
ビジネスメールのやりとりの中で、ありがちなヒューマンエラーとして挙げられるのが「メールの誤送信」です。
ビジネス上でのメールの誤送信は、個人間での信頼損失だけでなく、情報漏えいなどの企業全体としての重大なトラブルに発展する可能性もあるため、しっかり対策を立てておく必要があります。
この記事では、メールの誤送信防止のために取り入れるべき具体的な対策や、おすすめのメール誤送信対策ツールを紹介いたします。
メール誤送信の主な原因
まず、メールの誤送信が発生してしまう主な原因について解説していきます。
宛先・Cc・Bccのミス
メールの誤送信として多いのが、メールの宛先を間違えて送ってしまう「宛先ミス」です。
アドレス帳で宛先選択を誤ってしまったり、メールアドレスの一部を入力すると自動で宛先候補が表示される「サジェスト機能」で似た名前の別人を入力してしまう場合などが多く見られます。
また、「Cc」と「Bcc」の選択ミスもよくある原因の1つです。
「Cc」に入力した場合は、ToやCcに入力した相手全員にCcのメールアドレスも表示されますが、「Bcc」に入力した場合は、ToやCcに入力した相手にはBccのメールアドレスが表示されません。
本来はBccに入力してメールアドレスを公開せず送るつもりだったが、誤ってCcに入力してしまいメールアドレスを公開して送ってしまった、ということもよくあります。
添付ファイルのミス
ファイルの添付を忘れて送ってしまったり、添付するファイルを間違えて関係ないファイルを送ってしまったりなど、添付ファイルに関するミスも多く見られます。
また、安全考慮のため添付ファイルは暗号化しパスワードをつける場合が多いですが、暗号化することを忘れてそのまま送ってしまうというミスも起こり得ます。
文面のミス
文面を誤った状態で送ってしまう「文面ミス」も、よくあるメール誤送信の1つです。
別のメールから文面の一部をコピーして引用した場合に、修正するべき部分を見逃しそのままの文面で送ってしまったり、文章作成の途中で誤ってメールを送信してしまったりということもよくあります。
メールの誤送信を防止するための対策
ここでは、メールの誤送信を防止するための具体的な対策方法をご紹介します。
メール送信前の「チェックリスト」を作成
メールを送信する前に、間違いがないかを再度チェックするための「チェックリスト」を作成しておきましょう。
メールの送信前に必ずチェックリストに沿ってチェックを行うようフロー化することで、メール誤送信の防止につながります。
以下にチェックしておきたい項目をまとめましたので、ぜひご活用ください。
項目 | ☑ | チェック内容 |
---|---|---|
宛先 | 宛先のアドレスは間違っていないか | |
To・Cc・Bccの使い分けは間違っていないか | ||
件名 | ひと目で内容が分かる件名になっているか | |
【重要】【緊急】などのキーワードを必要に応じて使用できているか | ||
「Re:Re:Re:」のように「Re:」が複数使用されていないか | ||
宛名・挨拶文 | 相手方の会社名・部署名・役職名・氏名は間違っていないか | |
敬称は漏れていないか(適切な敬称を記載しているか) | ||
挨拶文は漏れていないか | ||
本文 | 用件を分かりやすく簡潔にまとめられているか | |
相手からの質問に漏れなく回答できているか | ||
誤字脱字はないか(文字表現は適切か) | ||
日付・金額・リンク先のURLなどの情報に間違いはないか | ||
不適切な表現は含まれていないか | ||
締めの挨拶は漏れていないか(適切な挨拶を記載しているか) | ||
署名は漏れていないか(適切な署名を記載しているか) | ||
添付ファイル | ファイルの添付は漏れていないか(正しいファイルを添付しているか) | |
添付ファイルの名前は適切か | ||
添付ファイルの暗号化が漏れていないか |
第三者によるWチェック
メールを作成した本人が前述のチェックリストで確認した後、第三者によるWチェックをフローに組み込むことも有効な手段です。
ただし、チェックを担当する上長などの業務負荷が増えるため、複数の従業員にチェックを割り振るなどの工夫をしましょう。
メールの保護・保留機能を活用
メーラーとしてよく使われるGmailやOutlookには、メールの誤送信を防止するための便利な機能がいくつか搭載されています。
ここでは、Gmailの「情報保護モード」とOutlookの「送信保留機能」についてご紹介します。
Gmailの「情報保護モード」
Gmailの「情報保護モード」は、メールの誤送信による情報漏えいを防止するための機能です。主にメールを受信した側でのメールの操作を制限できるのが特徴です。
具体的に使用できる機能は以下の3つです。
機能名 | 機能説明 | 防止ポイント |
---|---|---|
有効期限設定 | メールを閲覧することができる「期限」を設定できる | もし誤送信してしまっても、有効期限が過ぎれば受信した側はメールを閲覧できなくなる |
SMSパスコード設定 | メール自体に「SMSパスコード」を設定できる | もし誤送信してしまっても、パスコードが無ければ受信下側はメールを開くことができないため、むやみに内容を見られる心配が無い |
操作の制限 | ・受信した側でのメール転送、コピー、印刷、添付ファイルのダウンロードができなくなる ・受信した側でのメールのアクセス権を制限できる |
もし誤送信してしまっても、アクセス権を無効にすれば受信した側はメールを開けなくなる |
設定手順は以下の通りです。
- 新規メールを作成し、右下の「
(鍵と時計のマーク)」をクリック
- 情報保護モードの設定画面が表示されるので、「有効期限」の設定項目でメールの閲覧可能期限を「1日・1週間・1か月・3か月・5年」の中から選択
- 「SMSパスコード」の設定項目で、SMSパスコードの有無を選択
- 右下の「保存」をクリック
- 新規メール作成画面で「有効期限」が表示された状態で、メールの宛先・件名・本文を入力し、「送信」をクリック
- 「SMSパスコード」を設定した場合は、受信者側の電話番号を入力し、「送信」をクリックして完了





