カスタマーサポートや営業など複数人でメール対応を行う場合、対応漏れが発生する・CcやBccに宛先を入れる手間がかかるなどはよくある課題です。
そんな課題を解決するために「メールアドレスを共有する」ことをおすすめします。
この記事では、複数人でメールアドレスを共有するメリットや具体的な共有方法、おすすめのメール共有システムなどを解説いたします。
共有メールアドレスとは?
共有メールアドレスとは、文字どおり「複数人で共有できるメールアドレス」のことです。
1つのメールアドレスを複数人で共有することによって、受信した1つのメールを複数の担当者が確認できるようになったり、同じメールアドレスを使って複数人の担当者がメールを送信したりすることが可能になります。
会社の代表メールアドレスとしてよく使われる「info@~」や「support@~」などが共有メールアドレスの代表例です。
メールアドレスを共有するメリット
ここでは、複数人でメールアドレスを共有することのメリットについて解説します。
業務の効率化
メールアドレスを共有することによって、メール対応業務の効率化を図れるという点は大きなメリットです。
各メンバーが個人のメールアドレスを使用してメール対応を行う場合、ほかのメンバーにメールを共有するためにメールを転送したり、メール送信時にCcやBccで関係者を設定したりする手間が発生します。
メールアドレスを共有しておけば、メンバー全員が手間なく同じメールを確認できるため、業務効率アップにつながります。
顧客満足度の向上
メールアドレスを共有することで情報共有がスムーズになり、口頭での確認といったタイムロスが減ります。
これにより、お客様への返信スピードが上がるため、結果的に顧客満足度の向上につながります。
同じ内容の返答であっても、返信が早ければ「この企業はすぐに対応してくれる」と好印象を与えるのに対し、数日経ってからの返信では「この企業は対応が遅い」と悪い印象を与え、顧客満足度が下がる原因になりかねません。
属人化の防止
メールアドレスを共有することは、メール対応の属人化を防ぐことにもつながります。
各担当者が個別でメール対応を行った場合、他のメンバーにはメールのやりとりを確認することができないため、担当者の不在時に顧客から問い合わせがあったとしても担当者以外には詳細がわからず、結果担当者が戻るまで待たなければならないことになります。
メールアドレスを共有していれば、担当者が不在であっても他のメンバーで詳細を確認し代理対応することが可能です。
メールアドレスを共有する際のよくある課題・注意点
メールアドレスの共有にはメリットが大きい一方で、運用上注意すべき点もあります。
ここではよくある3つの課題と注意点をご説明します。
重複対応
1つ目は、複数人でメール対応を行うことで対応が重複してしまう可能性リスクがある点です。
1つの受信メールに複数人が対応できる環境のため、誰がどのメールを対応しているのか把握できていないと二重で返信してしまうという事態になりかねません。
加えて「誰かが対応しているだろうと思っていたが、誰も対応していなかった」という事態も起こり得ます。
これらを防ぐには、担当者間での積極的な声かけ等による情報共有が有効です。ただしこの場合、リモートワークだと業務がまわりづらいなどの懸念もあるため、Excel等で受信メールの対応状況を管理するのもよいでしょう。
対応もれ
2つ目は、大量のメールの中から対応が必要なメールを見落としてしまうことによる対応もれが発生する可能性がある点です。複数名でメールアドレスを共有していると、通知メールや自動返信メール、メールマガジンなど対応の不要なメールが新着メールボックスにたまるスピードも早いです。新着メールボックスには対応すべきメールだけが残るよう、受信ボックスの振り分け設定をしっかり行っておきましょう。
引き継ぎミス
3つ目は、複数人での対応による引き継ぎミスが発生する可能性がある点です。
メールアドレスを共有する場合、複数人で1つの案件を引き継ぎながら対応するシーンもありますが、引き継ぎにミスが生じると顧客から「前回話していたことと違う」などのクレームが入ってしまう可能性もあります。
どの担当者がどんな内容で対応したのかをよくチェックしてから、次の担当者に引き渡すことが大切です。
