
近年多くの企業で発足している「カスタマーサポート」。
ただの問い合わせ対応で完結せず、売上・利益向上に寄与する非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
本記事では、カスタマーサポートの重要性と成果に繋げるには何が必要なのかを解説していきます。
カスタマーサポートの業務内容
カスタマーサポートは、サポートデスクやお問い合わせ窓口などと呼ばれることもあります。ここからもわかるとおり、商品・サービスに対する問い合わせを対応し、顧客が抱える問題を解決するサポートすることが主な業務です。
よりカスタマーサポートの業務内容を具体的に見てみましょう。
- 顧客からの問い合わせを電話で対応する
- 顧客からの問い合わせをチャット上で対応する
- SNS上での疑問や不満に対して即座に解決策を提示する
一般的なカスタマーサポートは、これらの手段で顧客の課題を解決していきます。
また、問い合わせの一部にはクレームに類されるようなものも含まれてくるため、自社の商品・サービスのネガティブな面に触れることが多く、製品・サービスの解決すべき課題が把握しやすいポジションであるということはポイントの一つです。
カスタマーサポートの重要性
近年、カスタマーサポートは顧客満足度向上に貢献するという考えが一般的になってきており、顧客からの紹介やリピーターの増加による売上向上が狙えるとして、多くの企業が重要視するようになりました。
ここれでは、カスタマーサポートがなぜ重要視されるようになったか、その背景を見ていきましょう。
競争激化への打開策として
発売当初は付加価値の高い商品でも、市場が活性化してくると、参入する企業の増加などにより、他社商品との差別化が難しくなることで、販売の伸びが鈍化していく傾向にあります。
また、差別化を図るために価格で勝負をかけようと低価格化を進めると、価格競争が激化し、たとえ販売数が上昇したとしても利益が減少してしまう可能性は高いと言えるでしょう。
このような事態から、市場の活性化により差別化が難化したことで、顧客満足度を向上させ、リピート販売・紹介販売・継続利用を増加し生産性を最大化することを目的とし、カスタマーサポートの設置が増加しています。
近年は、顧客がインターネットを使って比較検討できる環境が整っています。企業発信の情報だけでなく、口コミやSNSなど、さまざまな媒体から情報をリアルタイムで得ることが可能かつ主流になってきています。
たった1人の顧客の感想が瞬時に不特定多数へ拡散される可能性があるため、顧客満足度を上昇させるカスタマーサポートは、非常に重要な役割を持っていると言えるでしょう。
サブスクリプション型サービスの台頭
近年、製品・サービスをスポットで購入するのではなく、月々〇〇円といった形で比較的安価なコストで利用できるようになるサブスクリプション型サービス(サブスク)が幅広いジャンルで増加しています。
サブスクリプション型サービスでは、新規購入・契約ももちろん重要な要素ですが、いかに一人の顧客に長く利用してもらい、月々の費用を支払ってもらえるかも非常に重要です。
そのため、特にサブスクリプション型サービスでは解約を防ぎ、収益性を上昇させるため、カスタマーサポートが重要な役割を果たしています。
カスタマーサポートが抱える課題
カスタマーサポートは、急速に必要性が認知され設置する企業が多くなる一方で、そこで働く従業員は、多くの課題を抱えています。
ここでは、カスタマーサポートが抱える課題の内容と、解決の糸口を考えていきましょう。
スタッフ間の情報共有が不足している
カスタマーサポートで働く人員の、スキルや知識量の違いから生じる対応品質の差を課題視している企業は実際に多く存在します。
理想は、一度受けた問い合わせの内容と回答は、モデルケースとして全体に共有され、その後の対応の質・効率を上昇させるような状況です。
しかし、実際に実現できている企業は少なく、多くの企業でカスタマーサポートは常に膨大な業務を抱え、重いストレスを感じているような状況といわれています。
顧客から得た情報が有効活用できていない
カスタマーサポートは、顧客満足度を上げるのと同時に、自社製品・サービスの課題をいち早くキャッチし、改善に活かすことも重要な役割です。
しかし、多くの企業では問い合わせ対応に追われるが故に、せっかく得た情報を有効活用ができていないという場合も少なくありません。
一方で、この課題を解決するために、顧客管理ツールを導入し集計・分析を自動化する動きが広がってきています。
カスタマーサポート業務におけるポイント
カスタマーサポート業務の目的は、
- 顧客満足度上昇
- 製品(サービス)の品質向上
と大きく二つに分類されます。
これらの目的を追ううえで、意識すべきポイントを解説していきます。
マニュアルを作成し対応品質を引き上げる
カスタマーサポートのパフォーマンスを高めるためには、担当者によってサービスの質にバラつきが出ないように、マニュアルの作成は非常に重要です。
対応品質が高品質なもので統一されることで、顧客満足度の向上が見込め、また業務工数が削減されることで、より製品・サービスの品質向上のためのリソースを割けるようになるでしょう。
テンプレ機能で対応品質を均一化!
