくなり、旅行そのものへの意欲を引き出す効果も期待できます。
LINEから直接予約を受け付ける
LINE経由で宿泊予約を直接受け付ければ、施設の収益性を改善できます。OTAの手数料は宿泊料金の1割前後と言われており、直接予約に切り替えられれば手数料はそのまま利益率の改善につながるためです。
予約への入り口は複数用意できます。配信したプラン告知に予約ページへのリンクを付けるほか、リッチメニューに予約ボタンを常設したり「予約」とメッセージを送った顧客に予約ページのURLを自動返信したりする方法もあります。
特に配信と組み合わせたときの強みは、興味を持った顧客をその場で予約まで進められることです。通常は配信を見て興味を持っても、Webで予約ページを探す手間がかかり、その間に意欲が下がってしまいます。配信からそのまま予約に進める導線があれば、この途中離脱を防げます。
チェックイン・チェックアウトの手続きを簡略化する
到着前に宿泊者の氏名や人数などをLINEで受け取っておけば、当日のフロントでの記入や確認作業が軽減でき、チェックインが集中する時間帯でも顧客を待たせずに済みます。
さらに、ホテルの基幹システムとLINEを連携させれば、チェックイン・チェックアウトの手続きそのものをLINE上に移すこともできます。LINEで事前チェックインを済ませた顧客はフロントでQRコードをかざすだけで手続きが終わり、精算まで済ませていれば、チェックアウト時に会計へ立ち寄る必要もありません。
こうした手続きの簡略化は、施設側の業務量を減らすだけでなく、早朝や深夜に出発する顧客、対面でのやり取りを避けたい顧客の要望にも応えられるため、満足度の向上につながります。
よくある問い合わせに自動で対応する
チェックアウト時刻や駐車場の有無といったよくある質問は、自動応答を設定することで毎回スタッフが答える必要がなくなります。また、深夜や早朝の問い合わせにもその場で回答できるため、問い合わせ対応時間外に顧客を待たせることもありません。
自動応答とあわせて、リッチメニューによくある質問へのリンクの設置も有効です。顧客が問い合わせる前に自分で答えにたどり着けるようになるため、問い合わせの発生自体を抑えられます。
LINEを活用した顧客対応の効率化については、以下の記事でも紹介しています。
外国人観光客向けに多言語で対応する
会話のやり取りには、LINEが提供している通訳アカウント(英語・韓国語・中国語など)が使えます。トークに追加しておくと、スタッフと外国人観光客のメッセージが自動で相互翻訳されるため、多言語に対応できるスタッフがいなくても会話に困りません。
一方、施設側からの発信を多言語にしたい場合に役立つのが拡張ツールです。配信メッセージを複数の言語へ自動翻訳したり、顧客がLINEに設定している言語に合わせてリッチメニューを切り替えたりできます。
問い合わせへの対応と情報発信の両方を外国語で行えるようになれば、これまで言語の壁が理由で取りこぼしていた外国人観光客の集客にもつながります。
友だち限定のクーポンや割引プランを配信する
友だち限定の特典やクーポンの配信は、登録者を増やす動機やリピート予約を生むきっかけになります。
例えば以下のようなクーポンが有効です。
- 友だち登録で湯上りのドリンク1杯無料クーポン
- 宿泊後に次回使える◯%オフクーポン
- 閑散期に過去の宿泊客へ送る平日限定の割引クーポン
受け取ったクーポンからそのまま予約画面へ進める流れを作っておくことで、特典の配信を確実に予約へつなげられます。
ホテル・宿泊施設で使えるLINE公式アカウントの主な機能
LINE公式アカウントには、アカウントを開設すればそのまま使える標準機能が複数あります。外部ツールの契約や追加費用は要らないため、まずは標準機能から始めるのがおすすめです。
ここでは、ホテル・宿泊施設の運用で活用しやすいLINE公式アカウントの機能を5つ紹介します。
リッチメニュー:主要なメニューを固定して表示する
リッチメニューは、トーク画面の下部に常時表示される固定メニューです。メッセージのやり取りとは別で表示されるため、顧客が過去のメッセージをさかのぼらなくても、主要な機能にいつでもアクセスできます。
6分割などのレイアウトに、予約・施設案内・よくある質問へのリンクを割り当てるのが一般的な使い方です。画像とリンクには表示期間を設定できるため、季節やキャンペーンに合わせた切り替えも可能です。
応答メッセージ・チャット:顧客からの問い合わせに回答する
応答メッセージは、あらかじめ設定したキーワードに対して自動で返信する機能です。顧客から送信される「チェックアウト」「駐車場」など特定のキーワードに反応して、返信する条件や内容を設定できます。
自動で答えられない質問は、有人のチャットへ引き継ぐ動線を組んでおくと、自動応答で解決しなかった顧客を取りこぼさずに済み、顧客満足度も維持できます。
セグメント配信:顧客の属性に合わせて配信する
性別や年代、エリアといった属性で配信先を絞り込めるのが、セグメント配信です。LINE公式アカウントには顧客にタグを付けられる仕組みがあり「2025年12月宿泊」のようなタグを付けておけば、タグを対象にした配信もできます。宿泊時期に応じて配信内容を変えるといった出し分けは、この方法で行います。