【Gmail】メールアドレスを共有する方法
メールアドレスを共有する方法はいくつかあり、メーラーによって活用できる機能は異なります。
ここでは、メーラーとして人気の高いGmailで活用できる機能をご紹介します。
Googleグループの利用
Googleグループは、複数人での情報共有を効率化するサービスで、Gmailアカウントと連携して利用できます。
グループを作成し専用の共有メールアドレスを設定することで、グループに追加したメンバー間で共有メールアドレスに届くメールを共有・分担対応することが可能です。
設定手順などの詳細は、下記記事を参考にしてください。
自分のGmailへのアクセス権限委任
もう1つは、自分のGmailアカウントへのアクセス権限を他者へ委任して1つのメールアドレスを複数人で共有するといった手段もあります。
アクセス権限を委任されたユーザーは、委任したユーザーのGmailに届くメールを閲覧したり、メールへの返信を代理対応することができます。
設定手順などの詳細は、下記記事を参考にしてください。
【Outlook】メールアドレスを共有する方法
ここでは、同じくメーラーとしてよく使われるOutlookで、メールアドレスを共有する方法をご紹介します。
共有メールボックスの利用
共有メールボックスは、Outlookで利用できる複数人でメールを共有する機能です。
「info@~」や「support@~」などの共有メールアドレスを設定した「共有メールボックス」を作成することで、共有メールアドレスに届くメールを複数のユーザーで閲覧・対応することが可能です。
代理人アクセスの有効
Outlookの「代理人アクセス」機能を利用することで、自分のOutlookアカウントへのアクセス権を他者へ委任することが可能です。
アクセス権を委任されたユーザーは、委任したユーザー宛てに届いたメールを閲覧・代理送信することができます。
また、メールだけでなく予定表なども共有することができるため、あらゆる情報共有に役立ちます。
設定手順などの詳細は、下記記事を参考にしてください。
【共通】メールアドレスを共有する方法
他にも、Gmail・Outlookで共通して活用できるメールアドレス共有方法があります。
ここでは2つの方法をご紹介します。
メーリングリストの利用
よく利用されるメールアドレスの共有方法として「メーリングリスト」があります。
メーリングリストとは、リストの管理者を決めておき、管理者が利用者をリストに追加していくことで1つのメールアドレスを複数人で利用できるようになるメールアドレスの運用方法のことです。
Gmail・Outlookなど多くのメールソフトで利用できるため、導入ハードルの低さがメリットです。
ただし、メーリングリスト経由で共有したメールに返信する場合は、各々の個別アドレスから対応する必要があるため、他のメンバーには返信状況が把握できないといった注意点もあります。
メール共有システムの導入
最後に、複数人でのメール共有・対応に特化したメール共有システムを導入する方法です。
メール共有システムとは、複数人で行うメールや問い合わせへの対応を効率化するために開発されたメールシステムです。
共有したいメールアドレスを設定することで、システムの利用メンバー間でメールの閲覧・対応が可能です。
また、複数人でメール対応を行う際に起こりがちな「対応漏れ」「重複対応」などのミスを防ぐための機能も豊富に搭載されています。
リスク無く、メールアドレスを共有する手段としておすすめです。
「情報共有」を効率化した事例
株式会社ヤッホーブルーイング
導入前の課題
株式会社ヤッホーブルーイングでは、常に最善の顧客対応を行うことを目標とし、問い合わせ返信前に、過去の注文履歴やメールを確認するフローを組み込んでいます。
しかし、顧客情報の確認フローに時間がかかるため、メール通数が多い時は返信が翌日になってしまうこともありました。
対応スピードを優先したことにより重複対応が発生してしまったこともあり、問い合わせ管理に課題を抱えていました。
導入後の効果
問い合わせ管理システム導入後、既に利用していたSalesforce(CRM)、CROSS MALL(受注管理システム)と連携しました。