問い合わせ対応の効率化は「メールディーラー」
KPI管理を徹底しPDCAを回す
カスタマーサポートの質を高めるためには、目標までのKPIを正しく設置し行動することです。
KPIとは目標を数値化するための指標で、目標達成への進捗状況が明らかになり、課題発見につなげられます。
カスタマーサポートにおけるKPIの例は、以下のとおりです。
対応件数 | 1日に対応した件数 |
応答速度 | 問い合わせ発生から対応を開始するまでの時間 |
応答率 | 着信に対して応答した割合 |
解決率 | 解決できた問い合わせの割合 |
FCR(First Contact Resolution) | 初回で解決できた問い合わせの割合 |
例えば、対応品質の向上を目的と置いている場合だと、応答速度・解決率・FCRをKPIと設定し、それぞれの数値の改善目標を立てておくと進捗がわかりやすくなるでしょう。
仮に応答速度だけ数値に改善が見られなかった場合、応答速度を上げるために人員やシフトを調整するなどの動き出しがスムーズに行えるようになります。
BPOを取り入れる
主に問い合わせ対応の業務は、ある程度マニュアル化が進み対応品質の均一化が進めば外部にアウトソーシングすることが可能です。
問い合わせ対応などの工数の大きい業務を外部へ委託し、自社のカスタマーサポートの工数は、分析や新たな施策の立案に使うことができるようになります。
サポートツールを導入する
カスタマーサポートでは、顧客にあった対応を行うために顧客情報の蓄積・管理が非常に重要です。
顧客数が少ないスタートアップ企業などは、Excelなどで管理している場合もありますが、顧客管理はサポートツールを導入し、システム上で行うことが一般的です。
また、サポートツールは知りたい時に知りたい情報をスピーディに参照できる仕様
担当者の稼働状況やチーム全体の成果などを管理できるツールもあるため、カスタマーサポートの運営や強化にも活用できるでしょう。
カスタマーサポートシステムとは?
