新型コロナウイルス感染症対策のひとつとして、テレワーク、中でも在宅勤務を導入する企業が増えています。
もともと多様な働き方を推進するために政府が取り組んできた「働き方改革」の一翼を担っていたこともあり、今後コロナウイルス流行のピークを過ぎたとしても、この流れは続いていくでしょう。
一方、前例のない働き方による新たな課題も続々と浮かび上がっています。
特に、「見えない場所にいるメンバーの管理」に悩んでいる管理者の方も多いのではないでしょうか。
カスタマーサポートのようにチームで顧客対応をする業務では、管理者の統制とチーム内の情報共有が必要不可欠です。
メンバーの様子が見えない状況下で、この2つのポイントをどのように取り組むかが、顧客対応のテレワーク成功への鍵となります。
今回はメンバーと監督する管理者の視点から、テレワークで抱える3つの課題と解決へ導く3つのツールをご紹介します。
浸透するテレワークでの顧客対応
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの企業がテレワークを導入しました。テレワークでの顧客対応にはメリットが多くあります。ここでは、テレワーク化によるメリットをご紹介します。
人手不足の解消
テレワークは、人手不足解消に有効な手段だとされています。時間や場所に縛られない柔軟な働き方ができることから、さまざまな事情のある人に就業機会を提供可能です。
たとえば障害などで通勤が困難な人、高齢者の中にも、労働意欲は高い人がいます。能力やスキルがあっても、通常の勤務形態では働きにくい人が多く存在するのです。
テレワーク化はこうした人たちも働いてもらうことができ、人手不足解消にもつながるでしょう。
災害時でも顧客対応を続けることができる
テレワークは、自然災害やパンデミックなどの際でも業務を続けられる点もメリットとされています。テレワークを導入しておけば、たとえ通勤できなくなったとしても事業の継続が可能です。また災害時でも業務が可能ということは、事業の損害を最小限に抑えられるということです。
災害のような非常時にもテレワークを活用するためには、平常時でも問題なくテレワークを運用できていなくてはいけません。平常時からテレワークに慣れていれば、問題が起こった際もスムーズに移行ができます。
コスト削減につながる
テレワーク導入は、コスト削減にもつながるとされています。
社員が出勤しなくても良いため、交通費などのコストを削減できます。さらに出社する社員が減るということは、ワークスペースの削減にもつながります。定期的な出社が必要な業種の場合でも、フリーアドレス制を導入すれば、個々の執務スペースが不要です。
また業種によっては、完全テレワーク化に切り替えることもできるでしょう。そうすれば支店の廃止や縮小などに踏み切ることができ、大幅なコストダウンが期待できます。
またテレワーク化を行うということは、ペーパーレス化も進むということです。業務で必要な資料などを電子ファイル化すれば、紙書類にかかっていたコストを削減できます。
社員の継続雇用につながる
育児や介護などでどうしても出社しても勤務が難しくなる場合もあります。仕事と家庭が両立できず、仕事を辞めてしまう人も少なくありません。
しかしテレワーク化の環境が整っていれば、出社しなくても仕事ができるようになります。また同時に時短勤務など、育児や介護に適した柔軟な働き方を整えれば、社員が安心して仕事が続けられるようになります。社員の離職防止は、企業にとってもメリットといえます。
さらにこれらの環境づくりをアピールすれば、企業のイメージアップにもつながるでしょう。
優秀な人材の確保につながる
少子化などが進むなか、企業にとって優秀な人材の確保は常に課題です。テレワークという働き方が選べれば、ワークライフバランスの実現も図れるようになるでしょう。
またテレワークを含めた柔軟な働き方の環境が整っている企業は、求職者にとって魅力的に映ります。その結果、優秀な人材の確保につながるでしょう。
管理者が抱える3つの課題
進捗状況を把握できない
テレワークでは、メンバーの様子が見えない中で業務の進捗状況を管理しなくてはいけません。
誰がどこまで対応していて、これから対応が必要な問い合わせはどれなのか、管理者を含めたチーム全体で情報共有ができていないと、「対応モレ」や「重複対応」につながり、お客様の信用を低下させるリスクがあります。
しかし、頻繁に進捗状況の確認を行うと、その都度メンバーは業務の手を止めて状況を報告することになり、業務効率の悪化にもつながります。
報連相が疎かになる