メール画面からワンクリックで該当顧客の注文情報ページにアクセスできるようになり、時間のかかっていた顧客情報の確認フローを効率化できました。
また、メール画面上で、「いつ」「誰が」「どのメールを」「どのように対応をしたか」リアルタイムで情報共有し、一目で把握できるようになりました。
これにより、今まで発生していた口頭での対応状況確認が不要になり、メール対応時間の削減につながりました。
問い合わせ管理システムを導入し、メール対応業務の効率化ができたことにより、最善の顧客対応のため+αの対応を実現できています。
株式会社シェアリングエネルギー
導入前の課題
太陽光発電システムの第三者所有サービス「シェアでんき」を提供する株式会社シェアリングエネルギーでは、Gmailでアカウントを2つ作成し、顧客用とハウスビルダー用に分けて問い合わせ管理を行っています。
各担当者ごとにGmailのスターを色分けし、手動で振り分けていたため、毎朝30~1時間程度かかってしまっていました。
人数が増えて管理がし切れない状態になると、誰が対応するのか分からない状態のメールが受信ボックスに溜まり、対応漏れからクレームに発展することもありました。
導入後の効果
問い合わせ管理システムでは、担当者を自動で振り分けることができるので、毎朝の振り分け作業が10分程度に短縮されました。
以前は返信に1週間かかってしまうこともありましたが、今では遅くとも2・3日で返信できるようになり、対応スピードは格段に向上できています。
また、「誰がどのような対応をしたのか」という履歴がチームで共有できることで、1つ1つの対応に対する責任感がより強くなりました。
SNSの投稿で「対応が劇的に変わった」と評価されたり、お客様の体験価値も向上できていると実感しています。
複数人でのメール共有に特化した「メールディーラー」
ここでは、数あるメール共有システムのなかでも代表的な「メールディーラー」をご紹介します。
メールディーラーとは、株式会社ラクスが提供するinfo@やsupport@等の共有メールアドレス宛に届くメールを複数人で対応することに特化したメール共有システムです。
前述でご紹介したとおり、「対応状況管理機能」や「担当者振り分け機能」など、複数人でメール対応を行う際に起こりがちな「対応漏れ」「重複対応」といったミスを防ぐための機能が揃っています。
以下では、メールディーラーに搭載されている便利な機能をいくつかご紹介します。
対応状況管理・担当者振り分け
「対応状況管理機能」では、すべての受信メールが「新着・返信処理中・対応完了」と対応状況ごとにタブで分かれる仕組みになっており、返信作業を進める中で自動的に受信メールの対応状況(タブ)が切り替わります。
受信フォルダを分けたうえで、各フォルダ内で対応状況ごとに自動でタブ分けされる仕組みであるため、メール整理が徹底され見落としをより防げます。
「担当者振り分け機能」は、メール1通1通に担当者を振り分けることができる機能です。「どのメールがどういう状態か」「だれがどのメールに対応するか」がひと目で分かるため、自分が対応すべきメール・対応が漏れているメールなどが明白で見落とし防止につながります。
対応履歴確認
「対応履歴機能」は、担当者・チャネルをまたいで過去の対応履歴を一覧表示できます。システムによっては、アドレスをワンクリックすると時系列順でやりとりを確認できるものもあり、検索時間や確認・共有の手間を削減できます。
複数アドレス管理
メールディーラーでは、複数の共有メールアドレスを設定することができます。
問い合わせ窓口が複数ある場合や、info@やsupport@など会社の代表アドレスが複数ある場合、複数のメーリングリストなどもすべて一元管理することが可能です。
メールアドレスの共有でメール対応を楽に!
今回は、複数人でメールアドレスを共有する方法についてご紹介しました。
メールアドレスを共有することで、複数人でのメール対応業務の効率化や顧客満足度の向上を図ることが可能です。
今回ご紹介した方法の中から、自社にあった方法を厳選して導入しましょう。
本格的かつ安全性の高い方法を検討するなら、メール共有システムの導入がおすすめです。せひご検討してみてはいかがでしょうか。
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