関心の低い相手への配信を減らす上で重要なのが、セグメント配信と一斉配信の使い分けです。興味のない配信が届き続けることはブロックの原因になるため、配信先を絞る工夫はアカウントを長く運用するうえで欠かせません。
クーポン機能:割引きや特典のクーポンを発行・管理する
クーポン機能では、LINEのトーク上で配布・使用できるデジタルクーポンを作成できます。作成したクーポンは、メッセージ配信やリッチメニューに載せるほか、友だち追加時のあいさつメッセージで届けることも可能です。
顧客は受け取ったクーポンを会計時などに、スマートフォンの画面で提示します。使用回数を1回に制限しておけば、一度使ったクーポンは再び使えなくなるため、回収したり使用済みの印を付けたりする必要がありません。
獲得条件を抽選にして、当選確率や当選者数の上限を決めることもできます。
分析機能:配信の効果を数値化して改善につなげる
分析機能では、友だちの増減やメッセージ配信の反応を管理画面で確認できます。
友だちの分析で確認できるのは、追加数やブロック数の推移だけではありません。性別・年齢・地域といった属性や、QRコードなどどの経路から追加されたのかも分かるため、客室とフロントのどちらの案内で友だちが増えているか、といった検証も可能です。
また、メッセージ配信の分析では配信ごとの開封数やリンクのクリック数を、リッチメニューの分析では項目ごとのクリック数を確認でき、顧客がどの配信やメニューに反応しているのかが把握できます。
こうした数値を手がかりに、配信の内容や時間帯、友だちの集め方といった施策を見直していけます。
LINEで顧客管理を行い配信効果を高める方法は、以下の記事で紹介しています。
ホテル・宿泊施設のLINE活用事例
実際にLINE公式アカウントを導入し、集客や顧客との接点づくりに運用している宿泊施設の事例を3つ紹介します。クーポンの配布や限定プランの提供による直接予約の促進、リッチメニューへの機能集約による顧客対応の効率化といった、ホテル・宿泊施設の課題にLINEを活用している事例です。
なお2026年6月時点の情報であり、サービス内容は変更される可能性があります。最新情報は各LINE公式アカウントでご確認ください。
JR東日本ホテルメッツ:月1回のクーポン配信で直接予約を促す
JR東日本ホテルメッツは、首都圏を中心とした東日本エリアの全30ホテルで使える公式アカウントを運用し、最新情報やおすすめプランを配信しています。
友だち登録の特典として宿泊割引クーポンを配布しており、これが登録の動機づけになっています。クーポンは1カ月に一度のペースで不定期に配信されるほか、トーク画面のメニューからいつでも取得できる仕組みです。
このクーポンはホテル公式予約サイトでのみ利用でき、フロントでの提示や旅行会社経由の予約では使えません。クーポンの利用条件を設定することで、利用客を直接予約へ誘導している点が特徴です。
伊東園ホテルズ:友だち限定プランの提供とフェア情報の配信で予約を促す
伊東園ホテルズのLINE公式アカウントで特徴的なのが、友だち限定の「お友だちウィークプラン」です。特典を受けるためには、LINEに表示されるクーポンを提示するかLINE経由で予約する必要があり、対象期間中は何度でも使用可能なため、宿泊後もアカウントを残しておく理由になります。
またリッチメニューには限定プランの紹介のほか、ホテルまでの往復バスの案内や季節ごとの料理フェアの紹介が並んでいるのもポイントです。プランの告知だけでなく、アクセス手段や食事の楽しみといった旅行の検討に役立つ情報をまとめて配信しているため、顧客が予約を具体的に考えやすい構成になっています。
加えて、毎月1〜2回のペースで配信も行われており、限定プランやフェアの情報を定期的に届けることで、顧客との接点を保てるようにしています。
ヒルトン:予約からチャットサポートまでをリッチメニューに集約する
国内外にホテルを展開するヒルトンは、ホテルやレストランの予約、友だち限定の特典をLINE公式アカウントで提供しています。
リッチメニューには「国内ホテル予約」「海外ホテル予約」「レストラン&バー予約」「チャットサポート」が並び、顧客がやりたいことに一目でたどり着けるようになっています。各メニューからは予約画面へ直接進めるため、顧客がホテルの電話番号やWebサイトを調べ直す必要がありません。
また、チャットサポートではチャットボットがよくある質問に自動で答えるため、スタッフが一件ずつ電話やメールで対応する手間も抑えられています。
予約と問い合わせの入り口をLINEに集約することで、複数の窓口に分散していた顧客対応を1つのチャネルにまとめている事例です。
ホテル・宿泊施設がLINE運用で失敗しないための3つのポイント
LINEはアカウントを開設しただけでは成果につながりません。友だちを増やし、適切な頻度で配信し、届いた問い合わせに確実に対応するという運用の設計が必要です。
ここでは、ホテル・宿泊施設がつまずきやすい3つの場面を例に、その対策ポイントをご紹介します。