メンバーの様子が見えないということは、メンバー側からも管理者の様子が見えません。そのため、コミュニケーションをとるタイミングが掴めず、報連相をする敷居が高くなります。
わざわざ電話をしてまで報連相をすべきことなのか悩むことで、業務効率の悪化や細かな報告が疎かになる恐れがあります。
また、周囲に管理の目がないことから、ミスが発生しても「1人で解決して、ミスをなかったことにできるかもしれない…」という心理が働いてしまうこともあります。小さなミスでも、適切な指示をタイムリーに出せないことで、大きなトラブルに発展する危険があります。
評価をしにくい
日々の働きぶりを見ることができないため、対応件数等の「成果」だけで評価を決めることになります。
「成果」だけでは各メンバーの課題がどこにあるのか判断できず、対策を講じることができません。
また、従来の勤務形態でも同様ですが、メールボックスを見ながら目視で対応件数をカウントしたり、エクセルでまとめて集計したり、管理者の時間を取られてしまうことで、本来のカスタマーサポート業務に目が行き届かなくなるリスクがあります。
業務効率が悪化する
コミュニケーションが取りにくいということは、それだけ情報共有がしにくいということにもつながります。スタッフ同士が簡単に情報共有できる仕組み作りができていなければ、確認に時間がかかってしまうでしょう。
特に顧客対応は、「だれが」「どの問い合わせに対して」「いつ対応したのか」などの情報を共有する必要があります。この情報をリアルタイムに共有できていなければ、スタッフ同士で確認作業をしなくてはいけません。
これがオフィスであれば口頭で確認が可能ですが、テレワークではそうはいきません。
テレワークに適した仕組みづくりが行われていないと、業務効率は悪化するばかりでしょう。
対応品質の悪化につながる
これまで顧客対応を行なっていたスタッフであれば、テレワークでも問題ないかもしれません。しかし新人スタッフはそうはいきません。オフィスであればすぐに相談できる問題でも、テレワークであればレスポンスに時間がかかります。また相談を遠慮してしまい、さらに対応品質に差が出てしまう可能性もあります。
たとえばベテランスタッフは丁寧な返信メールを送ったのに、新人スタッフは簡素な返信メールだけだったなどです。
また業務の進捗状況を把握できていなければ、対応漏れや重複対応につながってしまいます。このようなミスが続けば、ますます対応品質の悪化につながるでしょう。
テレワーク必須ツール活用方法
チャットツール(chatwork)
チャットによるコミュニケーションは、電話のように相手の時間を拘束しないので、メンバーからも気軽に送ることができますし、対面と同じようなテンポで会話ができるので、日常の細かな「報連相」に最適です。
グループ設定すれば複数名で同時に会話ができますし、文字でやりとりの履歴が残るので、簡単な打ち合わせ内容を残す役割を担うこともできます。
また、メールのようにタイムラグがなく、プッシュ通知機能によって受信に早く気が付けるので、タイムリーな指示出しが可能です。
WEB会議ツール(Zoom)
お客様との商談やセミナーなどで使われることが多いWEB会議ツールですが、カスタマーサポート部門では毎朝の朝礼や、週次・月次の「進捗報告ミーティング」での利用がオススメです。
定例ミーティングを設けることで、進捗確認がルーティン化され、業務全体の動きが見えるようになります。
また、チャットツールで細やかな会話ができたとしても、やはり顔を合わせていないとチームの結束力が自然と低下してしまうものです。短時間でも定期的に顔を見て会話をする機会を設けましょう。
顧客管理システム
顧客管理システムは通称CRMと呼ばれています。顧客情報を一元管理できるツール全般のことを指します。
顧客の名前、住所、電話番号、メールアドレス、年齢などの基本情報と、購買履歴や利用履歴を紐づけて管理できます。膨大になりがちな顧客情報を一元管理できるため、業務の効率化に役立ちます。
また顧客管理システムのメリットは、スタッフ全員がリアルタイムに同じ情報を共有できるという点も挙げられます。最新の情報をいつでもシステム上で確認できるので、スタッフ同士で確認する手間が省けます。
さらに顧客管理システムは、分析にも役立ちます。顧客に関わるデータを比較し分析することで、マーケティングなどにも役立つでしょう。
タスク管理ツール
タスク管理ツールは、タスクごとの進捗状況や担当者、期日などを管理できるツールのことを指します。
通常タスクは属人的なものになりがちです。そのため、だれがどの業務をやっているのか分かりにくいことが多いです。
