異動や退職、長期休暇などにより担当業務から外れる場合、取引先や顧客に混乱を招かないよう、担当変更の旨を伝える「引き継ぎメール」を送っておく必要があります。
しかし、適切な書き方を知らずに送ると、取引先や顧客との信頼関係にも影響が及ぶかもしれません。
この記事では、担当変更による引き継ぎメールの書き方や引き継ぎメールを送る時の注意点、すぐ使える例文などをご紹介します。
「引き継ぎメールの書き方がわからない…」とお困りの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
引き継ぎメールの書き方・ポイント
スムーズな担当業務の引き継ぎを行うためには、以下のポイントに留意して引き継ぎメールを送りましょう。
件名
件名は、ひと目でどのような用件かが分かるよう意識して記載しましょう。
「担当変更のご連絡(自社名/名前)」や「異動のご挨拶/自社名 名前」といったように【用件+自社名・自分の名前】を明記することで、相手がメールの目的をスムーズに理解でき、メール対応の整理をしやすくなります。
宛名・ご挨拶
宛名と挨拶文は、やりとりの頻度に関わらず必ず記載するのがビジネスメールのマナーです。相手に対する敬意を込めて丁寧に記載しましょう。
一般的な宛名と挨拶文の書き方は以下の通りです。
- 宛名:【相手方の会社名・役職名・担当者名+様】
- 挨拶文:「いつもお世話になっております。」「平素は弊社製品のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。」
担当変更の理由
担当変更に至った理由を明確にかつ簡潔に記載しましょう。
異動・退職・長期休暇など、ポジティブな理由だけでなくネガティブな理由であっても、嘘は付かず誠実さを持って伝えることがポイントです。
引き継ぎの日付
後任者への引き継ぎ日は具体的に明記しましょう。
いつまでは前任者へ連絡して問題ないか、いつからは後任者へ連絡すべきかを伝えていないと、相手がどちらにメールを送れば良いか迷ってしまいます。
「〇月〇日(〇)付けで」といった書き方で記載するのがよいでしょう。
後任者の紹介
業務を引き継ぐ後任者の紹介も、引き継ぎメールに記載しておきましょう。
所属部署、氏名、電話番号、メールアドレスなどの基本情報を箇条書きでまとめておくと読みやすいでしょう。
また、スキルや人柄の分かるポジティブな紹介を一言添えることで、後任者がスムーズに馴染めるようにアシストできます。
業務内容によって複数の後任者へ引き継ぐ場合も、箇条書きで読みやすくまとめましょう。
例)〇〇業務:〇〇〇部 〇〇〇さん
△△業務:△△△部 △△△さん
お礼の言葉
担当を外れることを伝える事務的な連絡だけでなく、これまでの指導や協力への感謝の気持ちを込めたお礼の言葉も添えましょう。
個人との具体的なエピソードを添えるとより丁寧な印象になります。
直接伝えられないことへのお詫び
引き継ぎの挨拶は、電話や訪問で直接伝えるのが本来のビジネスマナーです。
可能であれば対面での挨拶が理想ですが、直接伝えることができない場合はそのことをお詫びする一文を添えましょう。
引き継ぎメール送信時の注意点
ここでは、引き継ぎメールを送る際の注意点をご紹介します。
早いタイミングで送る
業務に深く関わる相手には引き継ぎの連絡を早めに行い、後任者への引き継ぎ期間が十分にとれるようにしましょう。
影響が少ない相手には担当者変更の2~3日前で構いません。
また、異動の場合は機密情報にあたるので、情報解禁のタイミングを上司に確認しましょう。
前任者から先に送る
基本的に、引き継ぎメールは前任者から先に送るのがマナーです。
前任者と後任者で引き継ぎメールの送信日時についての段取りを決めておきましょう。
前任者から送るメールに「後ほど後任者からもご連絡いたします」と一言添えておくと、スムーズに引き継ぐことができます。
一斉送信を使用しない
メールで引き継ぎの挨拶をする場合、お世話になった方や関わりの深い方には個別にTo送信しましょう。
ただし、辞令の出るタイミングや周知すべき人数などにより、やむを得ず一斉送信になる場合は、直接伝えられないことへのお詫びの一文を添えましょう。
例)本来であれば、お一人お一人にご挨拶をすべきところ、まとめてのご挨拶となります無礼をお許しください。
メールの書き方
押さえておくべきビジネスメールのマナーやポイントを紹介!