Outlookの「送信保留機能」
Outlookの「送信保留機能」は、設定しておくと送信ボタンを押してもすぐにはメール送信されず、一旦保留にしておくことができる機能です。
送信ボタンを押したメールはすべて送信トレイに保存されるようになります。
この間にチェックリストでのチェックや第三者によるWチェックなどを行い、間違った箇所の修正や送信取消も可能です。
設定手順は以下の通りです。
- 画面左上の「ファイル」をクリックし、左下の「オプション」をクリック
- 「詳細設定」をクリックし、「送受信」項目内で「接続したら直ちに送信する」の☑を外す
- 右下の「OK」をクリックして完了
- 送信ボタンを押したメールは、左メニューバー内の「送信トレイ」に保存される
- 保留中のメールは、「送受信」タブ内の「すべて送信」をクリックすると送信可能




メール送信取消機能の活用
GmailとOutlookのおすすめ機能として、メールの送信完了後に一定時間であれば送信を取り消すことができる「送信取消機能」の活用も有効です。
この機能を利用すれば、もしメールを誤送信してしまっても、すぐに気が付くことができれば削除することも可能です。
以下で、GmailとOutlookそれぞれのメール送信取消機能の利用方法をご紹介します。
Gmailでの「メール送信取消機能」の利用方法
- メールを送信した後、最下部に「メッセージを送信しました」と表示され、横に「元に戻す」と「メッセージを表示」の項目が表示されるので、「元に戻す」をクリック
- 「送信を取り消しました。」と表示されたらメール送信取消は完了

また、メールを送信した後の送信取消可能時間も変更することができます。
手順は以下の通りです。
- 右上の設定アイコン
をクリックし、「すべての設定を表示」をクリック
- 「全般」タブをクリックし、「送信取り消し」項目の「取り消せる時間」で「5秒、10秒、20秒、30秒」の中から選択
- 最下部の「変更を保存」をクリック

Outlookでの「メール送信取消機能」の利用方法
- 画面左の「送信済みアイテム」をクリック
- 取り消したいメールをダブルクリック
- 別窓でメールを開いた状態で、上部の「メッセージ」タブをクリック
- 「移動」項目の「アクション」をクリックし、「メッセージの取り消し」をクリック
- 「未読ならば、受信トレイから削除する」の左横にチェックを入れ、「OK」をクリック