従来は電話によるカスタマーサポートが一般的でしたが、近年はメールやチャット、SNSなどあらゆるチャネルを利用する企業が増えてきました。
カスタマーサポートシステムとは、これらの多様化した窓口を一元管理するシステムや、カスタマーサポート業務自体を代行するシステム、顧客の個人情報を管理するシステムなどがあります。
カスタマーサポートシステムの種類
カスタマーサポートを効率的に進めるカスタマーサポートシステムには、以下の3種類があります。
顧客対応タイプ
顧客対応タイプは、カスタマーサポート業務を代行できるシステムに分類されます。
システムとしては、FAQシステムやチャットボットが該当します。
公式サイトやサポートページに設置し、よくある質問と回答を登録しておくことで、顧客が問題を自己解決できるようになるシステムです。
カスタマーサポート対応時間外も問題解決ができるので、顧客の利便性が上がるだけでなく、無人で対応完了できるので、カスタマーサポート部門の業務量削減に役立ちます。
顧客情報管理タイプ
顧客情報管理タイプは、顧客の個人情報を管理するシステムです。
CRM(Customer Relationship Management)システムとも呼ばれます。
CRMでは、チャネルごとに散在している個人情報をまとめて管理するためのシステムで、エクセルなどで簡易的に管理している企業も多いですが、件数が増えるとデータが重くなり、作業効率が悪化するだけでなく、データ破損のリスクが高まるため、導入することをおすすめします。
チャネル集約タイプ
チャネル集約タイプは、カスタマーサポート窓口を一元管理するためのシステムです。
メールや電話、チャット、LINE、公式SNSなど、さまざまな窓口を設けている企業では、最初はメールで問い合わせをした顧客が次は電話をかけてくる、といったことが起こり得ます。
チャネル集約タイプのシステムを使って、窓口を一元管理することで、「先ほどメールで送った件ですが…」という電話などの、窓口を横断する問い合わせをスムーズに対応できるようになります。
カスタマーサポートにおすすめ「メール管理システム」
カスタマーサポートで問い合わせを受ける際にほとんどの企業が利用しているチャネルは電話・メールの2つです。
最近では、問い合わせの窓口から電話を取り除く企業が増えてきていますが、依然として多くの企業でメールでの対応は行われています。
そこでここでは、前述したチャネル集約タイプのなかでもメールに特化した「メール管理システム」をご紹介していきます。
メール管理システムでできること
メール管理システムを活用することで、
- メール
- チャット
- 電話の応対メモ
- 公式SNSへの連絡(公式LINEなど)
などをまとめて管理することが可能になります。
そのため、「メールで問い合わせがあったが、その前はLINEで、その前は電話だから管理シートを見にいかないと…」といった無駄な工数を削減できるようになり、対応速度の上昇・工数削減・ミスの減少を実現できる、カスタマーサポートに必須級のシステムと言えるでしょう。
加えて、共有用の受信トレイを使用しカスタマーサポートチーム全員が同じ環境で、問い合わせ対応を行うことが可能になるため、常にリアルタイムな情報共有が可能です。
また、誰がどのメールを対応しているのかが明確になるため、対応漏れや遅れ、二重返信などのエラーを防止することにも繋がります。
メール管理システムを導入するメリット
対応進捗管理を自動化できる
個々でメール対応業務をしていると、他スタッフの対応状況を把握することができません。担当スタッフが不在で対応できなかった際に、他スタッフが対応しようとしても状況把握に時間がかかり、顧客を長時間待たせてしまうため、満足度の低下に繋がります。
もしメール管理システムで一元管理をしておけば、他のスタッフの対応も簡単に時系列で確認ができるので、状況把握に時間をかけずに代理対応が可能になります。
対応ナレッジが共有できる
カスタマーサポート業務は、ベテランと新人で対応品質の差が出やすいものです。しかし、日々の対応に追われ、新人教育に時間を割くことができないという企業も多いのではないでしょうか。
メール管理システムでは、他の人が過去に行ったやりとりを閲覧することができます。そのため、新人はベテランスタッフの送信メールを参考にしながらメールを作成できるのです。メール教育の時間をかけずに、新人でも高品質な対応が可能になります。
顧客満足度の向上が見込める
顧客がカスタマーサポートに求めていることは、「迅速で丁寧な対応」です。
この対応を実現できると、顧客満足度の向上を期待することができます。前述した通り、メール管理システムは業務を効率化できるとともに、対応ナレッジを蓄積・共有することが可能です。