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【前任者用】引き継ぎメールの例文
ここでは、前任者から相手方へ送る引き継ぎメールの例文を、シーン別でご紹介します。
転勤・異動による引き継ぎ
転勤や異動に伴い、担当を引き継ぐ場合の例文です。
件名:<異動のご挨拶>株式会社□□ 〇〇(自分の名前)
本文:
株式会社△△ ××部
□□様
いつもお世話になっております。
株式会社□□□の〇〇でございます。
急なご連絡で大変恐縮ですが、△月△日をもちましてxx事業所に異動する運びとなりました。
在任中、□□様には大変お世話になりました事、深く感謝しております。
後任としまして、今後は同じ課の●●が貴社を担当させていただくことになりました。
●●は入社以来、長らく営業業務に携わっており、□□業界の知識も豊富な人物です。
本来であれば直接ご挨拶にお伺いすべきところ、
メールでのご連絡となりましたこと、大変申し訳なく、お詫び申し上げます。
後日改めて、後任の●●からご連絡いたします。
□□様にご迷惑をおかけすることのないよう、
責任を持って引き継ぎを行っていく次第でございますので、
今後も変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
退職による引き継ぎメール
退職に伴い、担当を変更する場合の例文です。
件名:<担当者変更のご挨拶>株式会社□□ 〇〇(自分の名前)
本文:
株式会社△△ ××部
□□様
いつもお世話になっております。
株式会社□□□の〇〇でございます。
私事で恐縮ですが、この度一身上の都合により、
△月△日をもちまして退職することとなりました。
在任中、□□様には大変お世話になりました事、深く感謝しております。
後任としまして、今後は同じ課の●●が貴社を担当させていただくことになりました。
●●は入社以来、長らく営業業務に携わっており、□□業界の知識も豊富な人物です。
本来であれば直接ご挨拶にお伺いすべきところ、
メールでのご連絡となりましたこと、大変申し訳なく、お詫び申し上げます。
後日改めて、後任の●●からご連絡いたします。
□□様にご迷惑をおかけすることのないよう、
責任を持って引き継ぎを行っていく次第でございますので、
今後も変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
有給休暇による引き継ぎメール
夏季休暇などの有給休暇を取得する際に、代理の担当者を立てる場合の例文です。
件名:<休暇のご連絡>株式会社□□ 〇〇(自分の名前)
本文:
株式会社△△ ××部
□□様
いつもお世話になっております。
株式会社□□の〇〇でございます。
私事で大変恐縮ではございますが、
この度、下記日程で休暇をいただくこととなりましたので、取り急ぎご連絡いたします。
-------------------------------------
・休暇期間:〇月〇日(〇)~〇月〇日(〇)
・不在中の連絡先:△△部 ●●
・緊急時のご連絡先:××-××-××
-------------------------------------
不在時に緊急のご用件がございましたら、
上記の△△部 ●●までお伝えいただけますと幸いです。
なお、休暇明けの出社は〇月〇日(〇)を予定しております。
不在中はご不便をおかけいたしますが、
ご理解ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
産休・育休などの長期休暇による引き継ぎメール
産休、育休などの長期休暇を理由に、一時的に担当を引き継ぐ場合の例文です。
件名:<産休に伴う担当者引き継ぎのご連絡>株式会社□□ 〇〇(自分の名前)
本文:
株式会社△△ ××部
□□様
いつもお世話になっております。
株式会社□□の〇〇でございます。
私事で大変恐縮ではございますが、〇月に出産を控えており、
このたび〇月〇日より産休をいただくこととなりました。
産休中の業務につきましては、同じ課の●●が後任として担当いたします。
後日改めて●●よりご連絡させていただきます。
-------------------------------------
・後任の担当者名:△△部 ●●
・電話番号:××-××-××
・メールアドレス:××@××.co.jp
-------------------------------------
本来であれば直接ご挨拶にお伺いすべきでしたが、
こちらのメールにてご挨拶とさせていただきたく存じます。
□□様にご迷惑をおかけしないよう十分配慮いたしますので、
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