手書きのスケジュール表やふせん、メモなどで連絡を取り合っても、チーム全体で共有することは難しいでしょう。また紙での管理は、一度なくしてしまうと取り返しがつきません。
タスク管理ツールは、このような問題を一度に解決してくれます。デバイス上でいつでもどこでも、メンバー間のタスクの進捗状況が一目見て確認できるようになります。
また重要度などの設定ができるものもあり、スタッフ間でタスクの優先順位に関する認識を合わせやすいもの特徴です。
チャットやメッセージ機能が搭載されているツールも多くあり、スタッフ間のやり取りをツールだけで完結できます。
メール共有システム
カスタマーサポートのような、チームで取り組むメール対応業務をテレワークでもスムーズに行うためには、「クラウド型のメール共有システム」が便利です。
送信メール・受信メールすべてをチーム内で一元管理できる「メールディーラー」の機能を例にご紹介します
メール共有システムの機能
「対応状況管理機能」でメール対応の進捗状況管理
「メールディーラー」では、受信メールが対応状況別で自動的にフォルダへ振り分けられます。
「新着フォルダ」を見れば、未対応のメールが一目で分かるので、「対応モレ」を防止します。
また、「返信処理中フォルダ」のメールには、返信作成中の担当者以外が編集できないようにロックができるため「重複対応」を物理的に不可能にします。
この対応状況別のフォルダ分けによって、メール対応の進捗状況をチーム全体で把握することができます。
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新着
未対応のメールを表示
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返信処理中
返信を始めると新着からメールが移動
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対応完了
送信すると返信処理中からメールが移動
「チャット機能」で報連相
基本機能のメール対応に加えて「チャット機能」がついているので、別のブラウザでチャット画面を開く必要がありません。
メール対応業務を行いながら、チャットの受信にもすぐに気が付くことができます。
「コメント機能」で指示出し
メール1通1通に「コメント」を付けることができるので、「○月○日△時△分に届いた□□@□□からのメールについて…」と細かく該当メールを伝える必要なく、メールそのものに付箋を付けるようなイメージで指示出しや引継ぎを行うことができます。
「ラベル機能」で優先順位づけ
メールに「大至急」や「クレーム」などの任意の文言で「ラベル」を付けることができます。付けたラベルはメール一覧画面で表示されるので、急ぎのメールが一目で判断でき、迅速な対応につながります。
また、折り返しの電話等メール以外の連絡を待っている時も、「TEL待ち」のラベルを作成すれば、放置されているメールと区別することができます。
全員でメールを共有するからこそ、誰が見てもすぐに対応状況が分かるようにすること大切です。
「集計レポート機能」で評価材料を集計
期間別やフォルダ別など必要なフィルタをかけて担当者ごとにメール対応件数と電話応対件数をまとめて集計することができます。
メールの通数を目視で数えたり、エクセルでまとめたりする必要がなくなり、メールディーラーだけで集計作業を完了できるので、管理者の負担軽減につながります。
また、担当者ごとにメール返信にかかった所要時間を作業工程ごとに算出することも可能です。
この時間配分を比較することで、対応件数だけでは見えない「各メンバーの課題」がどこにあるのか考察することができます。
【考察イメージ】
「①返信開始時間」が他メンバーよりも長い場合は、「メールに気が付くのが遅い」
→他の雑務に時間をとられている
「②返信作業時間」が他メンバーよりも長い場合は、「メールを作成するのが遅い」
→タイピングが遅い、対応方針を決めるのが遅い、テンプレートを見つけるのが遅い などなど
対応スピードUPのために改善が必要なポイントが、感覚的でなく数値で目に見えるようになります。
まとめ
顧客対応のテレワーク化で管理者の統制とチーム内の情報共有を実現するためには、ITツールの活用が欠かせません。
本記事でご紹介した「メールディーラー」は、進捗管理、社内コミュニケーション、人事評価等、メール対応だけでなく様々な業務の効率化に役立ちます。
無料トライアルもできるので、気になった方は一度お問い合わせください。
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