そのため、システムにより実現できる素早い対応・高品質な対応ができる環境を作り出すことで、結果顧客の上昇が期待できます。
テレワークに適応できる
新型コロナウイルスの影響で、カスタマーサポート部門もテレワーク化が推進されるため、電話応対をメールやチャットでの応対に切り替える企業が増えています。
ただし、カスタマーサポートのテレワーク化には問題点もあります。
今まではスタッフ同士で声をか掛けて情報共有ができましたが、テレワーク下ではチャットやメールで行う必要があり、手間やタイムラグが発生します。
メール管理システムでは、他のスタッフの対応状況が一目で把握できるので、テレワーク下でも、情報共有のために手間と時間をかける必要がありません。
メール管理システムの選び方
抱える課題から選ぶ
メール管理システムを選ぶときのポイントは、現状の課題を洗い出し、それを解決できる機能を持つシステムかどうかを検討することです。
カスタマーサポート業務でよく見られる課題をまとめてみました。
- 重複対応が発生している
- 返信漏れが発生している
- 過去の対応履歴を見つけるのに時間がかかっている
- メールの引継ぎでミスが発生している
- スタッフ間で対応品質に差がある
- 担当者が不在だとメール対応が遅れる
連携性で選ぶ
メール管理システムを選ぶときには、外部システムとの連携性を重視することも大切です。
FAQシステムやチャットボット、CRMシステム、受注管理システムなど、システムによって連携できるものは異なります。
検討しているメール管理システムが他のシステムと連携できるか、また連携できる場合、自社で利用しているシステムとの連携は可能か、よく確認しましょう。
サポートの手厚さで選ぶ
メール管理システムは、導入~運用にあたってサポートが手厚いシステムを選ぶと安心です。
導入時から専属のサポートスタッフが付いたり、メールの書き方やカスタマーサポートノウハウなどのセミナーを実施しているシステムもあります。
スピード感を持って理想の運用を実現するには、システムへの専門知識や成功事例を多く持つ担当がサポートしてくれるかどうかは重要なポイントです。
操作性から選ぶ
スタッフ全員が難なく直感的に使うことができるものを選ぶことも重要です。
システムによっては、あえてインターフェースをGmailなどの一般的なメールツール寄せて開発することで、導入後すぐの状態でも多くの人が活用できるようにしているものもあります。
便利な機能が豊富に備わっていたとしても、複雑で操作の難易度が高いシステムでは、効率的に業務をすることはできません。
無料トライアルなどを活用して実際の使用感を確かめてみるのも一つの手です。
セキュリティ対策で選ぶ
カスタマーサポートでは顧客の個人情報を取り扱うことから、セキュリティ性が高いシステムを選ぶことも重要です。万が一システムから顧客情報が流出するような事態が発生すると、企業の存続にも関わる大問題となり得ます。
SSL通信によって暗号化できる、ログイン認証を行う、アクセス制限を実施する、顧客データにアクセスする人を制限できるといった、高度なセキュリティ機能が備わったシステムを選びましょう。
メール管理システムは「メールディーラー」

メールディーラーは、複数人で共有のメールアドレス宛に届くメールや問い合わせを一元管理し、チームでのメール対応を効率化することが可能になる、メール管理システムです。
メールディーラーを活用することで、よくありがちな問題であるメールの見落としや返信漏れを防ぎ、顧客満足度の低下を防ぎ、より業務を効率化が実現できるようになります。
対応状況管理(ステータス管理)機能
担当者振り分け機能によって、誰がどのメールを対応している(した)のかを見える化することが可能です。また、メールの進捗状況もカンタンに把握することができるため、未対応のメールの見落としや返信漏れの防止に繋がります。
返信期限設定機能
返信期限設定機能を活用することで、対応すべきメールごとに返信期限を設定することが可能です。
返信期限を設定することで、期限の前日・当日・期限後にアラートを表示させることができ、対応漏れを防止することができます。
ECモール対応機能
楽天R‐Messe・Yahoo!ショッピングのECモールと連携が可能です。
連携することで、ECモールからの問い合わせをメールディーラー上で対応することができます。
まとめ
このコラムでは、カスタマーサポート業務を効率化する「カスタマーサポートシステム」についてご紹介しました。
顧客窓口を一元管理することで、返信漏れや返信遅れなどのミスを防止するだけでなく、対応スピードと対応品質の向上により、顧客満足度の向上を期待できるようになるでしょう。
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