ただし、Outlookでメールの送信取消が可能なのは、以下の条件を満たしている場合のみです。
- 法人向けMicrosoft365を利用していること
- 相手が同じ組織のユーザーであり、Microsoft Exchangeを利用していること
- 相手がメールをまだ開封していないこと
メールの誤送信対策システムを導入
メールの誤送信の主な原因はヒューマンエラーです。
前述でご紹介したメール誤送信対策で、ある程度はミスを防ぐことができますが完全に無くすことは難しく、またチェック作業において手間がかかってしまうという課題もあります。
こういった課題を解決するには、「宛名チェック機能」や「添付ファイルの暗号化機能」などの自動メール誤送信対策が搭載されているシステムを導入することがとても有効です。
システムの導入にはコストが発生しますが、個人情報漏えいや機密情報漏えいのリスクを考えれば、導入するメリットは大きいと言えます。
メール誤送信によるリスク
メールを誤送信してしまった場合に起こり得るリスクとしては、「個人情報漏えい」と「機密情報漏えい」の2つのパターンが存在します。
具体的にこの2つのパターンについてご紹介します。
個人情報漏えい
「個人情報」とは、氏名や住所、生年月日、クレジットカードの情報など特定の個人を識別できる情報のことを指します。
宛先ミスや添付ファイルミスなどのメール誤送信により、これらの個人情報が社外の他人に知られてしまった場合は「個人情報漏えい」に該当します。
個人情報の漏えいは、当該本人に影響を与えるだけでなく、会社の信頼損失にも繋がり大きな問題となりかねません。
機密情報漏えい
「機密情報」とは、企業が保有している情報の中で、外部への公開が予定されていない情報のことを指します。
例えば、「A社と共同で企画しているサービスの関連書類を、誤ってB社に送信してしまった」といったケースなどが「機密情報漏えい」にあたります。
この場合、A社との取引関係が社外に漏れてしまうだけでなく、A社に提示している見積もり金額なども知られてしまいます。
仮にA社・B社が競合関係にある場合、両社との信頼関係を損ねることになります。
メールの誤送信対策機能が充実「メールディーラー」
前述のように、GmailやOutlookなどの各メーラーに搭載されている機能を活用したメール誤送信対策も有効ですが、より効率良くかつ効果的に対策するには「メールの誤送信対策に特化したツールを導入する」のが最もおすすめです。
今回はメールの誤送信対策機能を豊富に備えたメールツールである「メールディーラー」をご紹介します。
メールディーラーとは?

株式会社ラクスの提供する「メールディーラー」は、info@やsupport@などの共有メールアドレスやメーリングリスト宛に来る、複数名で対応・管理するメールに特化したメール共有システムです。
メールの誤送信対策機能はもちろんですが、メール対応で起こりがちな「メールの見落とし」や「重複対応」を防ぐための機能も多数備わっています。
以下では、メールの誤送信対策機能をピックアップしてご紹介します。
宛名チェック

作成したメールの宛名情報と過去送信メールの宛名情報を照合し、誤送信が疑われる場合はアラートを表示します。
過去メールのコピー&ペーストによる宛名間違いなどのミスを防ぐことができます。
ダブルチェック(申請・承認)

メール送信時に承認を通してからメールを送るフローを組むことが可能です。
例えば、新人の社員がメール送信する場合には、上司の確認・承認を必須の工程として組み込むことができます。
送信内容チェック

メール送信前のセルフチェックを義務化することができます。
To・Ccなどのアドレス欄や、添付ファイルの内容などをメール送信前に確認する工程を設定できます。
添付ファイルの自動暗号化・ダウンロードURL化
添付ファイル送信時の機能として、「添付ファイル自動暗号化」と「添付ファイルダウンロードURL化」の2つの機能が搭載されています。
「添付ファイル自動暗号化」は、添付ファイルをパスワード付きのZIPファイルに変換して送信できる機能です。ZIPファイルのパスワードも別メールにて自動的に送信されます。
「添付ファイルダウンロードURL化」は、添付ファイルをURL化して送ることができる機能です。添付ファイルの差し替えやダウンロード期限の設定、ダウンロード履歴の確認も可能です。
メールの誤送信対策はツールの活用で徹底
メールの誤送信は誰にでも起こり得るミスです。
しかしたった一度のミスでも、企業全体の信頼損失や損害賠償の支払いなど重大な問題につながる可能性もあります。
そのため、企業としてメールの誤送信対策を講じることが重要です。
社内ルールを定めたり、社員教育をしっかり行ったりなどの方法もありますが、より効率的で効果的な方法として、誤送信対策ツールの導入もおすすめです。
メールの誤送信対策にお悩みの企業様は、今回紹介したメールディーラーも含め、誤送信対策ツールを検討してみてはいかがでしょうか。
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