顧客と接する場面で友だち追加を促す
LINEの運用開始時によくあるのが、アカウントを開設したものの友だち登録が伸びないケースです。原因として、ホテル・宿泊施設では顧客と直接顔を合わせる場面が多い一方で、スタッフからの声かけが不足していることが挙げられます。
対策としては、まずフロントやレストラン、客室に友だち追加のQRコードや案内を置きます。そのうえでチェックイン時や食事の場面など、顧客の手が空いているタイミングで声がけし、その場での登録を促しましょう。友だち追加と同時にクーポンが発行されるようにしておけば、登録のメリットを実感してもらいやすくなります。
ブロックされない頻度を保つ
友だちが集まってきた段階でよくあるのが、予約を促したいあまりメッセージの配信回数が多くなりすぎてしまうケースです。頻繁すぎる配信は顧客に煩わしさを感じさせ、ブロックや登録解除を招きます。一度ブロックされれば、それまで築いた接点を失ってしまいます。
配信の基本は、顧客にとって価値のある情報を必要なタイミングで届けることです。クーポンや限定プラン、季節の情報など受け取って得をする内容を中心にすれば、顧客は「このLINEは有益だ」と感じて継続的に確認するようになります。
適切な配信の頻度は、施設や客層によって異なります。分析機能で開封率やブロック率を確認しながら、顧客に合った頻度を見極めて調整していきましょう。
メール・電話とLINEをまとめて管理する体制を整える
運用が軌道に乗り、LINEからの連絡が増えてきた際に起こりやすいのが、複数窓口の管理による現場の混乱やミスです。LINEを導入すると、これまでのメールや電話に加えて問い合わせ窓口がもう1つ増えることになるためです。
問い合わせ窓口ごとに管理方法やツールが分かれていると、どこに何が届いているか把握しきれず、対応漏れや二重対応といったミスが起きやすくなります。こういったミスを防止するためには、誰がどの問い合わせに対応中で、どれが未対応なのかを把握できる仕組みが欠かせません。
LINE・メール・電話の問い合わせを一画面で管理する「楽楽自動応対」
ここまでに解説した通り、ホテルや宿泊施設がLINEを導入した後に起こりやすい問題として、窓口が分散し、対応漏れや二重対応が起きやすくなるという点があります。この課題の解決に効果を発揮するのが、複数窓口からの問い合わせを一元管理できるツールです。
「楽楽自動応対」(旧メールディーラー)は、メールや電話・LINEなどの問い合わせ窓口をまとめて管理できる問い合わせ自動応対システムです。ここでは、ホテル・宿泊施設のLINE運用に役立つ2つの機能を紹介します。
LINEとメールを一画面で受信・返信できる
「楽楽自動応対」では、LINE公式アカウントに届いたトークを、メールと同じ画面でそのまま受信・返信できます。
LINE公式アカウントの管理画面とメールボックスを行き来する必要がなく、複数の問い合わせチャネルを使うホテル・宿泊施設でも問い合わせ対応や管理の手間を削減できます。また、「楽楽自動応対」から返信しても、LINE公式アカウントからのメッセージとして届くため、顧客側の見え方は変わりません。
普段のメール対応と同じ画面で扱え、スタッフがLINE専用の操作を新たに覚える必要がないことも導入しやすいポイントです。
対応状況を可視化して対応漏れ・二重対応を防げる
「楽楽自動応対」に届いた問い合わせは、新着(未対応)・返信処理中・対応完了といったステータスごとのタブに自動で振り分けられ、対応状況を可視化します。LINEのトークもメールと同じようにステータス管理できるため、未対応の問い合わせを把握しやすく「新着タブを0件にする」というシンプルな運用で対応漏れを防げます。
また、問い合わせごとに担当者を割り振れ、誰が返信するのかが明確になるのも特徴です。誰がどの問い合わせに対応しているのかがスタッフ全員に見える状態になり、同じ問い合わせに複数人が返信してしまう二重対応も起きにくくなります。
返信したメッセージは自動で蓄積されるため、シフト制で担当者が頻繁に入れ替わるホテルでも、前のシフトの担当者が何をどう案内したかをすぐに確認でき、引き継ぎが容易になります。
まとめ:ホテル・宿泊施設でLINEを活用し予約獲得から問い合わせ対応まで幅広く役立てよう
LINEは予約獲得やリピート促進、問い合わせ対応など、幅広い場面で活用できるツールです。OTAに頼らない直接予約の獲得や、限られた人員での効率的な顧客対応など、宿泊業界が抱える課題の解決につながります。
ただし、アカウントを開設するだけでは成果は出ません。友だちの集め方や配信頻度といった運用の設計が、成果を左右します。また、LINEを導入するとメールや電話と窓口が分散し、対応漏れや二重対応が起きやすくなる点にも注意が必要です。
LINEを含む複数窓口の問い合わせをまとめて管理し、対応を効率化したい場合は、LINEと並行して「楽楽自動応対」の導入が有効です。機能の詳細は、下記より資料をダウンロードしてご確認ください。
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