産休後は復帰させていただく予定ですので、
また□□様とお話できますことを心より楽しみにしております。
末筆ながら、皆さまのご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
長期休暇明けの担当復帰メール
長期休暇明けに、担当に復帰する場合の例文です。
件名:<復職のご挨拶>株式会社□□ 〇〇(自分の名前)
本文:
株式会社△△ ××部
□□様
ご無沙汰しております。
株式会社□□の〇〇でございます。
長らく休暇をいただいておりましたが、
この度、△月△日より無事に復職させていただくことになりました。
休暇中、□□様には多大なご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
また貴社のお役に立てるよう精一杯努めさせていただきますので、
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
本来であれば直接お伺いしてご挨拶すべきところ、
大変恐縮ですが、取り急ぎメールにて復職のご挨拶とさせていただきます。
【後任者用】引き継ぎメールの例文
担当者変更に伴い、業務を引き継いだ後任者の挨拶メールの例文です。
件名:<担当着任のご挨拶>株式会社□□ ●●(後任担当者の名前)
本文:
株式会社△△ ××部
□□様
平素より大変お世話になっております。
株式会社□□の●●と申します。
この度、貴社を担当させていただいております△△(前任者名)が、〇月〇日付けで異動となりました為、新任として私が担当させていただくことになりました。
先日までは〇〇業務を担当しておりました。
不慣れな部分もあり、ご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、
いち早く貴社のお役に立てるよう精一杯務めさせて頂きますので、
何卒よろしくお願いいたします。
後日、改めてご挨拶させていただきたく存じますが、
まずは取り急ぎメールにてご連絡申し上げます。
スムーズに担当を引き継ぐための対策方法
引き継ぎメールが必要になるのは、前もって担当変更が発生することが分かっている場合ばかりではありません。
急な異動や退職など、突然担当を引き継がなければならなくなった場合でもスムーズに引き継げるよう、日頃から環境を整えておくことも大切です。
以下では、具体的な対策方法を2つご紹介します。
日頃から情報共有しておく
担当を引き継ぐ際には、先方と前任者との間でどのようなやりとりを行っていたのかを後任者が把握しておく必要があります。
しかし、急な担当変更などで前任者からの引き継ぎが無かった場合、過去にどのようなやりとりをしていたのか・どのような対応方針なのかが分からず、先方に迷惑をかけてしまう事態にもなりかねません。
そうならない為にも、Cc・Bccでのメール共有や定期的なミーティングを行うなど、日頃から情報共有しておくことが望ましいです。
メール共有システムを導入する
前述のように日頃からの情報共有は大切ですが、毎度Cc・Bccにアドレスを入力したり、定期的にミーティングの時間を取るのが手間という方には、自動的にメール共有できる「メール共有システム」を導入することをおすすめします。
「メール共有システム」とは、複数人で行うメールや問い合わせへの対応を効率化するために開発された「メール共有」に特化したメールシステムです。
メール共有システムを導入すると、システム上で対応状況や対応担当者の管理ができたり、対応履歴が閲覧できるようになるため、担当変更時の引き継ぎがスムーズに行えます。
担当引き継ぎを楽にするなら「メールディーラー」
株式会社ラクスの提供する「メールディーラー」は、info@やsupport@など共有メールアドレスやメーリングリスト宛にくる複数名で対応・管理するメールに特化したメール共有システムです。
他の担当者の対応も含め過去のやりとりを時系列で一覧表示できる「対応履歴確認機能」や、定型文メールをひな形として登録できる「テンプレート機能」など、担当変更における引き継ぎ作業が楽になる機能が豊富に搭載されています。
円滑な担当引き継ぎで良好な信頼関係を
今回は、担当変更が発生した際に送る引き継ぎメールの書き方や、スムーズな引き継ぎのための対策方法についてご紹介しました。
引き継ぎメールは、取引先や顧客との信頼関係を保つためには欠かせないものです。
相手に不安や不信感を与えないよう、マナーを守った丁寧な引き継ぎメールを心がけるのと同時に、スムーズな担当引き継ぎが行えるよう環境を整えておくことも検討しましょう。
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